【世界のゴルフ通信2020.5月】From Asia コロナウィルスの猛威がゴルフ界まで

タイの寺院を観光中のマスクをしている観光客。

新型コロナウイルスがゴルフ界に及ぼした影響力

アジアを中心に拡大しているコロナウイルス感染拡大を恐れ、すでにご存知の通り、米LPGA、チャイナLPGAなどの大会は中止となった。

また、ファルドシリーズ・アジアグランドファイナル（ベトナム・ダナン）、アジア・太平洋女子アマチュア選手権は延期が決まっている。

米LPGAの発表は次のとおりである。

「健康上の懸念が継続し、また、コロナウイルスのため大規模なイベントは中止または延期すべきとのアジア諸国における勧告があったことから、LPGAとそのパートナーは、今年のホンダLPGAタイランド（2月20～23日、タイ・パタヤ）とHSBC女子世界選手権（2月27日～3月1日、シンガポール）の中止を決定した」

「大会の中止は常に難しい決定であるが、LPGAは、タイトルスポンサーのご理解とすべてのご尽力、ならびに選手のためにすばらしい大会をホストしていただいているIMGに感謝している。選手やファン、大会運営関係者の健康と安全が常に最優先事項。今シーズン、これらの大会が開催されないことは残念であるが、早くアジアに戻ってこられることを望んでいる」

昨年のHSBC世界女子選手権（シンガポール・セントーサ島）で優勝したパク・サンヒョン。今年は大会が中止されたため、ディフェンディングチャンピオンとして出場できなかった。

アジア・太平洋女子アマチュア選手権の開催を延期

また、2月12～15日にタイ・パタヤのサイアム・カントリークラブで開催が予定されていたアジア・太平洋女子アマチュア選手権について、同様の所感がマーティン・スランバースR&A最高責任者から表明された。

スランバースは次のように語った。

「アジア太平洋ゴルフ連盟のパートナーとともに、アジア・太平洋女子アマチュア選手権の延期を決定した。この決定は、コロナウイルスが拡散する現在、移動する選手や大会役員の安全が深刻に懸念される中で行なわれた。最優先事項は選手・大会役員の安全を確保することであり、このような時に移動を求めるべきではないという助言を頂いている。すべての選手の調整作業を支援していくとともに、本年後半にこの選手権の日程を再設定できることを望んでいる」

ファルドシリーズ・アジアグランドファイナルも延期

さらにニック・ファルドが主催する第14回ファルドシリーズ・アジアグランドファイナルは、3月第1週にベトナムのラグーナランコで開催される予定であった。

「ファルドシリーズは、ラグーナランコでの2020年ファルドシリーズ・アジアグランドファイナルの延期を発表。大会の延期が決定されたのは、多くのチームや選手、メディアが、この地域における移動制限により影響を受けているためで、この決定は、すべてのファイナリストが2020年アジアグランドファイナルに出場できることを確保するために行なわれた。現在、11月に大会の新日程を確保するよう取り組んでいるが、今後数週間のうちには固まる。開催コースであるラグーナランコは、現在も完全に使用可能な状態であり、この地域における移動制限によっても、わずかな影響しか受けていない」

人混みの多いアジアの大都会にいるよりも、ゴルフ場の方がオープンエアでコロナウイルス感染拡大の恐れも少ないのではないかと思われるが、それでも他のスポーツ同様、続々とキャンセルが決まっている。

また、アジアの試合だけではなく、米PGAツアーの試合が中止になったり、「マスターズ」が延期になったりと欧米諸国の大会の中止・延期も増えて来た。今後の動向に注意が必要だ。

今年1月のSMBCシンガポールオープンで優勝したマット・クーチャー。この頃はまだ今のような「コロナウイルス感染」が騒がれていなかった。

コロナウイルスの影響で中止・延期のアジアのゴルフイベント（一部）

＊PGAツアー・チャイナは5月下旬まで開幕を延期

Text/Spencer Robinson

スペンサー・ロビンソン
（シンガポール）

ゴルフライター、ブロードキャスターとしてシンガポールを拠点に活動。アジアゴルフインダストリーフェデレーションの最高コミュニケーション責任者。