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【世界のゴルフ通信】From Asia 全米女子アマから羽ばたくアジアの星「ホウ・ユーチャン」

アジアのニューヒロイン誕生
「全米女子アマ」から羽ばたくアジアの星

©USGA

ケンタッキー大在籍のジェンセン・キャッスル(左)とアリゾナ大在籍で、台湾出身のホウ・“ビビアン”・ユーチャンが「全米女子アマ」の決勝で激突。

©USGA

今夏、肋骨にケガを負っていた20歳のジェンセン・キャッスルが優勝。

台湾のホウ・ユーチャン
惜敗の涙

©USGA

ホウ・ユーチャンはオールアメリカンにも選ばれている実力の持ち主。彼女は股関節唇損傷により、最近ではあまりプレーできていなかったが、ようやく回復した。

ホウ・ユーチャンのほおから涙が流れ落ちた。ウェストチェスターCCで7日間、過酷な9ラウンドのプレーを終えた後、この20歳の台湾人選手は心身ともに疲れ切っていた。
もう少しで優勝、というところまでいったが、「全米女子アマ」の36ホールのファイナルで2&1で負けたことは、納得し難い事実だった。
ホウがランチ休憩までは2アップでリードしていたのだからなおさらだ。  

ホウは、かつて世界女子アマランク1位だったが、ケガや新型コロナウイルスの流行による旅行制限によって、アマチュアにとって最も大事な試合の一つ「全米女子アマ」への準備がしづらい状況になっていた。

ホウは、左股関節唇の部分損傷によって5月下旬の「NCAA選手権」以来、競技に出ていなかったが、2020年の女子ゴルフ・コーチ協会の年間優秀新人賞を受賞していた。
アリゾナ大学3年生の彼女は、「今年の夏に手術を受ける予定でしたが、最後のシーズン後にトレーナーや大学のコーチ(ローラ・イアネロ)と話し合い、手術はせずに理学療法(PT)にもっと重点を置いて、手術の代わりにいろいろな運動にトライしようと決めたところでした」と付け加えた。

もし「全米女子アマ」で優勝していれば、ジム・フューリック(全米シニアオープン)、アニカ・ソレンスタム(全米シニア女子オープン)に続き、今夏に全米ゴルフ協会(USGA)のタイトルを獲得する3人目のアリゾナ大出身ゴルファーとなったのだが、残念ながらそれは叶わなかった。

来年の 「全米女子オープン」に出場決定

ホウにはキャディであり姉妹のユー・サンがいるが、彼女がホウのチームのまとめ役となっている。
チームにはコーチのイアネロやチームメイトのマヤ・ベニタ、台湾の同胞であり、マッチプレー出場の資格を得られなかったハン・スアンウがいる。
ホウは3か月前にはこのような好成績を挙げることなど考えられなかったことを認めた。  

決勝戦まで駒を進めたご褒美の一つとして、2022年6月の第1週にノースカロライナ州サザンパインズにあるパイン・ニードルズ・ロッジ&ゴルフ・リゾートで開催される「全米女子オープン」に出場できることになった。
「全米女子オープン」の舞台に立てることをワクワクしながら待ちわびることになるだろうが、彼女がそこでアマチュアとしての資格をキープして出場するか、またはプロになるかは今のところ、不明である。

彼女はプロテストを受けるため、8月19日からカリフォルニア州ランチョ・ミラージュで始まったLPGAツアーのQスクール・第1ステージに挑戦している。

2018年にシンガポールのセントーサGCで初開催された「アジアパシフィック女子アマ」で、ホウは29位タイに終わったが、その当時、リーダーボードで彼女よりも上位にいた選手たちの中にはフィリピンの笹生優花(2位タイ)とタイのパティ・タバタナキット(15位タイ)がいた。
彼女たちは今やLPGAツアーのスターとなっているだけではなく、メジャーチャンピオンでもある。  

プロ入りして現在活躍している選手は他にもいる。
タイのアタヤ・ティティクル(同大会優勝)や、フィリピンのビアンカ・パグダンガナン(15位タイ)、そして東京オリンピックで銀メダルに輝いた、日本の稲見萌寧(18位タイ)だ。
彼女たちの活躍ぶりを見ても、ホウがプロ入りした後の活躍に期待が持てそうである。

松山英樹、金谷拓実に続くアジア勢は誰だ!?

©Getty Images

世界アマチュアランキング1位に贈られる「マーク・マコーマックメダル」を獲得した中島啓太。日本人では昨年受賞した金谷拓実に次ぎ2人目。

「全米女子アマ」の翌週に開催された男子の「全米アマ」では世界アマチュアランキング1位の中島啓太が注目を集めていたが、2日間のスコアは80、71でマッチプレーに進むことはできなかった。
同じく日本から挑戦した米澤蓮、山脇健斗、そして杉原大河らもまた、好成績を残すことができず早々に敗退した。  

他のアジア勢は、マレーシアのカビシュ・バラダンや中国のリン・ユーシンとジン・ボーのみがマッチプレーに進むことができたが、ジンが2回戦で敗退した段階で、アジア勢の挑戦は終わってしまった。

Text/Spencer Robinson

スペンサー・ ロビンソン
(シンガポール)

ゴルフライター、ブロードキャスターとしてシンガポールを拠点に活動。

アジアゴルフインダストリーフェデレーションの最高コミュニケーション責任者。

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