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【世界のゴルフ通信】From Australia
豪州ゴルフの可能性

小さな子供たちでも楽しめるミニゴルフも人気。

豪州のゴルファー予備軍は約900万人

成人1900万人の半数がゴルフに興味

豪州ゴルフ産業評議会(AGIC)の調査によれば、これまで考えられていたよりも多くの人々がスポーツに興味を持っていることが明らかになった。また、ネイチャーレポートの調査によれば、豪州の成人1900万人の約50%である900万人が、一度もラウンドを経験したことがないにもかかわらず、ゴルフに興味があるという。
「こうした数字は、我々がこれまでに行なってきたすべてを覆すものとなっている」とゴルフ・オーストラリアのジェームズ・サザーランド最高責任者が語る。
 彼にとって喜ばしいニュースなのは、この900万人のうちゴルフクラブのメンバーになっているのはたったの5%だということである。
「900万人の『ゴルフに関心のある人』の5%だけがクラブ会員だということは、今後ゴルフというスポーツが成長していく可能性はかなり高いし、それは我々が考えていたよりも上をいっている」
 ネイチャーリポートは、メンバーコース会員やパブリックコースを利用するゴルファーたちだけに焦点を当てるのではなく、練習場やミニゴルフ、ゴルフシミュレーターといった他のゴルフ施設を利用している人々や、まだクラブを手に取ったこともない人たちまでも対象とした。

 AGICの会長兼オーストラリアPGAの最高責任者のギャビン・カークマン氏は、18ホールのゴルフよりも、もっと短い時間でプレーを楽しめるミニゴルフなどを豪州ゴルフの戦略の一つとして、普及させると語った。
「我々はこれまで、クラブ会員のみに焦点を当ててきたが、他のゴルファーたちも取り込むことができれば、スポーツとしてより強大なものになる。我々は今後も会員の方々を大事にしながら、その一方でゴルフをしてみたいと思っている人たちとつながるよう、初心者を歓迎する準備を整えていく」
「多くの人たちはもっと気軽に、厳しい規則のない状態でゴルフをしたいと思っている。スコアなど意識せず、ドレスコードのないプレーがしたいのだ。ゴルフのスキルやどれくらい頻繁にゴルフをしているかに関係なく、自分たちが歓迎され、受け入れてもらっていると感じるような雰囲気の中でゴルフを経験したいと思っている」

ゴルファーを増やすカギは「女性」と「ゴルフ関連施設」の増加

コロナ禍でも人と接触しにくい環境下で1人で楽しめるインドアゴルフ。

 ネイチャーリポートは、女性ゴルファーが最近増えているにもかかわらず、女性への働きかけが依然としてゴルフでは最大の課題となっていることを見出した。だが、18ホールをプレーする本格的なゴルフではなく、ゴルフ練習やミニゴルフなどをする女性ゴルファーの数は増やせると楽観的に見られている。
 ゴルフ場での男女の比率は、5対1と男性が多い一方、男性よりも多くの女性が練習場やミニゴルフなどのゴルフ関連施設でのプレーを楽しんでいる。豪州の若年層への質問で、女性はもっとカジュアルで、グループで取り組めるような社交的なもの、18ホールプレーよりも短時間で楽しめるものを特に熱心に望んでいることがわかった。

ゴルフバッグを積んで、コース内のどんなところでも移動できるのが電動の「ゴルフボード」。ラウンド時間を劇的に短縮できる。

 というわけで、ゴルフ関連施設への投資がゴルフ活性化のカギとなる。なぜなら、こうした施設ではより短時間で、より手ごろな料金でゴルフを楽しむことができるし、中には柔軟に対応してくれるメンバーシップもついている。さらに、仲間ともっと気楽にゴルフが楽しめる。ゴルフ場でプレーするよりもルールや規制が少ないからだ。

 そして最も重大な発見の一つは、コロナ禍でもゴルフ場でプレーする人の数が18%増加し、ゴルフ関連施設においては23%増加したことである。2019年には100万人を下回っていたのに、2021年には120万人以上のオーストラリア人が少なくとも1回はゴルフ場でプレーした計算だ。それに加えて、194万人のオーストラリア人が、ミニゴルフや練習場、シミュレーションゴルフ、ディスクゴルフなど、ゴルフ場でのプレーに代わるゲームを行なったということである。

サッカーとゴルフがミックスしたスポーツ「ホットゴルフ」も若者の間で近頃人気が高まっている。

 「生涯スポーツ」であるゴルフは、人がなぜゴルフをするのかについての3大理由によってきちんと評価されている。その理由とは、メンタルヘルスのため、身体的健康のため、そして競技のためである。
 初心者がゴルフを始めた最大のきっかけは、既存のゴルファー(友人、パートナー、家族)からのススメである。そしてゴルフクラブの会員の42%は、20歳になる前にゴルフを始めている。したがって、「マイゴルフ」といったジュニア向けプログラムがこのスポーツの将来にとって必要不可欠であると、はっきり証明されている。

 またネイチャーレポートは、ゴルフをさらに活性化させるための5つの主要な提言をしている。

❶ゴルファーの「口コミ」を強化する方法を見つける。
❷若い女性ゴルファー獲得に焦点を当てた方法に投資する。
❸人をもっと頻繁にゴルフ場に呼び込むための、柔軟性のある会員権の発行やプレーしやすい環境を作る。
❹気軽にゴルフをしやすくするため、ゴルフの「玄関口」である、練習場に投資する。
❺新しい方法やゴルフ関連施設に、引き続き投資する。

カリー・ウェブ自らがデザインしたトロフィーを授与

オーストラリア人女子選手のうち、ベスト24によって争われる新規試合「カリー・ウェブカップ」。1月13~16日に開催された。

 オーストラリアPGAとオーストラリア女子PGAツアーとの間で結ばれた戦略的提携によって、豪州の最も偉大な女子メジャーチャンピオン、カリー・ウェブをたたえる新規トーナメントが誕生した。ちなみにクイーンズランド出身のウェブは、メジャー7勝、世界で56勝を挙げている。
 初開催の「オーストラリアWPGA選手権」では、豪州最高レベルの女子ゴルファーがカリー・ウェブカップと呼ばれる優勝トロフィーを目指して競うが、男子の「オーストラリアPGA選手権」とともに、1月13日~16日、ブリスベンのロイヤル・クイーンズランドGCで開催された。
 コロナウイルス感染に対する懸念などを踏まえ、初年度の出場者は24人の選手に限定されるが、2019年「KPMG全米女子プロ」チャンピオンのハナ・グリーンは即座に出場を決定。これに続いて他の豪州のベストプレーヤーたちも出場した。

Text/Karen Harding

カレン・ハーディング(オーストラリア)
メルボルン出身のゴルフジャーナリストで、数々の賞を受賞。女子ゴルフやゴルフ場の環境問題、大衆ゴルフなどに関する執筆に注力。

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