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【世界のゴルフ通信】From Japan 男女若手プロの台頭で新陳代謝の激しい日本ツアー!勝みなみは今季から米女子ツアーへ

©Getty Images

昨年12月に行なわれた米国LPGAの出場権をかけて、8ラウンドで争われるQシリーズ(最終予選会)で、勝みなみがほとんどの試合に出場できる権利を獲得(後列右)。西村優菜(前列右から5番目)は24位で限定出場権を獲得した。

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勝みなみは5位で、今季の米女子ツアーのほとんどの試合に出場できる権利を獲得。写真右はLPGAツアーコミッショナーのモリー・マルコー・サマーン氏。

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西村優菜は24位で、限定出場権を獲得。

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昨シーズンは最終戦の「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」など通算5勝を挙げ、メルセデス・ランキング、年間獲得賞金、平均ストローク、年間トップ10回数、パーオン率、パーセーブ率、ボールストライキングなどで1位となった、山下美夢有。

若手ヒロイン誕生とベテラン勢の活躍

西郷真央の怒涛の勢いで幕を開けた女子ツアーは、山下美夢有が底力を見せて年間女王に輝き、シーズンを終えた。

年間賞金女王タイトルも、シード権も、賞金ランキングからポイント制のメルセデス・ランキングに移行した最初のシーズンも、大いに盛り上がりが続いた。
2人合わせてシーズン10勝した西郷、山下はともに2001年生まれ。
毎年、新たなヒロインが誕生し続けている一方で、そこから押し出される選手も当然いることになり、ツアーの新陳代謝はどんどんスピードアップしている。

一方で、33歳の金田久美子、37歳の藤田さいきの2人が11年ぶりの復活優勝を飾り、競技年齢が長いゴルフの魅力をアピールした。

ツアーとしては、主催の違う一部の試合を除き、全試合をネット配信。
来年からはテレビの放映権料も受け取ることになる。
人気も上々、順風満帆……。
一見、そんな印象だが、ツアーとしては2025年から全試合を日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が主催する、という大改革を予定している。
その先については不確定要素が多い状況での隆盛でもある。
新陳代謝が激しいということは、長い間活躍する選手が少ないことの裏返しでもある。
タフなサバイバルレースが続く中、踏ん張れるのは誰か。
そして今年、ツアーを引っ張るのは誰か。興味は尽きない。

海外勢の活躍も継続
勝みなみも米ツアー本格参戦

日本勢の海外での活躍も相変わらずだ。
畑岡奈紗は米ツアー6勝目を挙げ、ルーキーの古江彩佳も「トラストゴルフ・女子スコティッシュオープン」で初優勝。
渋野日向子は好不調が激しい1年だったが、2019年に優勝した「全英女子オープン」で3位となっている。
一昨年の「全米女子オープン」チャンピオンの笹生優花も未勝利ではあるが、レース・トゥ・CMEグローブランキングで28位につけている。

これに、Qシリーズ(最終予選会)を5位で突破した勝みなみが加わる。
「日本女子オープン」連覇など日本で実績を積んだ勝は、最終戦で優勝争いしてプレーオフの末、2位となってすぐに渡米。
8ラウンドを経て5位と実力を発揮すると「2023年は、アメリカで頑張りたいです」と希望に満ちている。

同じQシリーズに挑んだ西村優菜は24位と、ツアーメンバーにはなれたものの、1つ下の資格となるため、出られる試合が限られる。
どんな風に戦うのかは今後の課題となるだろう。

人気選手が海外に出て行っても、日本ツアーの人気はこのまま続くのか。
2023年もネット配信は続けるとJLPGAは明言しているが、昨季配信していた3社のうちGOLFTVが、12月半ばでサービスを停止。
2023年についての発表は、12月23日現在まだないという現状も気になるところではある。

欧州、米国に道が開けた?
日本ツアーが世界の“3部ツアー”にしか見えない構図

©Eiko Oizumi

今年の4月には、欧州ツアー(DPワールドツアー)との共催で「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」を開催することが発表された。左はISPSの半田晴久会長、右はJGTOツアーの青木功会長。

国内男子ツアー
欧米ツアーとの提携と課題

「(国内男子賞金ランキング)上位3人に入って、欧州ツアーにも行けたら行きたいです」。
こう口にしたのは、ファイナルQTで1位になった篠優希だ。

12月5日に、DPワールド(欧州)ツアー、PGA(米)ツアー、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の3者が新しいパートナーシップを発表。
日本ツアー賞金ランキング3位以内の選手は、2022〜2023年シーズンのDPワールドツアーのメンバー資格を獲得できることになったからだ。
6月にはDPワールドツアーのレース・トゥ・ドバイランキング上位10選手が、2024年シーズンからPGAツアーの参戦資格を得られることも発表されている。

篠の言葉は、この道筋を前向きにとらえてのものだ。

「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」が今年4月にPGM石岡GC(茨城県)で開催されることも発表された。
2022年に行なわれるはずだった第1回大会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のために日本ツアーだけで開催されたが、今年はもともとの趣旨通り、DPワールドツアー主催、JGTO共催の形で行なわれる。
出場選手はDPワールドツアーから83名、日本ツアーから41人。
招待選手8人が予定されている。優勝すれば、大会以降の2023年とさらに2年間のDPワールドツアー出場資格が得られる。

世界への扉が身近になったのは間違いない。
だが、一方で日本のツアーについて考えると、米欧両ツアーの後塵を拝していることが形になったともいえる。
日本に居ながらにしてDPワールドツアーに出られるのは歓迎すべきこと。
だが、欧州、米国へと続くパスウェイ(道筋)が開けたということは、日本が米国、欧州のさらに下にあることを意味する。
選手が、海外への道筋を歓迎するのは当然だが、日本ツアーとしては、ただ喜んでいていい場合ではないはずだ。
「次の時代の日本におけるプロゴルフの発展のために、PGAツアーとDPワールドツアーとともに協力していけることを楽しみにしています」と、青木功JGTO会長がコメントを出しているが、果たしてそれでいいのだろうか。

選手たちの中には、DPワールドツアー、アジアンツアー、米下部ツアー(コーンフェリーツアー)を経てPGAツアーなどに戦いの場を求めて出ていくものが増えている。
〝井の中〟にとどまることなく、広い世界に出ていくことは素晴らしい。

ただ、そこには、日本にいるだけでは試合があまりにも少ないという現状があることを忘れてはならない。
プロのレベルでは、どんなに練習でできても、試合という緊張する場で実際にやってみなければわからないことがある。
試合が少ないということはその機会がないということだ。選手たちが試合を求めるのには、そうした意味もある。

日本ツアーは豪州ツアー化している?

経済成長とともに試合数が増えた時代の日本ツアーは、賞金額も当時としては高く、海外へ出て行かずとも試合ができて賞金も稼げた。
そのため、海外に出ていく選手は少なく、世界とレベルの差は開く一方だった。

好対照なのが豪州ツアーだ。
試合が少ないため、多くの選手が海外へと出ていく中で、多くの選手が世界のトップレベルでプレーするようになった。
その代表が、現在LIVツアーを推進しているグレッグ・ノーマンだ。

今の日本では、当時の豪州ツアーに近いことが起こりつつある。
世界の舞台で戦う選手たちは飛躍するかもしれないが、それと日本ツアーの発展は決して表裏一体ではない。
ツアーとしてのあり方をJGTOが考え、何とかしなければ存亡にかかわるのではないか。
欧米両ツアーとの提携は、それほど深い意味を持っているのだ。

Text/Junko Ogawa

小川 淳子

東京スポーツのゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材。

現在はフリーでゴルフ雑誌などで執筆。

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