Text/Eiko Oizumi
Photo/Getty Images
松山英樹が、新年早々また一つ、偉業を成し遂げた。
今までどちらかといえば、苦手意識のあった「ソニーオープン」で、ラッセル・ヘンリーとのプレーオフを制し、米ツアー通算8勝目を達成。これで、韓国のKJチョイが達成したアジア人米ツアー最多優勝回数に並んだことになる。来月には30歳を迎える松山だが、米ツアー203試合目、29歳10ヶ月22日で成し遂げた。
「アジア人の最多優勝が8勝なので、丸山(茂樹)さんから早くそこを抜いてくれ、と言われているので……」
と「ZOZOチャンピオンシップ」で優勝した際に口にしていたが、今大会の優勝でその記録に並び、あと1勝で抜き去るところまで来ている。数週間後には過去、何度も優勝争いを演じ、実際に勝利を飾った「WMフェニックスオープン」も控えており、30歳前にアジア人最多記録を更新する可能性も十分あるのだ。
3日目を終えて2打差の首位に立っていたラッセル・ヘンリーは、9番ホールのイーグルを含む、前半29というスコアで折り返し、一時は5打差がついていた。だが、松山は10〜11番で連続バーディを奪い、一方のヘンリーは11番でボギーを叩いたことで、一気にその差は2打差に縮まった。
「もう5打差になったので、チャンスがないくらいのところまで落ちてしまった。それでも3アンダーで回っているから悪いプレーじゃないと思ったし、後半良いプレーをすればチャンスが巡って来るんじゃないかと思いました」
後半で5バーディを奪い、最終ホールで首位に並んだ松山は、プレーオフへ。1ホール目のセカンドショットがベタピンにつき、圧巻のイーグル締めで幕を閉じた。
「3Wで、ちょっとカットボールでぴったりの距離だった。逆光でまったく見えなかった(笑)。でも歓声でいいところにいったんだな、と」
今季、複数回優勝を遂げているのは、今のところ松山ただ一人。彼の今季の優勝は、いずれも日本企業がスポンサードしている大会だ(ZOZOチャンピオンシップ、ソニーオープン・イン・ハワイ)。昨年はコロナ禍で無観客で行なわれた「ソニーオープン」だが、今年は通常通りの観客数に戻して開催された。まだまだ例年に比べれば、日本人の観光客は少ないハワイだが、それでも日本語の声援が飛び、松山の優勝を後押ししたことは確かだ。
「5打差ある中でも、(日本人ギャラリーの)力をすごく感じましたし、いいプレーにつながるんだな、と思いました」
昨年10月から始まった今シーズンは、まだ3ヶ月目と始まったばかり。ディフェンディングチャンピオンとして臨む「マスターズ」までの期間も、「プレーヤーズ選手権」やWGCイベントなどビッグトーナメントが目白押し。メジャーチャンピオンとしての風格が、ますます増している松山が、世界の頂点を目指して優勝を掴み取りに行く。