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【世界のゴルフ通信】From USA 災難続きの花形トッププ レーヤー「ブライソン・デシャンボー」

事件多発! デシャンボー劇場
災難続きのブライソン・デシャンボー

©Getty Images

コブラ社とプロ転向以来、クラブ契約を結んでいるデシャンボーが、「全英オープン」で「今のボクのドライバーは最悪」とコメント。後日コブラ社に謝罪した。

©Getty Images

ブライソン・デシャンボーのスロープレー問題以来、関係が悪化しているブルックス・・ケプカ(左)と。彼らの確執が今、ツアーでも話題になっている。写真は、2020年「アブダビHSBC選手権」のイベントに参加中の一コマ。

型破りのデシャンボーの苦悩の日々

ブライソン・デシャンボーは「全英オープン」の第2ラウンドで精いっぱい控えめに1番ティーに登場した。
彼は、前日に世界的なニュースの見出しの原因となった〝役に立たないドライバー〟ではなく、4番アイアンを抜くとまるでブーイングでも受けているかのようなパントマイムを観客に向かって披露した。  

1番のティーグラウンド周辺を取り囲んでいる多くのファンたちがヤジればヤジるほど、彼はファンたちをさらにけしかけ、最終的にはそうしたヤジの声を応援の声へと変えた。
だが、結果は4番アイアンでは気恥ずかしいくらいフェアウェイには届かなかったのだ。  

ブライソンは観客たちに非常に人気があると言われているが、観客は彼がドライバーを取り出し、遥か彼方へとナイスショットするのを見るのが大好きであり、彼もショーマンとなることを楽しんでいる。
また、彼はよく観客たちのネガティブな反応を引き出すためだけに、ワザとアイアンを抜くことがある。
だが、そのあとでドライバーに替えると、観客から称賛の拍手が沸くのだ。  

デシャンボーはSNS上で叩かれることもあるが、おもしろい人間だ。
自身のエクササイズプログラムや食事療法、全番手同じ長さのシャフトが装着されているアイアン、ブルックス・ケプカとの確執などを通じて、型にはまらないやり方でゴルフの活性化に一役買っている。

だが、最近それでは八方塞がりになってしまっているようだ。
ケプカは相変わらずデシャンボーを挑発し続け、二人の違いがさらに浮き彫りになっている。
またもや「全英オープン」でのことだが、ケプカが「Driving into the weekend」(週末に向けて頑張るぞ!)と自分の写真とともにツイートしたが、これは前日、デシャンボーがドライバーを非難し、契約先のメーカーから叱責を受けたのをからかうものである。

ブライソンは、ケプカからの挑発を受けても平気な様子だが、そのせいで大勢のギャラリーから嘲笑されるのはガマンしなければならない。
これには頭が痛いようである。

負の連鎖から抜け出せるのはいつか?

Before

©Getty Images

プロデビュー以来、長年に渡って献身的にキャディを務めてきたティム・タッカー氏(左)。「ロケット・モーゲージ」の初日のスタート前に決別した。

After

©Getty Images

コーチのクリス・コモの右腕であるブライアン・ザイグラー氏(左)が「全英オープン」から正式にエースキャディとしてバッグを担いでいる。

試合でのプレーぶりよりもクローズアップされる「余興」

だが、7月の「ロケットモーゲージ・クラシック」の大会前日に起こったキャディとの決別や、「全英オープン」第1ラウンド後の彼のドライバーについての暴言とそれがどのように「最悪」か、ということが余計なドラマを生んでしまった。
その後、コロナ陽性となりオリンピックに出場できず、「WGCフェデックス・セントジュード」で、ワクチンをより必要としている誰かのために自分はワクチン接種しないことが最善と主張した。

だが、そろそろこれらの「余興」も終了して、再スタートを切るべきだ。

彼にとって最も大事なことは、勝つことであり、今季は2勝を飾っているが、そのこと以上に「余興」が多すぎて大事なショーが霞んでしまっている。

2020年の「ロケットモーゲージ」で優勝した時にも貢献した長年のエースキャディ、ティム・タッカーと決別した今年は、同大会で予選落ちを喫した。

その後、「全英オープン」ではキャディ問題が解決し、良い方向に向かっているとデシャンボーは言ったが、第1ラウンドを71で終えた後、契約先のコブラ社に怒りをぶつけ、「ドライバーが最悪だ」と言い放った。
だがボールの行方を考えれば、71というスコアは実際のところ、かなりいい。  

その後、コブラ社のツアーレップのベン・ショーマン氏は、『ゴルフウィーク』誌のインタビューを受け、27歳(当時)のPGAツアー8勝の選手に対し、大人にならないといけないと発言した。

デシャンボーはラウンド後、メディアに話すことを拒んだというが、彼の名誉のために言えば、実際は顔見知りのレポーターたちの前で立ち止まって謝罪し、説明。こうしたことから立ち直りたいと話したそうだ。

「僕は27歳で、人間だ。間違いを犯すこともある。間違いを犯し続けながら、そこから学ばないと……」

ブライソンがある程度時間をかけ反省するのは悪くない。
そしてもうそろそろ、より良い方向に歩を進める時である。

Photo/Getty Images、PGA TOUR

Text/Bob Harig
ボブ・ハリグ(アメリカ)

ESPN.comシニアゴルフライター。25年以上に渡り、ゴルフトーナメントの取材を続けている。全米ゴルフ記者協会会員。

Photo/Getty Images、PGA TOUR

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