Text/Eiko Oizumi
Photo/PGA TOUR
3月9日、フロリダ州ポンテベドラビーチで「世界ゴルフ殿堂入り式典」が行なわれ、PGAツアー82勝、メジャー15勝の元世界ランキング1位のタイガー・ウッズが殿堂入りを果たした。彼はスピーチの中で、「ゴルフは個人のスポーツで、今回の賞は個人のものだが、実際はチームの賞だ」とコメント。苦しい時も支えてくれた母、子供達、友人たちに、涙ぐみながら感謝の意を表した。
「母がジュニアゴルフイベントに連れて行ってくれなかったら、そして父が僕の夢を追いかけることを応援してくれなければ、このような人生を送ることはできなかった。僕のゴルフ人生は、今まで成功してきたし、世界中でプレーすることもできた。最初の頃の目標は、各大陸で優勝することだったんだ」
「世界中でプレーができ、自分の夢と情熱を追い求める人生を送り、今までいろんな人と築き上げてきた人間関係がある。そして2人の素晴らしい両親もいる。すばらしいコーチ、キャディ、友達にも恵まれた。ゴルフは個人競技だが、一人でここまできたわけではない。すばらしい両親、指導者、友達がいてくれて、彼らは僕がつらい時、人生で最悪な時も僕を許し、支えてくれた。そしていい時も一緒に祝ってくれた。母、サム(娘)、エリカ(ガールフレンド)、チャーリー(息子)、そしてここにいるみんな、本当にありがとう」
またタイガーは、幼少の頃に母から1日にホットドッグ代と電話代で合計75セントをもらったが、そのうちの25セントは使わずにポケットに忍ばせ、その25セントを元手に仲間とパターコンテストをして25セントコインを次々に巻き上げ、1週間も経つと何ドル分にも増えたという逸話を披露。また、人種差別でクラブハウスに入れてもらえなかった過去があったことも明かした。
「クラブハウスに入れなくても、シューズは駐車場で履き替えればいいから構わない。ただ1番ティはどこなのか?と、コースレコードはいくつ?と2つの質問だけはしたね。とてもシンプルでしょう?」
プロ入り2年目の97年「マスターズ」で初出場、初優勝を果たして以来、黒人のタイガー・ウッズは世界のゴルフを変え、ゴルフの価値観や常識を覆してきた。自身が輝かしい記録を樹立することで、人種差別を受けることなく楽しめるスポーツとして、ゴルフの価値を高めてきた功績非常に大きい。
なお、タイガーのほか、前PGAツアーコミッショナーのティム・フィンチェム氏、LPGAツアー11勝、メジャー4勝のスージー・マックスウェル・バーニング、ゴルフ場設計家のマリオン・ホリンズ氏が殿堂入りを果たしている。