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LIVゴルフ出場者3人に直撃インタビュー 「LIVゴルフについてどう思った?」

「LIVゴルフについてどう思った?」
LIVゴルフ出場者3人に直撃インタビュー

第1回ロンドン大会に出場した谷原秀人、木下稜介、香妻陣一朗の3選手に、「LIVゴルフインビテーショナル」に出場した感想を直撃!実際出場して感じたこと、思ったことを語ってもらった。

「日本ツアーにも参考になることがいろいろある。賞金も魅力!」谷原秀人

©Eiko Oizumi

(IRON HEADS GC)ロンドン大会38位
賞金約1836万円獲得

人数が48人しかいないからできることもあるだろうけど、日本でも取り入れられることはあると思う。
僕が契約しているISPSがやっている試合と似てるところもある。
たとえば、LIVゴルフでは夜にコンサートがあるけど、ISPSも能をやったり、演劇をやったり、とゴルフ以外のエンターテイメントでも盛り上げようとしている。
その他、音楽を流したりとか、ドラフト制で団体戦の選手を決めるとか、ショットガンでコンパクトに見せようとしているのも、日本では見られない工夫。
ゴルフは放映時間が長いと言われることもあるけど、いい試みだなと思う。

賞金についても正直、魅力。
「結局はお金のためにLIVに出てるんだろう?」という意見もあるけど、そのイベントに出るのもその人の人生だし、どこで稼ごうが、みんな生活のためにゴルフをしているのは同じだから、それがそんなに悪いことだとも思わない。
人それぞれの人生があって、自分の人生を楽しむことが大事だからね。
48人の中に選ばれないことには、この試合にも出られないけど、選ばれているということは、その価値があるってこと。
このイベントが何年続くのかはわからないけど、選手はいつ、どこでプレーしてもいい権利があると思っている。

海外の選手たちの中には「家族と過ごす時間を作りたいからLIVに出る」という選手もいる。
僕もそれはありだな、と思う。
ミケルソンやガルシア、そして自分もかれこれ20年以上、試合に出続けているけど、20年やるのは大変なことだし、正直しんどいこともある。
若くて強い選手たちもどんどんツアーには出てきているから、40代以上の選手が優勝するのも厳しくなっている。
「少ない試合数で賞金を稼げて、家族との時間も大事にしたい」というのも理解できるよね。

大会の雰囲気やコースについては、欧州ツアーのような雰囲気を感じるね。
ギャラリースタンドや、18番ホールの周りの建物などもすごく立派。
コースも普通にタフだし、お遊び気分ではいいスコアは出ない。
それと、選手だけでなく、キャディにも飛行機のチケットやホテルが提供され、海外ツアーのようにキャディがクラブハウスに入れないということはないから、一緒にクラブハウスで食事もできる。
そういうおもてなしはいいと思う。今後も出場できるなら、自分は出たいと思っている。

「目指すのはPGA ツアー。ノンメンバーに対する規則が発表されたらその時に考える」木下稜介

(PUNCH GC)ロンドン大会13位
賞金約4253万円獲得

©Eiko Oizumi

僕は今まで、いろんな海外の試合に行って、貴重な体験を積んできました。
そして、成長できてるなと実感することもあるので、できるだけ世界のトップランクの選手が出る試合には出たいと思っています。
その一貫でLIVゴルフも魅力です。ダスティン・ジョンソンやフィル・ミケルソンらが同じ48人のフィールドの中で戦っていると思うとワクワクします。
もちろんお金のことも大事ですが、自分のスキルアップのために出られる試合には出たいと思っているので、どんどん強くなりたいですね。

将来的にはPGAツアーで戦いたいと思っているので、もしLIVゴルフに出場しているノンメンバーに対する処罰などが今後、PGAツアーから出るようであれば、出場は控えますが、何も言われない限りは、自分のスキルアップのためにも出場したいと思っています。 

「新しいことをやろうとすると批判は出るものだと思う」香妻陣一朗

©Eiko Oizumi

(SMASH GC)ロンドン大会15位
賞金約3308万円獲得

今、世界でいろんな意味でLIVゴルフは話題になっていますが、その話題の中に存在できるのは嬉しいことだと思っています。
今後どうなるかわかりませんが、これが将来的にすごい試合になるかもしれないですからね。

全8試合、全部に出られるなら出たいと思っています。
LIVゴルフに対する反対意見については、日本ツアーでやっている僕にはよくわからない部分もありますが、日本ツアーよりも確実にトップクラスの選手がここにはいます。
さらに上を目指す上で、僕にとってはこの試合に出るのも必要なこと。
お金のことも魅力だけど、日本ツアーよりも上のフィールドで戦うことが大事で、段階を踏んで上にいけたらいいですね。

それと会場の雰囲気がいいですね。練習場でも常に音楽が流れていて、本当にいいと思う。
常に音が流れていたら、大して気にならないもんですよ。
前夜祭にしても、このフォーマットにしても、大会を盛り上げようとしているのはすごく面白いと思います。

たいてい、新しいことをしようとすると、批判は出るもの。
LIVゴルフとPGAツアーが折り合いをつけて、いいところに着地してくれればいいなと願っています。

O嬢日記@LIVゴルフ

LIVゴルファーにLIVメディア?!

©Eiko Oizumi

第1回ロンドン大会の取材に赴いたO嬢。会場の雰囲気も満喫。

©Eiko Oizumi

今後はLIVゴルフイベント+メジャー(!?)でしか会えないガルちゃん(左)と。

まず、LIVゴルフについては、様々な意見があるのは承知している。
サウジの人権問題なども、容認できない問題だ。
だが、私の仕事は世界のゴルフ界でどんなことが起こっているのかを、実際に現場に出向き、中立の立場で報じること。
道徳的にどう思うか、を感情的に語ることではないと思っている。
だから私は第1回目のロンドン大会の取材に行くことに決めた。
LIVゴルフとはどんなものなのか、この目で見たいと思ったのだ。
中には「え?LIVの取材に行くの? PGAツアーの取材、出禁になるんじゃない?」とか「LIVに行ったことは、PGAツアー関係者の前ではあまり話さない方がいい」などと言われたりもしたが、金銭の授受があるわけでもないメディアが取材場所を規制されることはあり得ない、とロンドンに向かったのである。

LIVゴルファーのウエストウッドやガルちゃんたちに現場で会うと、何か仲間意識を感じるのか、いつも以上に温かく迎えてくれた。
彼らは欧米メディアに囲まれるたびに、サウジの人権問題や金銭のことなどで手厳しい質問を浴びせられ、言葉に詰まりながらも誠意を持って答えようとしている。
ミケルソンは、いつもの饒舌さは影をひそめ、苦悩の表情を浮かべながら、一言たりとも揚げ足を取られないよう、注意深くコメントしている状態である。
高額の契約金も、ある意味、この手の精神的な苦痛にも耐え抜いてほしいという、慰謝料的な意味合いもあるのかな、と思うくらいだ。
彼らは追い詰められながらも、自分の正当性を頑張って主張しているが、その言い訳のようなコメントのほとんどが、「家族との時間を大事にしたい」という通り一遍のもの。
誰一人、「お金が魅力だから」という率直な意見を語らないのも、嘘臭いと思ってしまう原因の一つである。

今、ゴルフ団体とLIVゴルフとの軋轢だけでなく、選手間でPGAツアー派 vs LIVゴルフ派のような分断が起きている。
中には、「ライダーカップ」などで共に戦ってきたLIVゴルファーたちと顔を合わせるのが気まずいというPGAツアー選手もいるが、これはとても悲しい話だ。
どちらにも昔なじみのプロがいて、分断してほしくはない。
今後、LIVゴルファーたちが、PGAツアーの試合に出られる日が来るのか、あるいはメジャーにも一切出場できない日が来るのか、今の段階ではまったくわからないが、いろんな考え方の、いろんなキャラクターがいる、ごった煮のツアーだからこそ面白いのだ。
選手たちの分断に終止符が打たれる日が来ることを願っている。

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