世界のゴルフ通信・日本のゴルフ事情を紹介します。
出場可能エリート集団15位以内に日本は男子1人、女子2人
オリンピックランク11位 松山英樹
東京オリンピックゴルフの現状
東京オリンピックのゴルフはどうなってしまうのか?
世界中が長引くコロナ禍で、何事も先が見えずにいる中、1年延期することが決まった東京オリンピック、まだ大きな動きはないようだ。
112年ぶりに正式競技となった2016年リオに続くゴルフ競技については、会場は延期前同様、霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県)で開催が決定。
日程もほぼ丸一年遅れで、男子が7月29日から8月1日、女子が8月4日から7日で行なわれることが発表されている。
そして、世界ランキング(女子はロレックスランキング)を基準にしたオリンピックランキングによって出場資格が決まることも変わっていない。
男子は2021年6月21日、女子は6月28日のランキングで、15位以内の者は各国4人までが出場でき、16位から60位までが各国2人まで出場できる。
だが、コロナ禍で世界中のツアー競技がしばらくの間ほとんど開催されなくなり、3月にランキングが凍結された。
各ツアーが順次、再開されたことで、7月になって男女ともにランキングが復活し、毎週アップデートされている。
しかし、アジアンツアーはまだ再開されておらず、欧州では再びウイルス感染が広がり始めており、米国でも収まる気配がない。
ツアーの先行きが見えなければ、ランキングがまた凍結してしまうことも考えられる。
IOCは来年、オリンピックを行なうと言い続けているが、人の行き来が激しくなれば、感染がそれだけ広がることが十分に考えられるため、来年の実施自体も確実とは言えないだろう。
コロナパンデミック2波が世界に襲来。
オリンピックまでに終息するのか?
実施されるか否か……
ひたすら待つ選手たち
オリンピックランク6位 畑岡奈紗
オリンピックランク12位 渋野日向子
ロレックスランク17位 鈴木 愛
開催予定の霞ヶ関CCはもちろん、関係者は準備を続けるしかない。
中でも、一番困惑しているのは選手たちだろう。
条件はみな同じとは言え、結果を出すべき試合が中止になったり、時期が変わったりして、ピークを持っていくタイミングが狂いまくっている。
昨年、「AIG全英女子オープン」優勝で一気にブレイクした渋野日向子などその代表だろう。
全英に勝つまで海外など考えたこともなかった渋野は、優勝で得た米ツアー出場の権利を行使することなく、メジャーを中心にプレーしてポイントを稼ぎ、五輪に出場する作戦だった。
その後、QTを経て2021年から米ツアーに参戦するつもりでもいた。
ところが、その計画はコロナ禍で水泡に帰した。
ランキングが凍結される前には、米ツアーで戦い続ける畑岡奈紗、渋野、昨年賞金女王の鈴木愛の3人が15位以内に入っており、五輪出場が見えていた。
だが、ランキングが動きだした現在最新のランキングを見ると、日本勢で名前があるのは6位畑岡、12位渋野だけで、鈴木の名前はない。
二重国籍を持つ笹生優花は30位にいるが、フィリピン代表で出場することになっている。
各国の人数上限を超えてしまうとオリンピックランキングで名前が載らないが、ロレックスランキングを確認すると畑岡は6位で渋野は15位。鈴木は17位になっていることがわかる。
それでも、女子はまだ後半になって日本でも試合が続いているため、ポイントを稼ぐチャンスはあるが、試合数激減の男子にはそのチャンスすらない。
米国を主戦場とする松山英樹が11位、昨年賞金王の今平周吾が28位だが、これを越えるにはよほどの活躍がない限り難しい。
しかし、仕方ないとはいえオリンピックそのものがなくなってしまえば、話は全く違って来る。
決定のタイムリミットが迫る中、コロナの状況を鑑みつつIOCが下す決断を待ち、選手たちはひたすら結果を出すことを求められる酷な状況が続いている。
オリンピックランク28位 今平周吾
*ランキングは2020年11月7日現在。
Text/Junko Ogawa
小川 淳子
東京スポーツのゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材。
現在はフリーでゴルフ雑誌などで執筆。