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【世界のゴルフ通信】From USA 今秋のスケジュール発表!秋の7試合がさらに重要な位置づけに

秋のPGAツアー7試合がさらに重要な位置づけに

©Getty Images

ここ1年で、さまざまな取り組みを発表しているPGAツアー・コミッショナーのジェイ・モナハン氏。

「ツアー選手権」後の9月以降の試合は7試合

この秋、PGAツアーは新たな様相を呈することになる。
とはいえ、トーナメント自体が変わるわけではない。
プレーするのは誰か、そして何をかけて戦うのか、という点が違うのである。

昨年、PGAツアーが11年ぶりに暦年制に戻ることが発表された。
つまり、新シーズンは1月に始まり「ツアー選手権」後の8月に終了することになる。
しかし、9月、10月、11月の試合がどう扱われるかについては不明なままだった。

そのことが、ここへきてようやく判明した。
要するに、秋のスケジュールを構成する7つのトーナメントは、ある選手にとってはPGAツアーにとどまるためにポイントを稼ぐ機会であり、ある選手にとっては指定試合に出られるよう、自分のポジションを向上させるための機会、そしてまたある選手にとっては、ただプレーするための機会となるのだ。

昨年の秋は9試合が行なわれたが、2023年は7試合に絞られることとなった。
そして、選手たちはそのすべてに参加するために、かなりの移動を余儀なくされることになる。

秋のスケジュールは、カリフォルニア州ナパで開催される「フォーティネット選手権」(9月14日~17日)で開幕し、その後、「ライダーカップ」のために2週間のオフがある。
それから「サンダーソンファームズ選手権」(ミシシッピー州)、「シュライナーズ・チルドレンズオープン」(ラスベガス)、「ZOZOチャンピオンシップ」(日本)、「ワールドワイド・テクノロジー選手権」(メキシコ・カボサンルーカス。タイガー・ウッズ設計のコースで開催)、そして、「バターフィールド・バミューダ選手権」(バミューダ諸島)と「RSMクラシック」(ジョージア州シーアイランド)と続く。

ここ数年、秋のスケジュールに組み込まれていた「ヒューストンオープン」は春に戻り、以前「WGC・デルテクノロジーズ・マッチプレー選手権」が開催されていた時期に行なわれることになる。
なお、「マッチプレー選手権」は2024年には開催されない。

開催されない大会としてはもう一つ、「CJカップ」がある。
同大会は韓国で始まり、パンデミック時に米国開催となった。
昨年はサウスカロライナ州で行なわれ、ローリー・マキロイが優勝した。
だが、その大会が復活することはもうない。
さらに、2019年を最後に中国で開催されていない「WGC・HSBCチャンピオンズ」もスケジュールから外され、事実上、「世界ゴルフ選手権(WGC)構想」は終わりを迎えた。

シード権、あるいは予選落ちのないエリートの「指定試合」出場をかけて熱い戦いが始まる

フェデックスカップ 今秋のスケジュール

日程 トーナメント名 コース
9/14〜17フォーティネット選手権シルベラードリゾート&スパ(カリフォルニア州ナパ)
10/5~8サンダーソンファームズ選手権カントリークラブ・オブ・ジャクソン(ミシシッピー州ジャクソン)
10/12~15シュライナーズ・チルドレンズオープンTPCサマリン(ネバダ州ラスベガス)
10/19~22ZOZOチャンピオンシップアコーディアゴルフ習志野CC(日本・千葉県)
11/2~5ワールドワイド・テクノロジー選手権エル・カルドナル@ディアマンテ(メキシコ・ロスカボス)
11/9~12バターフィールド・バミューダ選手権ポートロイヤルGC(バミューダ・サウサンプトン)
11/16~19RSMクラシックシーアイランドGC(ジョージア州セントサイモンズ島)
©Yoshitaka Watanabe

アジア開催の試合は、もはや「ZOZOチャンピオンシップ」1試合だけになってしまったが、シード権がかかっている選手や、トップ50位に入れていない選手にとっては、スキップすることができない重要な試合に。

©Yoshitaka Watanabe

昨年のチャンピオンのキーガン・ブラッドリー(左)とJGTO会長の青木功。

秋からの7試合が事実上のシード権争いの場と化す

今年の「ウィンダム選手権」までの時点で上位70名の選手は、事実上2024年シーズンへの出場が決まっているが、秋の7大会では、上位50名以外の選手が実質的に順位を上げることができる。

すべての大会で標準フェデックスポイントが付与され(優勝者には500ポイント付与される)、51位以下の選手はその年の合計ポイントをキープすることができるのだ。
つまり、トップ125圏外の選手がPGAツアーのシード権を得ることもあれば、トップ125圏内の選手がシード権を失う可能性もあるということである。

ツアーではまた、フェデックスカップポイントを維持し、「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」の後に続く、2024年最初の2つの指定試合への出場選手10人を決定する。
秋のトーナメントを含む最終リストに名を連ねる上位10名の選手が、まだ未定の2つの指定試合への出場権を獲得することになるわけだ。

秋に優勝した選手は、通常の2年間のシード権と「セントリー・トーナメント」への出場権に加え、「マスターズ」への参加など、PGAツアー優勝者に与えられる特典を受けることができる。
また、これまで出場資格のなかった選手も、「プレーヤーズ選手権」に出場することができるのだ。

   PGAツアーのタイラー・デニス会長は次のように言う。

「フェデックスカップが始まった2007年以来、PGAツアーシーズンにとって、かつてないほどに重要なアップデートを発表します。フェデックスカップのスケジュールを再構築することで、指定試合(予選落ちなしの、人数制限のある試合)とフルフィールド試合(予選落ちありの、通常の試合)のあるレギュラーシーズンから、フェデックスカップ・プレーオフ、そして『フェデックスカップ・フォール』のクライマックスに至るまで、異なる内容の試合でありながらも繋がりのある『チャプター』が生まれるのです。そしてこの新しい枠組みの中で、『フェデックスカップ・フォール』はこれまで以上に魅力的な物語を構成する、欠かすことのできない1ピースとなるのです」

「『フェデックスカップ・フォール』では、これからのシーズンに向けて選手たちのチャンスが広がっていくにつれて、多くの特典が発生するでしょう。とはいえ、より多くの成果がすぐにでも得られるはずです」

「選手たちには、プレー状況を確保し、あるいは向上させて、翌シーズンの追加特典を得るチャンスがあります。ですから多くのトッププロが、それぞれのスケジュールに合わせて、従来から開催している大会を引き続きサポートしてくれるものと確信しています。2023年の締めくくりをエキサイティングで有意義なものにするために、タイトルスポンサーと大会主催者の皆様が一丸となって取り組んでくださるようお願いできればと思います」

 PGAツアーのシード選手になるための他の方法

2024年のPGAツアーのシード権を獲得するには、トップ125に入るかPGAツアーで優勝する以外に、DPワールドツアーで上位10位までに入るか、(PGAツアーのシード権のない選手)、コーンフェリーツアーの最終ポイントリストの上位30名に入ること。
または2023年PGAツアーQスクール(2012年以来の開催)最終ステージの上位5名に入ることなどの方法がある。

ラテンアメリカ、カナダツアーが統合しPGAツアーの新たなツアー誕生

©Getty Images

カナダで行なわれている「マッケンジーツアー」のロゴプレート。

©Getty Images

コーンフェリーツアーの最終戦を終えた段階で、ポイントランキング・トップ30に来季のPGAツアーシード権が与えられる。写真は2021年のもの。

©Getty Images

PGAツアー・ラテンアメリカの「ロベルト・デ・ビチェンゾ・メモリアル」。写真は、アルゼンチンのビチェンテ・フェルナンデス(PGAツアーチャンピオンズでかつてプレーしていた)。

©Getty Images

優勝者のチャンドラー・ブランシェット。

ラテンアメリカ、カナダのツアーが一本化

PGAツアーはまた、2つの育成ツアーを「PGAツアー・アメリカズ」という1つのサーキットに統合し、刷新すると発表している。
再構成された新しいツアーは2月に開始される予定である。

 PGAツアー・ラテンアメリカとPGAツアー・カナダ(マッケンジーツアー)は1つのツアーとなり、シーズン中のポイントリスト上位10名が2025年シーズンのコーンフェリーツアーのシード権を獲得できるようになる。
コーンフェリーツアーは、PGAツアーを目指す選手が参加する育成型ツアーで、毎年30名の選手がシーズンを通してプレーすることで昇格が可能になる。

再構成された新しいツアーは、ラテンアメリカ、米国、カナダで16試合、開催される。

ツアーは2月にラテンアメリカ・スイングと呼ばれるものから始まり、2023年ラテンアメリカ・ポイントリストの上位60名とカナダのポイントリストの上位60名が参加する。
また、PGAツアー予選トーナメントの上位40名以降の選手も参加資格を持つ。

Text/Bob Harig
ボブ・ハリグ(アメリカ)

ESPN.comシニアゴルフライター。25年以上に渡り、ゴルフトーナメントの取材を続けている。全米ゴルフ記者協会会員。

Photo/Getty Images

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