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【世界のゴルフ通信】From Europe R&Aとナイル・ホーランのコラボが実現

R&Aとナイル・ホーランはジュニアゴルファー減少に歯止めをかけられるか?

©Eiko Oizumi

Niall Horan
ナイル・ホーラン
1993年9月13日生まれ(27歳)。アイルランドの歌手で、イギリスのボーイズグループ「ワン・ダイレクション」のメンバー。グループは2016年に活動休止となり、それ以降はソロ活動している。

2019年「ISPS HANDAワールド・インビテーショナル」の表彰式で子供たちに囲まれるナイル・ホーラン(写真中央)。

ISPSハンダとはここ数年、スポーツにおける壁を取り払う活動に取り組んでいるけど、日本の若者たちにもっとゴルフを楽しんでもらえるといいね。できるだけ早く来日できるのを楽しみにしているよ!

©Getty Images

2015年「マスターズ」のパー3コンテストで、ローリー・マキロイのキャディを務めたナイル・ホーラン(左)。

 

アイドルや芸能人を駆使してゴルフ界の裾野を広げるR&A

世界のゴルフのルールを司る「R&A」は、ゴルフに新たな要素を取り入れるべく、世界のアイドルグループのメンバーを起用した。
現在は活動休止中の「ワン・ダイレクション」のナイル・ホーランだ。ナイル・ホーランは大のゴルフ好きで、自らが創設したプロゴルファーのマネージメント会社である「モデスト!ゴルフ」を所有しているが、R&Aはこのマネージメント会社とタッグを組み、ゴルフという競技をもっと広く浸透させたいと考えている。

世界中での売上が8500万にも及ぶ記録を持つポップ・ミュージック・シーンの寵児の一人、ホーランが持つ若者世代への大きなアピール力は疑いの余地もない。
ゴルフへの情熱が、音楽に対する愛に匹敵するか上回るほどのホーランなら、彼の有名人仲間たちも巻き込んで、ゴルフ界を盛り上げてくれるのではないか、と期待している。
彼は以前、友人のローリー・マキロイのキャディを「マスターズ」のパー3コンテストで務めたことがあったし、ジャスティン・ティンバーレイクやレアルマドリードのサッカー選手であるガレス・ベイルといった有名人の仲間たちと一緒にプレーしたこともあった。
長年に渡って、高齢者のための競技としてあまりにも不当に評価されていたゴルフというスポーツに、ホーランは新たな魅力を与えたのだ。

R&Aはこれまで未開拓だった市場の人々の心にゴルフを植え付けたいと期待している。

「自分のツイッターのフォロワー数はちょうど4000万人を超えたところですが、フォロワーの大半は18~30歳の年齢層なんです。フォロワーのたった1%でもゴルフを始めてくれれば、それだけでもかなりの人数になりますからね」

ホーランはテレビ番組「スカイスポーツ」に対し、「私はこれまで長い間、ゴルフを発展・成長させるために何かいい方法はないかと考えてきました。どのようにしたら若い人々をゴルフに取り込み、よりゴルフを身近なものにできるのか、どうやったら今までとは違う取り組み方ができるのかを考えているんですが、それに向けて一緒に取り組もうというオファーがどこから来るのか気になっていたんです」と語る。

「これを実現するためには運営組織が必要ですが、思ったよりも早く、R&Aから連絡が来たんです。その内容は信じられないほど素晴らしいものでした。というのも、それは私たちが待ち望んでいた内容だったからです」

「ゴルフで最も大きな運営組織のひとつであるR&Aと、まだできて間もない、真新しいマネージメント会社が一緒に組んで何かできるといいですね」

R&Aは、今の若者たちがどのように余暇を過ごしているのかを調査した。外部の組織とのパートナーシップにより、ゴルフではどんなことが可能になるのか? 

それはホーランのようなエンターテイメント業界のインフルエンサーの力を駆使することで、ゴルフに興味のなかった若者たちを取り込むチャンスが生まれるという利点がある。

一方、R&Aには長年に渡って培ってきた専門知識や経験があり、これらとホーランの要素をもっとアピールしていくことに焦点を置いている。

R&Aの最高開発責任者であるフィル・アンダートンは、「モデスト!ゴルフと組めば、より多くのゴルフ未経験者たちにアプローチでき、より多くの若者たちに家族や友人たちとゴルフをしてもらえるようになるのでは?」と期待している。

だが、成果を挙げるためには、SNSでの強い発信力以上のものが必要となる。ゴルフの持つ閉鎖的なプライベートクラブのような印象を変化させる必要があるのだ。

そのためには、若者たちを取り込むだけでなく、できる限り手頃な料金を提供しなければならない。

 

©Getty Images

R&Aとは、ゴルフ競技の総本山「ロイヤル・アンド・エイシェント・ゴルフクラブ・オブ・セントアンドリュース」のこと。ルールやゴルフ用品の基準はここで決められる。「全英オープン」は5年に1度、この地で開催される。

 

 

ジュニアゴルファーの人数が減少している欧州

最近のKPMGの調査によれば、ゴルフの発展のため、相当努力をしているにも関わらず、若者はゴルフを始めていないそうだ。

また、既存のゴルファー数についても心配だ。2018年に調査した欧州の既存のジュニアゴルファーの割合は、たった7%しかおらず、欧州におけるジュニアゴルファーの人数は2015年の34万9887人から2018年の30万73100人まで落ち込んでいる。

幸い、スウェーデンやスペイン、フランスといった国々では何とかジュニアゴルファーの数をそのまま維持しているが、欧州の全体的な傾向としては、ジュニアたちがゴルフから離れてしまっている。
ゴルフの未来のためにも、できるだけ多くの子どもたちにゴルフしてもらう必要がある。

だから、ホーランや彼の有名人の友人たちが子どもたちに、テレビゲームのコントローラーの代わりに7番アイアンを手に取るよう、うまく説得できることを願う。

 

 

Text/Euan McLean

ユアン・マクリーン(スコットランド)

スコットランドを拠点に欧州ツアー、海外メジャーを過去20年以上に渡り取材。

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