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チョン・インジ、全米女子プロで史上4人目の完全優勝!人生崖っぷちからの復活劇

KPMG Women’s PGA Championship

「全米女子プロ」で史上4人目の完全優勝
チョン・インジ、人生崖っぷちからの復活!

©PGA of America

In Gee Chun
チョン・インジ(韓国)

1994年8月10日生まれ。2012年にプロ転向し、米ツアー4勝、日本2勝(「日本女子オープン」など)。メジャーは3勝。リオ五輪には、韓国代表として出場。愛称はダンボ。ISPSアンバサダー。

これまで韓国ツアー、日本ツアー、米ツアーでメジャー優勝を遂げてきた“メジャーハンター”のチョン・インジ。
順風満帆に見られていた彼女のゴルフ人生だが、2018年の米女子ツアー「KEBハナバンク選手権」以来、勝利から遠ざかり、苦悩の日々を送っていたという。
今回「全米女子プロ」で優勝するまでは、「引退」も覚悟した彼女の心の葛藤を探る。

©PGA of America

チェ・ヘジン(左)らがウォーターファイトで祝福。スキンヘッドの男性は、日本でもおなじみのキャディ、ディーン・ハーデンさん。チョン・インジのキャディを務めている。

「ゴルフをやめないで、本当によかった……」

©PGA of America

3日目を終えて2位に3打差をつけていたチョン・インジだが、最終日はボギーが先行し、レキシー・トンプソンに首位を明け渡す場面もあった。

©PGA of America

バーディ発進で、猛追モードを見せたレキシー・トンプソン。だが、後半はボギーが重なり、チョン・インジとは1打差の2位タイに終わった。

©PGA of America

最終日は2つスコアを伸ばし、2位タイまで浮上した現在賞金ランクトップのミンジー・リー。チョン・インジとは近所付き合いもする仲。

スランプでゴルフをやめたくなった

デビューイヤーの2013年に韓国ツアーでメジャー優勝を果たし、日本でも、2015年「ワールドレディス・サロンパスカップ」「日本女子オープン」でメジャー2勝。
海外では2015年「全米女子オープン」、2016年「エビアン選手権」で、メジャー2勝を挙げている、美人でとにかく強いチョン・インジ。
2018年に「LPGA KEBハナバンク選手権」で優勝して以来、優勝からは遠ざかっていたが、ようやく4年ぶりに「全米女子プロ」というメジャーの大舞台で〝メジャーハンター〟らしく復活優勝を遂げた。
今大会でメジャー3勝目。初日から首位を守り抜いた完全優勝だった(史上4人目)。

「最初の9ホールは、プレッシャーを感じすぎて、全然楽しめなかった。でも、自分のゲームプランを守って、バック9でチャンスがあると信じてプレーしていたの。今でも体が震えているけど、優勝できて本当に幸せよ!」

同組でプレーしていたレキシー・トンプソンがバーディ専攻で追いかけてくる中、自身はボギー先行の内容で、一時は2ダウンしたこともあった。
だが、試合前にコーチから「ゲームを楽しめれば、優勝トロフィーはキミのものだ」と言われ、できるだけ笑顔で試合を楽しむことに集中した結果、勝利を手繰り寄せることができたという。

そんな〝強い〟彼女も、実は大スランプに陥り、一時はゴルフを本気でやめようと思ったこともあったという。

「スランプの時、本当にゴルフをしたくなかったんです。引退した方がいいとまで他の人に言われることもあったけど、でもそれでも私はやめなかった。また勝てると信じていたからね。でも心の中では、誰も心配させたくないから〝私は大丈夫よ〟と言ってたけど、本当は大丈夫じゃなかった。先日、姉にこの気持ちを打ち明けたら、涙が止まらなくなってしまったわ。アメリカにいるのはきついし、何をしたいのかもわからない。目標が見えないと言ったの。姉は〝ゴルフなんてやめなさい〟って私に言った。でもその時、私はゴルフはやめたくない、と思った。それで今週、一生懸命練習して、試合に臨んだの。そしたら優勝できて、本当に幸せ! やめずにゴルフを続けてきた自分が誇らしいわ。勝てたなんて信じられない!」

また今週のキャディは、以前日本ツアーでも男女選手のバッグを担いでいたこともある、ディーン・ハーデンさん。
彼の的確な距離の指示も、彼女の好プレーに大いに貢献し、メジャー3勝目へと後押しした。

ご近所のミンジー・リーとは夕食を共にする仲

さて、今季絶好調で、今大会2位タイに入ったミンジー・リーは、アメリカ(テキサス州)の自宅でご近所なのだという。
時々家で食事を一緒に取ることもあるそうだが、2つ年下のミンジー・リーのことは「彼女はたくさんのことを日々改善して全米女子オープンで優勝した。
私は彼女から多くのことを学んでいるわ」と後輩からも謙虚に学んでいる。
ミンジー・リーは「全米女子オープン」、チョン・インジは「全米女子プロ」の優勝トロフィーをゲットしたことで、きっと近所の知人たちも2つのメジャーの優勝トロフィーを見て喜ぶに違いないと想像して笑った。

自信を取り戻したメジャーハンターが、大暴れするのはこれからだ。

©PGA of America

最終日、4バーディ、1ボギーの69をマークし、通算1アンダーの5位タイまで浮上した畑岡奈紗。

©Eiko Oizumi

渋野日向子は予選通過をしたものの、体調不良のため、第3ラウンド開始前に棄権した。

最終成績

優勝チョン・インジ−5
2位ミンジー・リー
レキシー・トンプソン
−4
4位アタヤ・ティティクル−3
5位畑岡奈紗
キム・ヒョージュ
ハナ・グリーン
チェ・へジン
キム・セヨン
−1
10位ステファニー・メドウ
チ・ウンヒ
ジェシカ・コルダ
E
30位西郷真央
笹生優花
+4

【予選落ち】古江彩佳
【棄権】渋野日向子

Text/Eiko Oizumi Photo/PGA of America

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