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【世界のゴルフ通信】From USA 4月マスターズはメジャー 初の有観客試合になるか?

4月の「マスターズ」は有観客で大会実施が可能になる!?

©Getty Images

4月の「マスターズ」はメジャー初の有観客試合となるか?

【観客について】  

昨年6月のツアー再開後、観客を入れて行なわれたPGAツアーの試合は「ビビント・ヒューストンオープン」だけであった。しかし、この試合でも、1日の観客数は2000人に限定されていた。

1月に入り、ハワイの試合ではマウイ島カパルアで開催される「セントリー・トーナメント」で数百人の観客を入場させたが、「ソニー・オープン・イン・ハワイ」、「アメリカンエキスプレス選手権」は無観客で実施された。
2月の「AT&Tペブルビーチ・プロアマ」も無観客試合の予定である。

カリフォルニア州は大人数の集まりについて厳しい規則を設けているため、「ジェネシス・インビテーショナル」でも無観客での開催となりそうである。

従来、PGAツアーで最大数の観客を集めてきた「ウェイスト・マネジメント・フェニックスオープン」に関しては、まだ何も決まっていない。

「フェニックスオープン」でもし観客を入れるとしても、その数は減らすだろうが、どの程度減らさなければならないかについても未定だ。

例えば、毎年1ホールで3万人以上が集まる名物ホールの16番ホール・パー3周辺に、今年は多くの観客が集まることはないと思われる。

トーナメント会場に入れる観客数は1日に1万人程度になるのではないか。

3月のフロリダでは、規制はもう少し緩和されているのではと予想している。

フロリダ州はフットボールの試合を含むスポーツイベントで、限られた数ではあるが観客を入れ始めているからだ。

いずれにせよこの頃までには、コロナウイルスのワクチンが出回っているだろうし、時間が経つにつれて、より多くの観客を入れることができる可能性は高くなる。

【コロナ対策について】

現在のところ、コロナ対策に変化は見られない。

ツアーのチャーター便を利用する人は現地で検査を受けなければならないし、試合に出ていなかった選手は、試合に出場する前に、在宅検査を行なわなければならない。

なおツアーは、選手がコロナウイルスのワクチンを接種すべきか否かについてまだ決定していない。

選手は現在、コーチ、キャディ、家族について、各一名の帯同を許可されているが、これらの制限は今後緩和され、より多くの関係者が試合会場に入れるようになるだろう。

©PGA TOUR

マスクを着用して選手の応援をする観客たち。2020年「ビビント・ヒューストンオープン」にて。

©PGA TOUR

飲食する時以外は、マスクを着用するよう選手に呼びかけるボランティアスタッフ。ボランティアたちもマスクは常に着用している。

©Getty Images

トーナメント会場で実施されているPCR検査。ツアーと提携している「サンフォードヘルス」が毎試合、検査を担当している。

【予想】

2020年、無観客で試合が開催されることの不自然さはあったものの、ゴルフ競技自体は順調に進んだ。

ダスティン・ジョンソンは世界ランク1位の地位を確立し、「トラベラーズ選手権」「ノーザントラスト」「ツアー選手権」「マスターズ」で優勝した。

来たる4月の「マスターズ」でもディフェンディングチャンピオンとして注目されるに違いない。

コリン・モリカワは、彼にとってわずか2戦目のメジャー出場となった「全米プロ」でメジャー初優勝を遂げた。

マシュー・ウルフは、彼にとって初のメジャー参戦を遂げて以来、2試合ともトップ5入りを果たし、ブライソン・デシャンボーは驚異的なティーショットの飛距離でツアーを驚かせ、「全米オープン」で2位と6打差で優勝した。

だが、ローリー・マキロイは今後、調子を取り戻すことができるだろうか? 

好調な1年を過ごしたジャスティン・トーマスはまたメジャーで優勝するだろうか? 

タイガー・ウッズはどうか? 

2020年は、タイガー・ウッズが優勝争いに加わることなく、世界6位から41位までランクダウンした残念な年となった。

©Stan Badz

ジャスティン・トーマス

©Stan Badz

タイガー・ウッズ

【ヨーロピアンツアーとの戦略的提携】

2020年の終わりに、PGAツアーはヨーロピアンツアーと戦略的提携を結んだ。

この契約に関する詳細は不明な部分も多いが、収益性の高いライバルツアーを立ち上げようとする「プレミアゴルフリーグ」の台頭を阻止するためのものであることは間違いない。

将来、両ツアーのスケジュールの調整がうまくでき、選手たちも世界中で今より戦いやすくなれば、この提携はより大きな意味を持つことになるだろう。

また、ヨーロピアンツアー経由でPGAツアーへのアクセスが可能になるだろうから、これも悪いことではない。

しかし、この提携がどのような効果を生み出すかについてはまだ不明な点が多くある。

【マスターズ】

昨年11月に「マスターズ」が開催されたが、2021年の最初のメジャーとなる「マスターズ」も予定通り開催されそうである。

ただ、その時までにどの程度このコロナ禍の状況が正常に戻っているだろうか? 

これが、ゴルフ界最大の心配材料の一つだ。我々は、1月から3月まではほぼ変わりなく、現状と同様の状況が続くと考えている。

しかし、ワクチンの普及によって、4月のオーガスタ・ナショナルではある程度の観客を入れることができるのではないかと期待している。

検査能力を高め、取り入れることにより、数千人の観客をこの歴史的コースに入場させることができるのではないかと楽観視している。

このコロナによる奇妙な年が終わり、新しい希望の年が始まることを願う。

 

 
 
©Stan Badz

ローリー・マキロイ

©USGA

ブライソン・デシャンボー

 
 

Text/Bob Harig

ボブ・ハリグ(アメリカ)

ESPN.comシニアゴルフライター。25年以上に渡り、ゴルフトーナメントの取材を続けている。全米ゴルフ記者協会会員。

 

Photo/Getty Images、PGA TOUR、PGA of America、Stan Badz、Eiko Oizumi

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