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【私の愛したゴルフコース】第18回ザ・ヨーロピアンクラブ(アイルランド)

世界のゴルフフォトグラファーの第一人者として今も第一線で活躍するデビッド・キャノン。

彼のファインダーを通して切り取られた世界のゴルフコースの数々は、まるで宝石箱のジュエリーのように一つ一つが個性豊かに輝いている。

私の愛したゴルフコース第18回はアイルランドのザ・ヨーロピアンクラブを紹介する。

The European Club

©David Cannon (Getty Images)

ザ・ヨーロピアンクラブ(アイルランド)
●設計:パット・ルディ
●全長:7355ヤード・パー71
●備考:1993年オープン。2つのエキストラのパー3を入れると全20ホールのリンクスとなり、パー77となる。2006年、ローリー・マキロイはこの地で「アイリッシュアマチュア選手権」に優勝。パドレイグ・ハリントンは2007年「アイリッシュPGA選手権」に優勝。

写真のこのホールは12番ホール。グリーンだけで125ヤードの長さがあるユニークなホールだ。

アイルランドの首都ダブリンの南、車で約1時間10分のところに位置する「ザ・ヨーロピアンクラブ」。アイリッシュ海のサンドデューンズの上に広がっている。

アイルランドのコース設計のレジェンドが発見した土地

ザ・ヨーロピアンクラブは、アイルランドの首都ダブリンから、南に約30マイルのところに位置している。
このクラブは、有名なゴルフ設計家であり作家でもあるパット・ルディによって1987年に設立された。
彼はゴルフ場用の新しい土地をヘリコプターで探しているときに、この素晴らしいロケーションを発見。
ブリタスベイの美しいビーチのすぐ南にある、なだらかな砂丘を見た瞬間、この地域こそが自分の傑作を造りたい場所だと確信したのだ。

パット・ルディの仕事ぶりは、バリーリフィン(グラッシー・リンクス)、ドルイド・グレンなど、高い評価を得ているコースの設計で知られている。
パットは、アイルランドのゴルフ界では、「伝説的な」人物であり、これらのコースはいずれもアイルランドのゴルフ界にとってレガシーとなっているが、彼の最高傑作は間違いなく、ザ・ヨーロピアンクラブだ。
私は幸運にも、1987年にコースが設立されたときからパットを個人的に知っており、彼が文字通り自らの手で造り上げたこの栄光のゴルフ場の終身会員であることを大変誇りに思っている。

彼は、3年がかりで1台の古い中古の掘削機を使って、自ら砂丘にゴルフ場を切り拓くことを始めた。
パットが掘削機でゴルフ場を造り上げる冒険の物語は、今や伝説となっている。
これは、現在の新しいゴルフコースにつきものの極めて高額なコストの何分の一かで造られた、モダンでクラシックなゴルフコースの物語だ。
これほどまでに熱意と愛情を持って建設、開発されたゴルフコースは他にないだろう。
クラブハウスがトレーラーハウスだった初期の頃は、このコースはとても粗野で荒れていた。
パットが造ったフェアウェイとグリーンサイドのバンカーのすべてに鉄道の枕木が使われていることで話題となったこともあった。
実際、これらのバンカーは、間違いなくこの特別なゴルフランドスケープの最高にユニークな特徴のひとつである。
もうひとつ面白いのは、競技でない通常のラウンドでは、ルディが追加で設計、建設した2つの素晴らしいパー3ホール(8A、13A)を含めて、20ホールをプレーできることだ!
このゴルフ場は世界で広く称賛されており、タイガー・ウッズでさえも訪れたことがあるという。
特別に造られた「タイガー・ティー」から、当時、プロ初の記録となる67をマークしたそうだ。

設計者パット・ルディが常にコース改良を行ないながら、進化を遂げるアイルランドの宝石

©David Cannon (Getty Images)

3rd Par5/499yard
グリーン手前にポットバンカーが点在する3番ホール・パー5。ショットの精度が求められるレイアウトだ。

©David Cannon (Getty Images)

ザ・ヨーロピアンクラブの設計者であり、オーナーのパット・ルディは、作家でもある。現在も同クラブ付近に家族と一緒に住み、コース改造に取り組んでいる。同クラブ内にある、彼のゴルフに関する蔵書は6000冊に及ぶ。

Built by a Genius
天才が造りしコース

©David Cannon (Getty Images)

自然の造形美が美しいザ・ヨーロピアンクラブ。写真は432ヤードの17番ホール・パー4。

ルディ家の人々からの温かいおもてなし

ザ・ヨーロピアンクラブを訪れる楽しみのひとつは、どんなプレーヤーでもとても温かく特別な歓迎を受けることだ。

コース自体は、リンクスゴルフの厳しい試練が待ち受けているようなものであり、ほとんどすべてのホールで、プレーヤーの真の実力が試される。
個人的には最初に直面するパー5の3番ホールが一番好きだ。
打ち下ろしのティーショットは、2つの大きな丘の間にショットを打っていく必要があり、大きな砂丘の裾野に囲まれたグリーンに向かって打つセカンドショットでは、湾を見渡す素晴らしい景観が楽しめる。
このコースの設計を見ていると、カメラマンからの視点を感じることができるが、これはパット・ルディ自身がカメラマンとしての視点を持っていることを示す典型的な例である。
私が次に好きなホールは、危険で非常に難しいパー4の7番ホールだ。
ハリエニシダの茂みの奥に造られたティーグラウンドから、湿地とイグサの2つのエリアを真っすぐに走る狭いフェアウェイ。
そして湿地の端にぴったりと造られたグリーンまで、高低差のないホールだ。
このホールでパーを取るのは並大抵のことではない。
7番グリーンから歩いていくと、短いパー3の追加ホール8Aをプレーするオプションがあるが、プレーする価値は十分にあると断言できる。

高台にある12番ティーに着くと、15番グリーンまで続く海岸沿いの景色が迎えてくれる。
12番ホールは、アイルランドで最も長いグリーンを持つ、短いパー4ホールだ。
手前から奥まで125ヤードのこのグリーンで、プレーヤーは、そのパッティング能力を隅々まで試されることとなる。

この美しいホールを制覇した後は、素晴らしいパー3の13A(2つの追加ホールのうちの2つ目)をプレーするか、競技なら595ヤードの雄大なパー5の13番ホールのティーグラウンドまで坂を上ることになる。
ビーチと平行に走るこのホールでは、フェアウェイバンカーの間を抜けて、砂地の横のグリーンに向かう長く真っすぐなティーショットが要求される。
枕木の並ぶバンカーには絶対に近づかないことだ。

そして、最後のお気に入りホールは、パー4の17番ホールだ。高台にあるティーグラウンドからは、谷に沿って造られた狭いフェアウェイから、砂丘の頂上にあるグリーンへの打ち上げのセカンドショットまでの素晴らしい景色を見ることができる。
このホールは自然の景観に完璧に「フィット」しているように見える。

18番(または20番)のアイランドグリーンを囲む池から歩くと、モダンなクラブハウスが、一歩進むごとに、親しみのこもった雰囲気で迎えてくれる。
もしパットがいるようなら、彼のゴルフライブラリーを見ることができるか尋ねてみよう。

このゴルフクラブは、特別で唯一無二のクラブ。
天才が自らの手で造り、素晴らしい家族によって運営されているのだ。

David Cannon デビッド・キャノン(イギリス)

海外メジャー100大会以上を取材し、現在も第一線で活躍中のゴルフフォトグラファー界の巨匠。自身もシングルハンデの腕前で、息子はプロゴルファー。アメリカ、ヨーロッパ、中東、オーストラリア、アジアと世界各国を股にかけて撮影している。2022年、PGAオブ・アメリカ生涯功労賞を受賞。Getty Images所属。

Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)

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