• 国境や人種を超えたスポーツの力とゴルフの愉しさをすべての人に。
  1. ホーム >
  2. 世界のゴルフ通信 >
  3. 【世界のゴルフ通信SP】From Japan クラブハウス利...

【世界のゴルフ通信SP】From Japan クラブハウス利用を減ら しスループレーでコロナ対策!営業か自粛か判断がわかれる日本のゴルフ場

世界のゴルフ通信・日本のゴルフ事情を紹介します。

新型コロナウィルスの影響で、ゴルフ場ではスループレーでコロナ対策して営業すべきか、自粛すべきか、判断がわかれています。

©Kyodo News/Getty Images

東京都の緊急事態措置案で、もともと「基本的に休業を要請する施設」に入っていたゴルフ練習場は、国との調整後に対象外となり、「業務継続する施設」となった。

三密ではないゴルフ場でもプロトーナメントは別

ゴルフ場と言えども、完全に安全とは言いきれない。

世界中に感染が広がっている新型コロナウイルスは、ゴルフの世界にも容赦なく猛威をふるっている。

最初に打撃を受けたのは、プロのツアーだった。

自然の中でプレーするゴルフと言うスポーツは、感染リスクを高めるいわゆる三密(密閉、密集、密接)とは程遠い。

だが、興行であるプロの大会は、そうはいかない。

当初、日本女子開幕戦ダイキンオーキッドは、ギャラリーを入れない無観客で、プロアマや前夜祭という三密になるイベントを中止にする形で行なおうとした。

だが、それでも、100人以上の選手、ほぼ同数のキャディに加え、コーチ、トレーナー、マネージャー、家族などや、大会スタッフなどの裏方、中継スタッフ、メディアが狭いクラブハウス近辺に集まってしまうため、中止となった。

いったん、中止を決断すると、再開するのは難しい。

ワクチンが開発されるなど、感染拡大に強い歯止めがかかるか、感染リスクの少ないエリアが開催地など、試合を行なえる理由が必要になるからだ。

しかし、感染者が少ないエリアで開催を強行した場合、逆に大会関係者がウイルスを運ぶ感染源となってしまうリスクは常に付きまとう。

政府からはイベントの自粛要請が出て、4月7日には、7都府県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、福岡県)に対し、5月6日まで1か月の緊急事態宣言を発出。

その後は5月末まで、全都道府県で緊急事態宣言を延長した。新規感染者は徐々に減少しているものの、油断は禁物。

ゴルフ場や屋外の練習場は休業要請対象外だが、食堂や風呂場、ロッカールームなどをクローズし、消毒薬の設置を行なうなど、できるだけ間接接触感染が行なわれないよう、ゴルフ場も厳重に注意を払っている。

再びプロツアーの話題に戻るが、5月10日現在、6月の「宮里藍サントリーレディスオープン」までの15試合と、7月2〜5日に開催予定の資生堂アネッサレディスオープンの16試合の中止が発表されている。

ニチレイレディスとアース・モンダミンカップに関しては、まだ実施か否かの発表はない。

ワールドレディス以外は主催者が日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)ではなく、各スポンサーだと言う事情から、数試合まとめてではなく、1試合ずつ、ズルズルと中止が発表されており、その後の再開時期も闇の中だ。

国内初戦が遅い男子ツアーも、4月16日開幕予定だった東建ホームメイトカップからダンロップ・スリクソン福島オープン(6月月25~28日)までの7試合の中止が決定。

その翌週には、日本プロゴルフ協会主催のメジャー「日本プロ」(7月2〜5日、栃木県・日光CC)が控えているが、どうなるかわからない。

PGAが主幹のシニアツアーだけは、万全の対策を施した上で開幕戦金秀シニア沖縄オープン(4月10~11日、沖縄·かねひで喜瀬CC)とノジマシニア(4月16~17日、神奈川·箱根CC)開催を3月30日に一度は発表。

ノジマは無観客だが、金秀は制限つきだが観客も入れるつもりでいた。しかし、その後の状況を鑑みて、いずれも中止となっている。

©Getty Images

渋野日向子がツアー初優勝を遂げた、国内女子ツアー第10戦「ワールドレディスサロンパスカップ」(メジャー)も中止となった。

©Getty Images

国内男子ツアーも6月一杯はトーナメント開催を中止。

ゴルフ場はクラブハウス利用を減らし、スループレーに

ゴルフ場に関しては、東京都が所有する若洲ゴルフリンクス(江東区)が3月2日にいち早く休業を決断。

関東七倶楽部と言われる”名門”コースはいずれも、緊急事態宣言後、休業している。

「5月末までクローズ」とするコースもあれば、「当面の間、クローズ」とするコースもあるが、緊急事態宣言が解かれたあとに、状況を見ながら営業を再開するコースも出てくるだろう。

それ以外のコースでも、浴室やレストランなど感染リスクの高いクラブハウス利用を極力減らす方向を打ち出している。

スループレーのコースが増え、スタッフとの接触を減らすなどの工夫で、何とか営業を続けているのが実情だ。

リモートワークへのシフトが進み、通常よりは空いているとは言え、まだまだ人の多い通勤電車などに比べればはるかに感染リスクの低いゴルフのプレー。

だが、いずれも移動を伴うため、リスクがゼロとは決して言えない。待ち時間のある練習場なども営業を自粛するところもあるのが現実だ。

“不要不急”の言葉の下に、新型コロナウイルスの影響は、ゴルフ界をボディーブローのようにじわじわと痛めつけている。

©Getty Images

小金井カントリー倶楽部、霞ヶ関カンツリー倶楽部など、関東七倶楽部の名門コースは緊急事態宣言後、休業中。

Text/Junko Ogawa

小川 淳子

東京スポーツのゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材。

現在はフリーでゴルフ雑誌などで執筆。

関連する記事