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【Presidents Cup】米国選抜チームが5点差をつけて通算12勝目!

コロナで3年ぶりの開催となった米国vs世界の戦い

©Eiko Oizumi

前列左から、パトリック・キャントレー、ザンダー・シャウフェレ、ケビン・キスナー、デービス・ラブⅢ、コリン・モリカワ。後列左からトニー・フィナウ、マックス・ホーマ、ジャスティン・トーマス、スコッティ・シェフラー、ジョーダン・スピース、キャメロン・ヤング、サム・バーンズ、ビリー・ホーシェル。

世界ランキングの平均値は37位差と圧倒的な強さ!
米国選抜チームが5点差をつけて通算12勝目!

2022年9月22日~25日 クエイルホロークラブ(米国・ノースカロライナ州) 7576ヤード・パー71

世界的なコロナパンデミックの影響で、2年に一度の米国選抜と世界選抜の対決が、1年遅れとなった「プレジデンツカップ」。
今年からゴルフ界に参入した「LIVゴルフ」とPGAツアーとの深い確執により、LIVゴルフ移籍組の参加が認められず、出場選手の顔ぶれも様変わりした。
いまだかつてない、このような状況下での大会の様子を、「ゴルフ・グローバル」は現地取材。
両チームの選手の様子や、会場内の雰囲気など、ナマ情報をお伝えする。

©Getty Images

1番ティーに設置されたグランドスタンドの座席を確保しようと、連日大勢のギャラリーが長い行列を作った。座席は約2000。初日の1組目のスタートは13時だったが、早朝から並ばないと確保は不可能だ。

大会開幕前から、「米国圧倒的勝利」の下馬評

もともと2021年に開催予定だった、2年に一度の米国選抜VS世界選抜の対抗戦「プレジデンツカップ」。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受け、2020年の「ライダーカップ(欧米の対抗戦)」が順延されたことを受けて、本大会も1年延期。
2019年にメルボルンで行なわれて以来、3年ぶりに米国ノースカロライナ州の名門、クエイルホロークラブで開催された。

過去の通算戦績を見ると、11勝1敗1分、と圧倒的な強さを誇る米国選抜。
しかし2019年大会では、世界選抜が3日目を終えて2ポイントリードするなど、以前に比べて米国と世界との実力差は縮まっているという印象を受けた。
だから今年こそは24年ぶりの世界選抜優勝を、と期待する声も多かったのだが、結果は米国選抜17・5 ポイントに対し、世界選抜は12·5ポイント。
米国が5ポイント差で通算12勝目(9大会連続優勝)を挙げた。

LIVゴルフが今年からゴルフ界に参入し、その影響をモロに受けた世界選抜が戦力ダウンするなど、過去にはなかったような理由で米国選抜がさらに有利となった経緯がある。
だがいずれにせよ、米国選抜は世界ランク1位のスコッティ・シェフラーを筆頭に、世界のトップランカーがひしめきあうドリームチーム。最下位でもケビン・キスナーの25位止まりである。
一方、世界選抜は松山英樹の17位が最高で、出場選手中最下位はテーラー・ペンドリスの109位。
この類の対抗戦やマッチプレーなどでは、世界ランキングだけでは結果を推測できない要素もあるが、実力的に世界ランク平均値で両チームには37位分の差があったことは事実だ。 

ジョーダン・スピースが初シングルス Vで5戦5勝の快挙!

©Eiko Oizumi

盤石な体勢で臨む米国
「組み合わせで悩む必要ない」

昨年の「ライダーカップ」で5戦5勝を飾ったダスティン・ジョンソンや、キャプテンアメリカのパトリック・リード、圧倒的な飛距離で相手を凌駕するブライソン・デシャンボーらがLIVゴルフ移籍で「プレジデンツカップ」米国メンバーに加われなかったが、米国の成績にはほとんど無関係だったと言っていいだろう。
それほど米国には、勝つための要素がすでに揃っており、彼らの存在の有無が成績を決める要素ではなかったのだ。

1~3日目まで行なわれるフォーボールやフォーサムなど、2人1組で戦うマッチプレーでは、ジョーダン・スピース&ジャスティン・トーマス、ザンダー・シャウフェレ&パトリック・キャントレーという2組の無敵な仲良しグループが実力を発揮。
スピース&トーマス組は4戦4勝を記録し、シャウフェレ&キャントレー組も、トム・キム&キム・シウー組に1敗を喫したものの、2勝1敗と好成績。個人の記録を見ると、世界ランク1位のスコッティ・シェフラーは、0勝3敗1分とキャプテンの期待に応えることはできなかったが、一方でマックス・ホーマの4戦全勝や、3勝を挙げたトニー・フィナウの活躍などもあり、米国の勝利に関して、彼の不調は大勢に影響はなかった。

今大会では特に5戦5勝のジョーダン・スピースの活躍が光った。
彼は過去「プレジデンツカップ」と「ライダーカップ」に合計8大会、出場しているが、最終日のシングルス戦で勝ったことは一度もなかった。
だが、今年はキャメロン・デービスと対戦し、4&3でシングルス戦、初勝利。「シングルスでやっと勝てて嬉しい」と語った。

2022プレジデンツカップ 全成績

米国選抜 17.5 :12.5 世界選抜

※太字が勝利

●1日目フォーサム
(1チーム2人で、1つのボールを交互にプレー)
米国4勝:世界1勝
P・キャントレー&X・シャウフェレ 6&5 J松山英樹& A・スコット 
J・スピース&J・トーマス 2&1 I・ソンジェ&C・コナーズ
C・ヤング&C・モリカワ 2&1 T・キム& I・キョンフン
S・シェフラー&S・バーンズ 2UP K・シウー&C・デービス
T・フィナウ&M・ホーマ 1UP T・ペンドリス&M・ペレイラ

●2日目フォーボール
(1チーム2人で、それぞれ自分のボールでプレー。いい方のスコアを採用)
米国3勝:世界0勝 2引き分け
J・スピース&J・トーマス
2&1 A・スコット&C・デービス
S・シェフラー&S・バーンズ 引き分け I・ソンジェ&S・ムニョス
K・キスナー&C・ヤング 引き分け M・ペレイラ&C・ベフーズンハイト
P・キャントレー&X・シャウフェレ 3&2 松山英樹&T・キム
B・ホーシェル&M・ホーマ 1UP C・コナーズ&T・ペンドリス

●3日目フォーサム
米国2勝:世界2勝
J・スピース&J・トーマス
4&3 I・ソンジェ&C・コナーズ
C・ヤング&C・モリカワ 3&2 松山英樹&A・スコット
S・シェフラー&S・バーンズ 2&1 I・キョンフン&T・キム
T・フィナウ&M・ホーマ 4&3 K・シウー&C・デービス

●3日目フォーボール
米国1勝:世界3勝

P・キャントレー&X・シャウフェレ 1UP K・シウー&T・キム
J・スピース&J・トーマス 4&3 松山英樹&T・ペンドリス
T・フィナウ&K・キスナー 3&2 I・ソンジェ&S・ムニョス 
B・ホーシェル&S・バーンズ 1UP A・スコット&C・デービス

●4日目 シングルス
米国6勝:世界5勝 1引き分け

J・トーマス 1UP K・シウー 
J・スピース 4&3 C・デービス
S・バーンズ 引き分け 松山英樹
P・キャントレー 3&2 A・スコット
S・シェフラー 2&1 S・ムニョス
T・フィナウ 3&1 T・ペンドリス
X・シャウフェレ 1UP C・コナーズ
C・ヤング 1UP I・ソンジェ
B・ホーシェル 3&1 I・キョンフン
M・ホーマ 1UP T・キム
C・モリカワ 3&2 M・ペレイラ 
K・キスナー 2&1 C・ベフーズンハイト  

◉なんでもランキング
❶無敗のプレーヤー ジョーダン・スピース(5勝0敗)
マックス・ホーマ(4勝0敗) セバスチャン・ムニョス(2勝0敗1分)
クリスチアン・ベフーズンハイト(1勝0敗1分)
❷最多出場/アダム・スコット(10回)
❸ルーキー数/米国6人、世界8人
❹世界ランキング平均(トップの選手)
米国:12位(スコッティ・シェフラー1位)/世界:49位(松山英樹17位)
❺平均年齢/米国:29.6歳 世界:28.8歳
❻最年少出場
2009年 石川遼(18歳24日) 3勝2敗
2011年 石川遼(20歳2ヶ月3日) 2勝2敗
2013年 ジョーダン・スピース(20歳2ヶ月29日)2勝2敗
2022年 トム・キム(20歳3ヶ月1日) 2勝3敗

◉プレジデンツカップヒストリー
米国12勝 : 世界1勝 1引き分け
1994年 米国20 : 世界12 ロバート・トレントジョーンズGC(米)
1996年 米国16.5 : 世界15.5 ロバート・トレントジョーンズGC(米)
1998年 世界20.5 : 米国11.5 ロイヤルメルボルンGC(豪)
2000年 米国21.5 : 世界10.5 ロバート・トレントジョーンズGC(米)
2003年 世界17 引き分け 米国17 ファンコートホテル&CC(南ア)
2005年 米国18.5 : 世界15.5 ロバート・トレントジョーンズGC(米)
2007年 米国19.5 : 世界14.5   ロイヤルモントリオールGC(加)
2009年 米国19.5 : 世界14.5   ハーディングパークGC(米)
2011年 米国19 : 世界15    ロイヤルメルボルンGC(豪)
2013年 米国18.5 : 世界15.5 ミュアフィールドビレッジGC(米)
2015年 米国15.5 : 世界14.5 ジャック・二クラスGC・コリア(韓)
2017年 米国19 : 世界11 リバティナショナルGC(米)
2019年 米国16 : 世界14 ロイヤルメルボルンGC(豪)
2022年 米国17.5 : 世界12.5 クエイルホロークラブ(米)

Photo/Eiko Oizumi,Getty Images

Text/Eiko Oizumi

大泉英子
「ゴルフ・グローバル」編集長。国内男子、海外ツアー取材をメインに、男・女・シニア、海外メジャー取材は100試合以上。全米ゴルフ記者協会、日本ゴルフジャーナリスト協会会員。

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