まもなく開幕の海外男子メジャー第1戦
「マスターズ」で松山英樹、2連覇なるか?
昨年、アジア人で初の「マスターズ」チャンピオンとなった松山英樹(中央)。左はフレッド・リドリー会長、右は前会長のビリー・ペイン氏。
松山英樹のチャンピオンズディナーに注目
今年のチャンピオンズディナーは、日本人の松山がホスト。寿司などの日本食がメインになる?!
松山英樹の食生活の秘密
「チックフィレイ」は、ジョージア州に本社を置く全米展開のファストフードチェーン店。
松山英樹がマスターズで優勝する数か月前、米国人ゴルフライター数人が、コースでの長い一日を終えた松山とその仲間たちをフロリダのホテルのロビーで見かけたことがあった。
夕食に出るために集まった記者たちが、松山たちが皆で何を食べているのかがすぐにわかった。
「チックフィレイ」だ。「秘密」を知ってしまったと言う記者たちに、松山は笑うしかなかった。
「チックフィレイ」は、フライドチキンなどで知られる人気のファストフード店だ。
後日、この店のチキンを松山が大好きであることがわかった。松山が再び同じように「チックフィレイ」の食べ物をテークアウトしているのが目撃されたからだ。
そのことを知ってから、「マスターズ」で優勝して数か月後、「WGCフェデックス・セントジュード招待」で松山が1ラウンド目を終えたところに偶然出くわした。
私はヒデキに、「メンフィスでチックフィレイを見つけられた?」と聞いてみた。
松山は、躊躇することなく笑顔で、「いや、アイホップなら見つけたよ」と返し、二人で笑ってしまった。アイホップは、朝食メニューに特化したパンケーキなどを食べられるレストランだが、栄養面で知られているわけではない。
松山がこうしたアメリカの飲食店を気に入っているようなので、オーガスタでのチャンピオンズディナーのメニューにこういったメニューも含まれるのでは? と思った。
松山の通訳のボブ・ターナー氏には、その質問が冗談であることを明かした上で、ヒデキに言ってみると、彼はそれを受け流すように、「まさか、それはあり得ないよ!」と笑った。
火曜夜の伝統的なディナーのメニューが何になるのか正確にはわからないが、彼はおそらく伝統的な日本料理を選ぶといって間違いないだろう。
松山英樹、浮き沈みの1年
昨年、彼にはいろいろなことがあった。
最後の勝利から約4年が経過していた2021年4の「マスターズ」で、ウィル・ザラトリスとザンダー・シャウフェレを抑えて、日本人男子ゴルファー初のメジャー大会優勝を果たした。
しかし、その後もいくつかの困難が待ち受けていた。「マスターズ」で優勝直後に日本に帰国した彼は、隔離を余儀なくされ、7月上旬にコロナウイルスに感染。
「全英オープン」を欠場するなど、苦悩の日々を送った。
しかしその後、状況は好転。
日本開催のオリンピックでは4位入賞。
「WGCフェデックス・セントジュード・インビテーショナル」ではプレーオフの末、惜敗したが、その後、母国開催の「ZOZOチャンピオンシップ」で優勝。
今年1月の「ソニーオープン」で今季2勝目を飾った。
この結果、松山は世界ランクでトップ10入りを果たしたのだった。
タイガーは松山のチャンピオンズディナーに出席
タイガーといえば……松山英樹がホストを務める「マスターズ」のチャンピオンズディナーに出席する意向を発表。
寿司を楽しみにしているとコメントした。
チャンピオンズディナーには出席するが、「マスターズ」に出場する可能性は極めて低いと思われる。
昨年12月の「PNC選手権」では、息子のチャーリーと共に出場し、昨年の2月23日の交通事故の深刻さを考えれば、驚くべき健闘を見せた。
しかし、公式の試合に出場するのはまだほど遠いと語っている。
タイガーは、「今の僕は彼らと戦うことはできない。
彼らと戦える、高いレベルにあると感じられるようになるには、まだかなりの努力が必要だ」と語った。
しかも、まだ18ホールを歩くこともままならないため、オーガスタの起伏には対応できないようだ。
だが「パー3コンテスト」ならプレーも可能なのでは?
そうなれば楽しみだ。
「パー3コンテスト」は過去2年間、コロナパンデミックの影響で中止となったが、今年は復活する予定だ。
観客も今年は完全有観客で行なわれるようだ。
コロナの新たなパンデミックが発生しない限り、「マスターズ」はある程度平常通りに開催されるだろう。
オーガスタのコース改造は?
一方、コース改造については、オフシーズン中に、11番ホールと15番ホール、そしておそらく13番ホールでも大きな工事が行なわれているという報告や航空写真が数多くあった。
11番ホールではかなりの数の木が伐採され、13番ホールではティーの位置が移動できるようになり、15番ホールはかなり距離が長くなったようだ。
昨年、最終日の松山は、15番ホール(パー5)でグリーンをオーバー、池につかまり、ボギーを叩いて苦戦を強いられていた。
結果的には1打差で優勝したが、おそらく今年は、このホールを違う攻略法で攻めるだろう。
いずれにしても、今年最初のメジャーがどのような展開になるのか、興味深い。
そして、念のため言っておくと、オーガスタには「チックフィレイ」と「アイホップ」どちらもある。
Photo/Getty Images
Text/Bob Harig
ボブ・ハリグ(アメリカ)
ESPN.comシニアゴルフライター。25年以上に渡り、ゴルフトーナメントの取材を続けている。全米ゴルフ記者協会会員。
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