ゴルフの経済を知ればビジネスのヒントも見つかる!
今回のテーマは「世界的なゴルフブーム到来でゴルフ用品が足りない!」です。
クラブの売り上げは米国では45%、日本では8%増!
各ゴルフメーカーから、新商品が発売されている。
テーラーメイドの「ステルス」、キャロウェイゴルフの「ローグST」、ピンの「i525」、ダンロップの「XXIO 12」など……。
なお、各メーカーの商品は、発売前から注文が殺到しているのだという。
これまでにないくらい人気が高まっているゴルフ。
これはコロナ禍で、ゴルフが屋外で3密を避けられるスポーツとして、世界的に支持され、ゴルフブームが起きているからだ。
米国のゴルフ調査会社データテックによると、2021年のゴルフのラウンド数は2019年(パンデミック前)に比べて18%増加と推定されている。
米国では2000年からラウンド数が毎年1%近く減少し続けてきたが、コロナ禍でこの状況が一変。ラウンド数はピーク時の2000年レベルに一気に戻った。
ゴルフ用品についても、2021年の売り上げは2019年と比較して45%も増加している。
日本も米国ほどではないが、矢野経済研究所によると、2021年のゴルフクラブのメーカー出荷額は、2019年に比べ8%増加と推定されている。
しかし、世界的な需要の増大でゴルフクラブが足りない。
生産・供給が追い付かないのだ。
その背景には、ゴルフクラブの部品、特にグリップやシャフトの供給が間に合わなくなっているという実情がある。
グリップ「ゴルフプライド」の日本フェィウィック株式会社のゴルフ営業部長、里見孝人氏によると、「グリップが品薄になったのは、2020年の秋からで、今年になってもその状況が続いている。
グリップ用の原材料のゴムの供給は、今のところ問題ないが、生産する台湾、タイの人員不足で需要に対応する増産が出来ていない。
納期短縮のため、特に北米、ヨーロッパへは航空便で輸送している。
需要に対応できるのは今年の秋以降の見通し」とのことだ。
シャフトについても同様で、日本シャフトの栗原一郎氏は「需要に対しては追いついていないものの、常期以上の生産をしている。
この需要に追いつくため、増産用のスチール材と人員を確保できていない状況」と語る。
半導体不足と同様で世界的な景気回復傾向で原材料、人員の不足がゴルフ用品にも大きな影響を及ぼしている。
ゴルフクラブマニアの皆さんにとっては、しばらくは我慢の日々が続きそうである。
Text/Hirato Shimasaki
Illustration/Koji Kitamura