• 国境や人種を超えたスポーツの力とゴルフの愉しさをすべての人に。
  1. ホーム >
  2. 世界のゴルフ通信 >
  3. 【世界のゴルフ通信】From Japan 日本に新ツアー誕生...

【世界のゴルフ通信】From Japan 日本に新ツアー誕生! アマチュア・プロに活躍の場を提供する救世主!?

日本に新ツアー誕生!
アマチュアからプロゴルファーまで活躍の場を提供する救世主!?

©JCG

前列左3番目からJCGマネージメント代表の丘智将氏、藤井かすみ、JCGマネージメント理事長の古賀尚文氏、理事の諸橋寛子氏。その他は、JCGMアンバサダー。

ミニツアーや単発の大会が増加中の日本のゴルフ界

既存のツアー以外の試合が、日本ではどんどん増えてきている。
その理由は大きく分けて3つある。
男子ツアーの試合数が一向に増えないこと。女子ツアーの制度が変わり、プロテストに合格しないとQTも受けられなくなること。
これらにコロナ禍が拍車をかけた。  

男子ツアーの場合、7月第1週の「日本プロ」から8月後半の「長嶋茂雄インビテーショナル・セガサミーカップ」まで約1か月半、試合がなかった。
それ以前も間がポツリ、ポツリと空く。
この間、海外メジャーやオリンピックなどに出場しなかった選手たちは、一体どうしていたのか。
地区オープンなどのローカルな試合の出場者を見ると、シード選手がズラリと並んでいて驚いたのは数年前のこと。
今や当たり前になった。
賞金はレギュラーツアーに比べれば当然少ない。
だが、プロは試合でなければ磨けない技があり、試合カンが鈍るのを何よりも嫌う。
試合があれば、出たいものなのだ。それ以外にも、チャリティマッチやミニツアーなど、様々なつながりを利用して〝試合〟でプレーしている。

©JCG

ジュニア育成基金アンバサダーを務める古閑美保。

行き場を失った女子プロたち

シーズン中はほとんど空き週がないほど試合数の多い女子の場合は少し事情が違っている。
こちらは、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の制度改革により、プロテストに合格し、同協会会員にならなければQTを受けられなくなってしまった(会員以外の単年登録がなくなるのは21年から)。
QTで上位に入れば、トーナメントプレーヤー登録をできる仕組を作ることで一度は開いた門戸を閉じた、時代に逆行した制度改革。
おかげで、プロとなって試合に出ていた者も含めて、宙ぶらりんな選手がゴロゴロ出てきてしまったのだ。

周囲がこの選手たちを放ってはおかない。
年間複数回、試合を行なう「マイナビネクストヒロインゴルフツアー」を始め、単発の試合も少なくない。
女子プロたちのテレビマッチもいくつかあり、なかなかの人気を博している。

現存ツアーの不可能・不備を可能にする新ツアー

©マイナビ ネクストヒロインゴルフツアー事務局提供

8月下旬から2021年度のツアーがスタートした「マイナビネクストヒロインゴルフツアー」。シーズン開幕戦「リオン・ドールコーポレーション/ゼビオグループチャレンジカップ」で優勝した八巻セイラ。

2月に設立された「日本チャレンジゴルフツアー協会」(JCGツアー=古賀尚文理事長)が8月に今後の活動計画を発表した。
「選手ひとりひとりが多様な未来を描けるプロゴルファーに」を基本理念に、次世代を担うゴルファーに機会を提供するための活動を開始した。

9月からは、関東、関西で18試合ずつワンデートーナメントを開催予定。
プロ及び練習生、研修生など、出場資格は幅広い。1万1000円のエントリーフィーと、スポンサーから集めた資金で賞金を出せるようにすると言う。
スポンサーには、女子ツアーで総額3億円大会を主催するアース製薬を始めALSOKなど、多くの企業が名を連ねており、今後の成り行きが注目される。

ツアーアンバサダーに藤井かすみ、ジュニア育成基金アンバサダーに古閑美保。
ジュニアについては、成績上位の者には「全米アマ」、「全米女子アマ」の予選に出場するための奨学金を用意するなど、自力で世界を切り開くためのサポートもすると言う。 

発表の様子を見た限りでは、まだまだ手作り感いっぱいの組織だが、逆にそれが既存のツアーなどにはできないことをできる可能性も秘めている。

JCGツアーに限らず、現在のツアーがフォローできていない部分を、様々な組織、人々が開拓しようとし、手を差し伸べているのが日本の現状だ。
ツアーの不備、ツアーができないことをしているように見えて、いつかはツアーに取って代わる組織ができるかもしれない。
スポンサー企業だけに頼る従来の組織運営が、コロナ禍でますます難しくなっている今、そんな風に感じるのも、あながち妄想とは言えない。
10年後、20年後を見据えたしっかりしたツアーができない限り、その可能性は大いにあると言っていいだろう。

Text/Junko Ogawa

小川 淳子

東京スポーツのゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材。

現在はフリーでゴルフ雑誌などで執筆。

関連する記事