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THE OPEN SPECIAL 全英オープン!コリン・モリカワの「6 球」ルーティーン

THE OPEN SPECIAL

全英オープン
30回目の聖地優勝者は誰だ?!

2022年7月14日~17日/セントアンドリュース オールドコース

©Getty Images

今年のフラッグには、150回記念大会を祝して「150」の文字が。「全英オープン」開催まで残り150日となった2月に、このフラッグに変更された。

今年で150回目を迎える世界最古のトーナメント

聖地の歴史を数字で振り返る

Old Tom Morris

©Getty Images

セントアンドリュースで生まれ、セントアンドリュースで亡くなった伝説のゴルファー、オールド・トム・モリス。彼はグリーンキーパー、道具製造者、インストラクター、コース設計者、トーナメントプロとして活躍。「全英オープン」第1回大会は準優勝に終わったが、翌年優勝。計4勝を挙げ、最後の46歳での優勝は今も最年長優勝記録である。R&Aの建物に彼のポートレートが刻まれている。

過去、聖地で「全英オープン」制覇を成し遂げたのは25人

今年の7月、世界最古のゴルフトーナメント「全英オープン」の記念すべき第150回大会が、ゴルフの聖地・セントアンドリュースで行なわれる。

セントアンドリュースが「ゴルフの聖地」と呼ばれるのは、この地が「ゴルフ発祥の地」として知られているから。
エジンバラから北東に車を約1時間半走らせると、スコットランドの北海に面する街が広がるが、「全英オープン」が開催されるオールドコースは、16世紀に創立した、世界中のゴルファーの憧れのコースだ。

この地で初めて「全英オープン」が開催されたのは1873年。
1860年に「全英オープン」第1回目が開かれて13年後のことである。
初代聖地優勝者はトム・キッド(スコットランド)で、その他、ボビー・ジョーンズ(1927年)、サム・スニード(1946年)、ピーター・トムソン(1955年)、ジャック・ニクラス(1970、1978年)、セベ・バレステロス(1984年)、ニック・ファルド(1990年)、ジョン・デーリー(1995年)、タイガー・ウッズ(2000、2005年)ら名だたるレジェンドたちの名前が並ぶ。
最近では2010年にルイ・ウーストへーゼン、2015年にザック・ジョンソンが聖地で優勝。過去この地で29回開催され、25人の選手たちがチャンピオンに名を連ねている。

1世紀経っても距離が350ヤードしか伸びていない

近年の道具の進化により、世界の名門コースも距離の延長を余儀なくされ、改造に改造を重ねているコースも多いが、セントアンドリュースは、1世紀経っても、わずか350ヤードしか距離が伸びていない。
深いポットバンカーや長いフェスキュー芝、海からの強風などがハザードとなり、距離を伸ばさなくても十分難しいから、というのが最大の理由なのかどうかはわからないが、1世紀経過した今も、変わらぬ原風景を見せてくれている。

また、オールドコースのバンカー数は100を超え、2ホール共有のダブルフェアウェイや、ダブルグリーンがあるのも特徴。ダブルグリーンは全部で14個あり、単独のグリーンは、1、9、17、18番のみだ。
ちなみにグリーンを共有する2つのホールの番号を足すと、必ず18となるのは面白い。
例えば、6番と12番は共有のグリーンとなっており、6+12=18という具合である。

なお、このコースの全英レコードは63で、1990年にポール・ブロードハースト、2010年にローリー・マキロイが達成。
ただマキロイの場合は、翌日に80を叩き、「全英オープン」史上最大の不名誉な「大波小波」スコアを記録している。

Text/Eiko Oizumi
Photo/Getty Images

2021年「全英オープン」チャンピオン
コリン・モリカワの「6球」ルーティーン

ショットの精度の高さに定評があり、予選落ちを滅多にしないことで知られる2021年「全英オープン」チャンピオンのコリン・モリカワ。

彼はどんな練習をし、どんなことを大事にプレーしているのだろうか?

©R&A

Collin Morikawa

(米国)
1997年2月6日生まれ。カリフォルニア州出身。2019年にプロ転向し、米ツアー5勝、メジャー2勝。アマチュア時代から大活躍の、日系4世。世界ランク2位。

練習前のストレッチは45分かけて念入りに

©Yoshitaka Watanabe

赤いゴムバンドを使って、写真のように左右に回転を繰り返す。スイング中のように前傾して行なうのがポイント。

©Yoshitaka Watanabe

胸を開くようにバンドを伸ばしながらやってみよう!

朝の練習前には、ストレッチを約45分も行なうというモリカワ。

「練習場に来たら、まずはこの赤いゴムバンドを使ってストレッチ。肩や背中を中心に、体をほぐす」

バンドを伸ばしながら、胸を開き、肩や背中など、体をじっくり45分かけてほぐしていくという。
この時、スイング中のように前傾角度をキープしながら、何度も繰り返し行なうのがポイントだ。

練習前のストレッチというと、ヒザの屈伸やアキレス腱のストレッチなど、簡単に1~2分で終わらせてしまう人も多いだろうが(あるいはまったく何もしないで球打ちを始める人もいるだろう)、パフォーマンスの高いスイングをするには、彼のようにストレッチに重点を置くことも大切なのだ。

球打ちの最初と最後は、60度ウェッジで6球ずつショット

©Yoshitaka Watanabe

球の高低の打ち分けは、フィニッシュの手の位置でコントロールできる。

体をほぐした後は、60度のウェッジを使って球打ちをするというモリカワ。6球打つのがルーティーンだという。

「なぜ6球かはわからないが、必ず6球から始めて、最後も6球のウェッジショットで終わる。好きな数字は5なのに、なぜか6球のチップショットから練習をスタートするんだ。60度のウェッジを使っているのは、クラブの中で一番重いクラブなので、体の回転を感じながら、ボールや芝とのコンタクトの感覚を確認できるから」

また彼は、65ヤード、75ヤード、85ヤードを目安に距離感を確かめたあとで、全てのウェッジで距離を打ち分け、次に大好きだという8番アイアンと5番アイアンを打つのだという。

「バッグに入っているアイアンを全部打つ必要はない。長いクラブ(5番)と短いクラブ(8番)を打てば、感じがわかる」

5番を打った後は、5番ウッド、3番ウッド、ドライバーと打ち進め、最後は再びウェッジに戻って6球締めで練習を終える。

「考えれば考えるほど、ゴルフは難しくなる。スイングでは、どういうフィニッシュを取りたいかを意識している。トップの位置やダウンスイングの動きを考えるほど、スイングは崩れてしまうからだ。どこに振り抜くかを考えて、高い球を打ちたいなら耳より上、低い球を打つなら首までにするなど、フィニッシュを意識した方が、余計な動きがなくなると思う」

©Yoshitaka Watanabe

テークバックやトップの形などをあれこれ考えずに、どこに振り抜いていくかだけを考えるという。

Text/Eiko Oizumi
Photo/Yoshitaka Watanabe
Tournament/2021 ZOZO Championship

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