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【世界のゴルフ通信】From Asia シンガポールの新しいゴルフ様式でJGTOとの共催を再開

シンガポールの新しいゴルフ様式
いよいよJGTOとアジアンツアーの共催試合が再開

米LPGAツアー「HSBC女子世界選手権」の開催地、セントーサGCのタンジョンコース18番ホール。

セントーサGCの支配人、アンディ・ジョンストン氏。

コロナ対策が盛り込まれた新時代のゴルフ規則

今の世の中、コロナパンデミックによって嫌が応でも、全てのゴルフ場で安全のためのコロナ対策と通常のゴルフ場の運営方法の導入を強いられている。
実際シンガポールの大多数のゴルフ場では、ゴルファーとゴルフ場のスタッフの安全と健康を確保するために、またパンデミックがきっかけとなったゴルフブームから利益を得るために、課せられた義務以上の努力を払っている。

島国であるシンガポールでは、この1年半、国内18コースは常に満員になっており、「予防接種証明」や「接触を最小限に抑える方法」がゴルフの辞書に新たに加えられた項目として話題になった。
ソーシャルディスタンスを保つこと、旗を抜かないこと、バンカーを均さないこと、握手をしないことなどに加えて、さまざまな安全管理対策(SMM)が導入されている。
飲食時以外は常にマスクを着用すること、ハンディキャップ用のスコアカードはWhatsAppなどのアプリを使って提出すること、ラウンド終了後は人との交流を避けることなどが必要事項に含まれている。

ラグーナ・ナショナル・ゴルフリゾートクラブで16ヶ月ぶりに開催された競技で、ホールインワンを決めたゴルファー。

過去最高のラウンド数を記録、ゴルフ活性化のシンガポール

確かに、新型コロナウイルスの感染が確認されたことで、衛生管理と徹底的な清掃のために24時間の閉鎖を余儀なくされたシンガポールのゴルフ場は数知れない。
しかし全体的に見れば、この対策は望ましい効果をもたらしており、各コースは過去最高のラウンド数を記録しただけでなく、さまざまな層からの新規会員を迎え入れることができた。
午前9時から午後6時までオフィスに出勤から、フレックスタイム制での在宅勤務へと生活様式が変化した多くの人々が、ゴルフに行きたいと思うようになったからである。

その典型的な例は、ラグーナ・ナショナル・ゴルフリゾートクラブだ。16か月の休業期間を経て、クラブの試合が開催されるようになった。
パンデミック以前は、メダルを競う毎月の大会には50人の会員が参加し、多い月でも70~80人くらいだった。

ところが7月に再開されたメダル大会には、4つのハンディキャップ部門に171人のプレーヤーが参加した。
そして、8月のメダル大会には168人が詰めかけ、クラブ・マッチプレーの予選も兼ねた9月のメダル大会には166人が参加した。
そのため、申込者全員が参加できるようにするため、2日間の日程にしなければならなかったのだ。

ラグーナ・ナショナルのゴルフ運営部長であるジャック・ウォン氏は、「毎月のメダル大会開催のため、数々の規則に従ってくれたプレーヤーの皆さんに感謝します」と語っている。
そして「接触を最小限に抑える方法はうまくいったので、今後はどこのクラブでもこの方法が試合で採用されるでしょう」とウォン氏は言い添えた。

また総支配人のマーク・アイズリー氏は、クラブの会報『ラグーナ・ライフスタイル』の中で2021年を振り返り、「私たちの前にはいくつもの困難が待ち受けていますが、今年はラグーナ・ナショナルの歴史の中で、本当に記念に残る1年だったと思い返すことでしょう。2020年12月の新クラブハウスの落成に続き、デュシット インターナショナルがシンガポールで最初に手がけた5つ星の高級アーバンリゾート『デュシタニ ラグーナ シンガポール』のオープンを祝うことができましたが、これらの開発は、2つの18ホールのチャンピオンシップコースの改修と合わせて、数百万ドルを投じたクラブの変革の一環です」と述べている。

より長期的な計画としては、プロアマ問わず、注目を集めるような国際試合の開催を目標に掲げている。

セントーサ・ゴルフクラブは、シンガポールでは、ビッグイベント開催の経験が豊富なコースの一つであり、セラポンコースとニュータンジョンコースは評価が高く、コロナ休業後再開してからは会員が殺到している。

セントーサGCの支配人兼主任アグロノミストのアンドリュー・ジョンストン氏は、「1年以上の閉鎖期間を経て、これほど多くの会員がゴルフとセントーサGCを愛してくれていたということに感動しています。毎日のようにラウンド数の記録が塗り替えられるほどの盛況です」と語っている。

ラグーナ・ナショナルGRで再開された「メダル大会」中のシーン。

JGTOの試合がシンガポールに戻ってくる!

既に通常営業しているセントーサGCは「Audiクワトロカップ」などの企業主催のイベントも開催しているが、来年1月のアジアンツアーとJGTO(日本ゴルフツアー機構)の共催による「SMBCシンガポールオープン」の開催に向けて準備を進めているところだ。

このためセントーサGCでは、トーナメントのプロモーターであるSPORTFIVE社やシンガポール政府当局と緊密に連携し、イベントの詳細やコロナ対策の微調整を行なっている。
刻々と状況が変化しているので、試合が予定通り開催できるかどうかは、その時になってみないとわからないが、開催可能な明るい兆しが見えている。

Text/Spencer Robinson

スペンサー・ ロビンソン
(シンガポール)

ゴルフライター、ブロードキャスターとしてシンガポールを拠点に活動。

アジアゴルフインダストリーフェデレーションの最高コミュニケーション責任者。

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