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【世界のゴルフ通信】From Japan 国内男女ともにシーズン終盤、視線の先は来季の海外ツアー出場権

日本女子プロ、日本女子オープンとメジャー2勝を含む、今季8勝の竹田麗央。米LPGA公式戦「TOTOジャパンクラシック」で勝利し、米女子ツアーの出場権を獲得。©JGA
「富士通レディース」で、ようやく今季初勝利を挙げた山下美夢有。メルセデス・ランキング2位。©JGA
今季は「リゾートトラストレディス」など3勝を挙げ、メルセデス・ランキング3位の岩井明愛。2021年にプロ転向。双子の妹の千怜と共に米女子ツアー本格参戦を目指す。©JGA
以前から海外志向の強い原英莉花。来年の米女子ツアー本格参戦に向けて、最終予選会に出場。今季は「資生堂レディス」3位など。©JGA

今年の女子ツアーで大躍進した竹田麗央

女子ツアーは、例年以上に激戦の女王争いとなった。
台風の目となったのは竹田麗央。地元、熊本の「KKT杯バンテリンレディス」で初優勝すると、「日本女子オープン」でも優勝。さらに日米両ツアーの共催「TOTOジャパンクラシック」での6ホールのプレーオフという大激戦を制して、国内8勝目を挙げた。
と同時に、米ツアーの出場権も獲得し、QT挑戦も不要に。
3年連続女王を狙っていた山下美夢有を下し、初の年間女王にも輝いた。

海外への選手流出も、さらに進む傾向にある。
米ツアーQT2次を突破した原英莉花、山口すず夏が最終戦に進出。ロレックス(女子世界)ランキング75位以内で最終戦からの山下、明愛・千怜の岩井ツインズらも挑む予定で、何人が日本から米国に主戦場を移すのか気になるところだ。
今季、「アムンディ・エビアン選手権」でメジャー初優勝した古江彩佳、「全米女子オープン」2勝目の笹生優花、2019年「全英女子オープン」優勝の渋野日向子、ツアー6勝の畑岡奈紗、ルーキー・オブ・ザ・イヤー確実な西郷真央らに続き、主戦場を米ツアーに移す選手が増えるだろう。

その〝留守〟を守る日本ツアー出場に向けて、狭き門のプロテストを突破したのは寺岡沙也香を始めとする26人。
20位タイまでが合格の規定だが、19位タイが8人並び、今年は例年以上に多い合格者となった。
米ツアーでプロデビューしながら、今回、日本のプロテスト・ファイナル3回目の挑戦となった山口すず夏、アマチュア時代に力を発揮した六車日那乃、米ツアーで戦う吉田優利の妹、鈴(りん)らも合格。
QTを経て来季、ツアーに何人出てくるか。ルーキーが活躍することも多い昨今だけに、目が離せない。

来季はさらに試合数減少の新体制の男子ツアー

今季は「ミズノオープン」で優勝。「日本オープン」2位などの活躍で賞金ランキング4位の木下稜介。海外ツアー「全英オープン」「ZOZOチャンピオンシップ」にも挑戦。©Yohitaka Watanabe
9月中旬以降、常に上位入りを果たし、「日本オープン」で優勝した今平周吾。賞金ランキング3位。©JGA
昨年の「ミズノオープン」でツアー初優勝を挙げた平田憲聖。今年は、7月以降、「フジサンケイクラシック」など4勝。初の賞金王を目指す。©Yohitaka Watanabe

一方、男子ツアーは青木功会長から諸星裕会長にバトンタッチし、新体制となった1年目だったが、試合数に関しては明るい話がなかなか聞こえてこない。

今平周吾が木下稜介とのデッドヒートを制して優勝した「日本オープン」は手に汗握る戦いで、世界に向けて力をつけている若手もどんどん増えている。
しかし、「日本オープン」の後、JGTOツアーとしては、11月半ばの「三井住友VISA太平洋マスターズ」まで大会日程が1か月あいてしまう前代未聞の事態に。
その間、日本で米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」が開催されたので、何とか男子ゴルフの話題が続いたが、シーズンとしての〝歯抜け感〟は否めない。

来季の日本ツアーに向けて、11月15日現在聞こえてくるのは、「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」やDPワールド(欧州)ツアーと共催だった「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」が、来年は開催されないのでは?という話。
諸星会長が就任時から話していた海外ツアーとの共催試合も、まだ発表には至っていない。
〝失われた8年〟と言われる青木体制下の負の遺産を払拭するには、まだ時間がかかるようだ。

JGTOツアーではないが、日本選手の一部も出場し、大ギャラリーを集めたPGAツアーの「ZOZOチャンピオンシップ」は今年が6年契約最後の年だった。
2019年の第1回大会は、タイガー・ウッズを始めとするビッグネームが揃い、タイガーがツアー通算82勝目を挙げて、サム・スニードのツアー最多記録に並ぶという最高の結果に。
第2回大会は、新型コロナウイルス感染拡大のため日本で行なえず米国開催となり、2021年の第3回は松山英樹が優勝するなど、話題をさらう大会だった。
PGAツアーは日本での開催を続けたい意向を持っており、その動きがポツポツと漏れ聞こえては来る。
しかし、莫大な経費の財源であるスポンサーも含め、まだはっきりした目途は立っていない。

今年、契約年最後の年を迎えた「ZOZOチャンピオンシップ」。優勝したニコ・エチャバリア(右)とともに写真に収まるJGTOの諸星裕会長。©Yohitaka Watanabe

海外へのパスウェイを利用して進出する日本男子

「全米シニアオープン」で優勝争いの末、2位に入った藤田寛之。来季はPGAツアー・チャンピオンズ(米シニアツアー)を主戦場に戦う。©USGA

日本ツアーで賞金ランキング3位までに入り、DPワールドツアー出場権を得て、さらにそこで上位に入って米ツアーを目指すパターンも、海外志向の選手たちには定着。
来季は星野陸也が、昨年の久常涼同様、このルートで米ツアーに本格参戦となった。
今季4勝して賞金ランキング首位を突っ走る平田憲聖を始め、昨年3位で出場権は得たものの出られる試合が少なかった金谷拓実、「日本オープン」惜敗の木下など、終盤戦は海外を見据えた賞金争奪戦となった。

意識が海外に向いているのは、若手選手たちだけではない。
シニアの世界には明るいニュースがある。
今年の夏、「全米シニアオープン」でプレーオフの末、2位となった藤田寛之が、PGAツアー・チャンピオンズ(シニアツアー)のプレーオフシリーズに出場し、来季の出場権を獲得したのだ。
「チーム芹澤」の弟分、宮本勝昌も、昨年に続いて同ツアーQTに挑むことを明言しており、こちらにも期待がかかる。

Text/Junko Ogawa

小川 淳子

東京スポーツのゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材。

現在はフリーでゴルフ雑誌などで執筆。

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