賞金以外のツアーからのボーナス
スポンサーやファンを集めるのに貢献した選手にインセンティブ収入!?
プロアマ戦中、携帯電話でSNSをチェックするジョーダン・スピース。
自身のSNSが、世界に大きな影響を与えているタイガー・ウッズ。ファンたちのSNSによっても、タイガーの情報は広く拡散されている。
ツアープロの査定を注目度で行なうプログラム
PGAツアーが来年から新しく「プレーヤー・インパクト・プログラム」を導入する。
これは総額4000万ドルをトーナメントの成績とは関係なく、どれくらい「注目を集めたか」に基づいて、その上位10名に支払われるボーナスだ。
実際、タイガー・ウッズやリッキー・ファウラー、ブライソン・デシャンボー、フィル・ミケルソン、ジョーダン・スピースといった人気選手が、このプログラムの恩恵を受けることになるだろうが、それは彼らの成績とは関係ない。
これは、スポンサーやファン集めにおいて、ツアーに貢献できる選手に報酬を与えるという考え方であり、PGAツアーとはライバル関係にあるプレミアゴルフリーグ(ゴルフサウジが主導)による活動を受けて考案されたものである。
プレミアゴルフリーグは、賞金が保証された世界規模の新たなツアー。そこへ選手たちを呼び込もうと活動を続けてきたのに対抗する手段だ。
「プレーヤー・インパクト・プログラム」として知られているこのプランは、PGAツアーの財政問題を受けて水面下で進められてきた。
このプランには総額4000万ドル(約44億円)をかけ、1位の選手には800万ドル(約8億8000万円)、10位までの選手には順位に応じた金額が支払われる。
ランキングは、SNSへの影響力や、選手がいかにしてスポンサーやファンを獲得したか、といったことを測定するいくつかの要素によって決まる。
本来、2020年の「プレーヤーズ選手権」で発表することになっていたが、その試合はコロナ感染が原因で中止となり、その後13週間に渡って試合を開催することができなかったため、発表するタイミングが遅れた。
それでも同プランは粛々と進められ、2020年の年末に選手たちに対して発表された。
「ウェルズファーゴ選手権」で優勝したローリー・マキロイ。ゴルフ中継の放映時間がいかに長いかも、新プログラムへの貢献度につながる。
「試合で成績を残していれば自ずと結果はついてくる」
世界3位のジャスティン・トーマスは、「僕は全然気にしていないよ」と語る。
「もちろん、最も人気ある選手になれるのなら、それは素晴らしいことだけど、僕は人気コンテストのためにツアーで戦っているわけではない。
トーナメントでできるだけ多く優勝するためだ。良いゴルフができれば、そのプログラムにおいても自然といい結果になるだろうしね」
「タイガーやフィルといった、トーナメントをバックアップし、財源を確保し、ゴルフ界の発展に貢献してきた選手たちはそのプログラムに選出され、リスト入りするのにふさわしい人たちだ。
僕たちがPGAツアーでうまくやっていけているのも、こうした選手たちのおかげだ」
ウッズは2月の深刻な交通事故でケガを負ったことから現在、無期限の離脱となっている。
今年、試合でプレーすることはないとみられているが、それでも彼の人気や名声があれば、彼の名前がこのプログラムのリスト入りすることは十分あり得る。
コロナウイルスの影響で今もなお試合が中止されるカナダの打開策
フォルムツアーのトップ選手の一人である、ブライソン・ニンマー。
6月23~26日の初戦「L&Jゴルフ選手権」の開催コースだった、アトランタ州のジェニングスミルCC。
カナダの下部ツアーがコロナで中止。新施策は?
新型コロナウイルス感染症の大流行によって、カナダのゴルフツアーも大きな影響を受けている。
例えば「RBCカナディアン・オープン」は2年連続で中止され、イベントはサウスカロライナ州に移された。
このことが「マッケンジーツアー」と呼ばれるPGAツアー・カナダの下部ツアーにも影響し、同ツアーはシーズンを中止しなければならなくなった。
このため、PGAツアーは「フォルムツアー」と呼ばれる別のツアーを作り、選手たちにプレーする機会を与えた。
これは実質的には2021年の「マッケンジーツアー」にとって代わるものとなる。
同ツアーは6月下旬に始まり、9月までに8試合のスケジュールが予定されている。
全72ホールでシーズンのポイントリストの上位5人が2022年の「コーンフェリー・ツアー」への出場権を得る。
他の選手は「コーンフェリー」の予選会の最終ステージへの出場権を得る。
「フォルムツアー」の常任理事であるグレッグ・カールソン氏は、「我々は米国南部から始め、4試合をイリノイ州、インディアナ州、そしてオハイオ州といった中部で行ない、そして米国北東部で終える予定だ」と語っている。
Photo/Getty Images、PGA TOUR
Text/Bob Harig
ボブ・ハリグ(アメリカ)
ESPN.comシニアゴルフライター。25年以上に渡り、ゴルフトーナメントの取材を続けている。全米ゴルフ記者協会会員。
Photo/Getty Images、PGA TOUR