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キム・シウーが2年ぶりに優勝
「緊張したが、奥さんの存在がリラックスさせてくれた」

Text & Photo/Eiko Oizumi

昨年12月に、LPGAプレーヤーのオ・ジヒョンと結婚したばかりのキム・シウー(左)。

 3日間、首位に立っていたハイデン・バックリーと3打差からスタートした27歳のキム・シウーは、最終日に出だしから3連続バーディを奪い、上がり2ホールで2連続バーディを奪取するなど8バーディ、2ボギーで64をマーク。最終日にスコアを6つ伸ばし、バックリーを1打差で抑え、逆転勝利を収めた。2021年「アメックス選手権」以来の2年ぶりの勝利で、優勝賞金1.42ミリオンドル(約1億8300万円)を獲得。2021年ケビン・ナ、2022年松山英樹に続いて、3年連続でアジア人優勝者が誕生した。ちなみに韓国籍のプレーヤーでは、2008年に優勝したKJチョイ以来。1983年に青木功が「ハワイアンオープン」で優勝して以来、40年目を迎えたが、アジア人選手が勝利を挙げた。

 終盤ではバックリーとキムの一騎打ちとなり、プレーオフにもつれ込むかと思われた。最終組でプレーしていたバックリーが16番でバーディを取り、その時点でキムに1打リードしていたが、その直後に17番グリーンでキムがチップインバーディを沈め、首位に並んだ。18番でバーディを取ったキムに対し、バックリーはパーで、万事休す。プレーオフには進めなかった。

「17番はタフなピン位置だった。フォローの風が吹いていたので、グリーンも止まりづらかった。グリーン奥の難しいライに入ってしまったけど、16番で(バックリーが)バーディを取ったのを、歓声で知ってたので、アグレッシブに攻めたら、チップインできたんだ」

最終日の17番でチップインバーディを決めたキム・シウー。観客にもっと拍手と歓声を促した。

彼は2013年にPGAツアーメンバーとなり、2016〜2017年シーズンには、第5のメジャーと呼ばれる「プレーヤーズ選手権」でも優勝した。もともとアマチュア時代から将来を嘱望され、ナショナルチーム入りを果たしていた彼だったが、父親からはプロ転向し、ツアー優勝した後も「お前はトッププロではない。だから、トッププロのような振る舞いをしてはダメだ」と言われてきたという。だが、「プレーヤーズ選手権」で優勝したことで、自分自身に高い期待を抱いてきた。それがプレッシャーとなり、しばらく優勝できなかったと分析している。だが、今回はあまり期待することなく、比較的気負わずにプレーできたことが勝利へとつながった。失うものはない。ただアグレッシブに行こうと攻めた結果、最終日の64という好スコアにつながったのだった。

カミロ・ビジェイガスの弟・マニーが、昨年の「プレジデンツカップ」以来、キャディを務めている。

「それと、キャディのマニー(ビジェイガス)と試合前に話をしていて、“悪いショットを打っても、怒らずにいい態度でいるようにしよう”と心掛けた」のだという。彼は過去に、ショットのミスに腹を立て、クラブを池に投げ捨てるような態度を取り、マナーの悪さで記事に書き立てられたこともあったが、そういう部分を排除し、できるだけ冷静に、怒ることなくプレーしようとしたことも、優勝につながったと語る。

 また、今回の勝利は、先月19日に韓国ソウルで結婚したばかりの妻の存在も大きかったようだ。LPGAプレーヤーのオ・ジヒョンと結婚した彼は、「ソニーオープン」参戦前に1週間早くハワイに入り、ハネムーンを楽しんだ。今までに「ソニーオープン」出場以外でハワイを訪れたことがなかったというが、試合に出場中もコース外ではハネムーン気分だったという。

「彼女が一緒にいてくれて、本当に助けてくれた。自分を冷静にしてくれる。特に今日は、ちょっと僕が緊張した時でも、彼女の姿を見てリラックスできた」

 毎年、年始には「ツアーで1勝を挙げること」を目標に掲げるというキム。今年の1戦目で既にその目標を達成したことになるが、

「早く2勝目が来るといい。そして、優勝しなければいけないというプレッシャーを感じることなく、楽しんでプレーできるようにしたい」と語った。

最終ホールでキム・シウーのティショットは、左のフェアウェイバンカーにつかまるも「昨日も入れていたので、打ちやすかった」と語った。

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