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【PGA Championship】TVじゃわからないO嬢現地レポート全米プロ編!ニューヒーローはホールイン・ワン達成の46歳クラブプロ?

ニューヒーロー誕生!
ホールイン・ワンまで達成した46歳のクラブプロ

©Getty Images

マイケル・ブロック(米国)
1976年6月15日生まれ。 カリフォルニア州ミッションビエホにあるアロヨトラブコGCのクラブプロ。「全米プロ」には5回目の出場。過去4回は全て予選落ち。

熱狂的な大勢のギャラリーに応援される、マイケル・ブロック。

©PGA of America

優勝者のブルックス・ケプカ(右)と並び、クラブプロ最上位者として表彰されたブロック。

©PGA of America

憧れのジャスティン・ローズ(左)とも第3ラウンドで同組でプレーした。

「全米プロ」は、世界のトッププロたちの戦いの場であると同時に、全米のゴルフ場に勤務するクラブプロたちの挑戦の場でもある。
今年で5回目の「全米プロ」出場となったクラブプロのマイケル・ブロックは、3日目を終えて8位タイに。
最終日はローリー・マキロイと2サムでプレーし、15番ホールではホールイン・ワンまで達成して、15位タイで大会を終えた。

「今週は夢のような1週間だった。昨日はジャスティン・ローズで、今日はローリー・マキロイとプレー。優勝はできなかったけど、大勢のギャラリーが詰めかけるメジャーの日曜日を味わえて、信じられないよ。俺は新ジョン・デーリーみたいな感じかな。彼ほど大きくないし、マレットヘアではないけど、楽しかった。俺には素晴らしい妻がいて、友達がいて、普通の生活を送っている。親友は犬なんだ。今回のことで人生が変わったよ、もちろんいい方にね」

普段は45分で約1万8000円のレッスン代をもらって生計を立てているが、今回の「全米プロ」では約4000万円を獲得。
また、15位以内に入賞したため、来年の「全米プロ」の出場権も獲得した。
さらに今回の活躍により、今大会翌週のPGAツアー「チャールズ・シュワブ・チャレンジ」から推薦をもらい出場したが、予選落ち。
ラッキーな出来事は、そう簡単には続かないようだ。

100年以上優勝できないイギリス人選手の謎

©Eiko Oizumi

「全米オープン」チャンピオンのイギリス人選手、ジャスティン・ローズ。今大会を9位タイで終えた。

「全米プロ」には、1919年にジム・バーンズ(英国)が優勝して以来、イギリス人が誰も優勝していないという記録がある。
だが、ここ数年、イギリス人の「全米プロ」での活躍も目覚ましく、2019年にはマット・ウォレスが3位タイ。
2020年と2021年はトップ10入りが2人(いずれもポール・ケーシー、ジャスティン・ローズ)。
2022年はマシュー・フィッツパトリックとトミー・フリートウッドがトップ10入りを果たしている。
そして今年は、ジャスティン・ローズが9位タイに入った。

ゴルフ大国イギリスの、100年以上も優勝できない負の記録に終止符が打たれるのも、時間の問題かもしれない。

24日間で18キロの減量に成功したデシャンボー

©Eiko Oizumi

24日間で18キロの減量に成功したデシャンボー。

©Getty Images

犬猿の仲?!それとも真のライバル?

©Eiko Oizumi

優勝カップを見ながら談笑。

優勝したブルックス・ケプカは、LIVゴルファー同士ではあるが、決して親しい関係とは言い難いブライソン・デシャンボーと3日目に同組でプレーすることがあった。

「僕はメジャーではほとんど(同伴競技者と)話をしない。ただ目の前のやるべきことに集中しなければならないから」とデシャンボーとのラウンドについて聞かれた彼は、会見でそう答えていた。
が、そうは言ってもケプカの実力に敬意を表し、最終日、ケプカを祝福するために現場に居残って出迎えたのはデシャンボーだけだった。

「彼はメジャー5勝を挙げているし、僕よりもいいプレーをしたんだ。ただ悲しいことに、彼を祝福してあげる人(選手)が誰もいなかった。どのツアーで戦っていようと、彼は尊敬されて然るべき。だから僕は祝福することが正しいことだと思って戻った。彼はLIVゴルファーだし、自分もそう。メジャー5勝はすごく特別なこと。だからそういう彼に敬意を払いたい」

気が合う仲間とは言い難いが、互いの素晴らしさを最も理解し(ケプカもデシャンボーの飛距離アップへの絶え間ない努力を賞賛している)、敬意を持っているのは、もしかしたらこの2人なのかもしれない。

9月の「ライダーカップ」に向けて、「全米プロ」で調整?!

©Eiko Oizumi

←今年の「ライダーカップ」の欧州チームキャプテンを務める、ルーク・ドナルド。

©Eiko Oizumi

→ローリー・マキロイ(中央)、シェーン・ローリー(左)と練習ラウンドを行なうドナルド。

「ライダーカップ」キャプテンは「全米プロ」の出場権を持つが、欧州チームのキャプテン、ルーク・ドナルドは練習日に、「ライダーカップ」メンバー入り確実な、ローリー・マキロイ、シェーン・ローリー、ジョン・ラームらと一緒に練習ラウンド。
コース内では写真のように話をすることも多く、おそらく「ライダーカップ」のペアリングや戦略を練っていたに違いない。
今回からキャプテン推薦で6人をチョイスできるため、メンバーの意見も聞き入れて、構成を考えるに違いない。

オークヒルCCの歴史探訪

©Eiko Oizumi

過去、オークヒルCCで開催された「全米オープン(カーティス・ストレンジ)」「全米プロ(ショーン・ミキール、ジェイソン・ダフナー)」「全米プロシニア(ジェイ・ハース、ケン・タニガワ)」、「全米アマ(ヘンリー・キーニ)」のプレートが壁に飾られている。

©Eiko Oizumi

6番グリーン付近には「デノンビル」と書かれた看板がある。デノンビルとは17~18世紀にかけてフランスの植民地で活躍した人物で、ニューヨーク北部の先住民セネカ族の村、ガノンダガンやロチェスター近郊を1687年に侵攻した時の出来事について書かれている。

©Eiko Oizumi

2001年から100年後にオープンする予定の、タイムカプセルがクラブハウス周辺にあるのも面白い。

オークヒルCCはニューヨーク北西部のロチェスターに位置する歴史あるゴルフ場だが、コースを歩いていると、あちらこちらに歴史のかけらを見ることができる。

面白いのは、1901年に開場したコースを記念して、100年後の2001年に埋めたタイムカプセルが存在すること。
これが開けられるのは100年後の2101年となるが、一体何が入っているのか気になるところだ。
また、1600年代、フランス軍がこの辺りを侵攻したことを記す看板も立っている。

「全米プロ」にもチャンピオンズディナー

©PGA of America

「マスターズ」ほどレジェンドは集まらないが、パドレイグ・ハリントン、マーク・ブルックス、フィル・ミケルソン、ショーン・ミキール、ジェフ・スルーマン、リッチ・ビームらシニア層も参加した。

©Eiko Oizumi

オークヒルCCで2013年に優勝したジェイソン・ダフナーは欠場した。

チャンピオンズディナーといえば、「マスターズ」が有名だが、「全米プロ」にもチャンピオンズディナーはある。
ロチェスター出身のジェフ・スルーマンを始め、ジャスティン・トーマス、ローリー・マキロイ、コリン・モリカワ、ブルックス・ケプカ、フィル・ミケルソン、Y.Eヤンらが集まった。

「LIVゴルファーに否定的な感情はない」
ジョン・ラーム

©Eiko Oizumi

予選ラウンドを昨年の「全米オープン」チャンピオンのマシュー・フィッツパトリック(左)、「全英オープン」チャンピオンのキャメロン・スミス(右)と回った「マスターズ」チャンピオンのラーム。

©Eiko Oizumi

ダスティン・ジョンソン(DJ)と握手を交わすラーム。DJがアディダスとの契約がなくなり、フットジョイのシューズを履いているのを見て、ちょっとビックリしたそうだ。

LIVゴルファーたちとも親しく付き合い、一緒に練習ラウンドをする世界ランク2位のジョン・ラーム。
彼は練習日にダスティン・ジョンソン、ブルックス・ケプカ、ハロルド・バーナー、トーマス・ピータースらと練習場ですれ違い、ハグを交わしていたが、記者にLIVゴルフについて問われると、次のように語った。

「僕はLIVに行ったどんな選手にもネガティブな感情は持ったことがない。もしLIVプレーヤーにLIVのことを聞けば、素晴らしいと言うだろう。でも、本当に僕は何もわからないし、何もいえないんだ」

ラームはPGAツアーのトップ選手だが、LIVゴルファーにも理解を示す中立派。
今では両者は新会社のもとで統合することになるが、人間関係もラームのような中立派の方が気まずい思いをしなくてすむはずだ。

グランドスラムは来年までお預け
ジョーダン・スピース

©Eiko Oizumi

左手首から腕にかけて痛みを感じているというスピース。USAの文字が入ったテーピングをしている。

 「マスターズ」「全米オープン」「全英オープン」の3メジャーに優勝しているジョーダン・スピース。
キャリアグランドスラムを達成するには「全米プロ」での勝利が必要だが、29位タイに終わった。

 「家に帰って、冷たい水に頭を浸し、少し冷やそうと思う。このやり方が好きなんだ。このような過酷な週があると、頭がパンクしてしまう。家に戻って冷たい水に浸かり、1日休んでまた仕事に戻れば、元気になるんだよ」

これがジョーダン流のリフレッシュ法のようだ。

なんと試合会場が0度!

©PGA of America

霜が降り、非常に寒い朝を迎えた第1ラウンド。

カナダとの国境に近いニューヨーク州ロチェスターは、まだまだ寒い日も多く、第1ラウンドの朝はなんと気温0度!
霜が降り、予定通りにプレーできる状況ではなかった。結局霜が溶けるのを待って、1時間15分後にスタートした。

コースや地域の特徴を捉えたユニークなデザイン

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ロチェスターを流れる水路からインスピレーションを受け、バッグの側面には水の流れをイメージ。オンタリオ湖とナイアガラの滝まで続く、エリー運河のエッセンスを取り入れたテーラーメイドのキャディバッグ。

開催コースのフェアウェイに並ぶオークの木の葉やどんぐりをあしらったヘッドカバー。

©Eiko Oizumi

クラブハウスのテラスにかかる屋根のデザインを取り入れたスコッティ・キャメロンの「全米プロ」特製ヘッドカバー。

 メジャーになると、特製バッグやヘッドカバーが選手たちに支給されるが、テーラーメイドとスコッティ・キャメロンの今年の「全米プロ」バージョンのデザインは秀逸。
ゴルフ場に7万5000本植えられているというオークの木々や、クラブハウスのテラスの屋根、近隣のナイアガラの滝などの水流をイメージしたアイテムが大会を盛り上げた。

Photo Gallery

©Eiko Oizumi

オークヒルCCは、過去4回、「全米プロ」を開催。最も多く開催しているのは昨年の開催コースの、サザンヒルズCC。

©Eiko Oizumi

大会のロゴマークにもなっているどんぐりが、ティーマークに。

©Eiko Oizumi

1901年にコースが開場した当時、クラブハウスは農家を改装した建物だったという。その10年後に新しいクラブハウスが建設された。

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オークヒルで飼われている犬。グリーンキーパーと一緒にグリーンをチェック?!

©Eiko Oizumi

「ライダーカップ」の傘を使用するブライソン・デシャンボー。「ライダーカップ」に出たいというアピール?!

©PGA of America

パトリック・リードとジャスティン夫人。かつては彼のバッグを担いで試合に優勝したこともある。

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キュートなギャラリーたち。お目当ての選手たちからサインをもらえたかな?!

©PGA of America

大会中、大雨が降り、グリーンに水が溜まり中断したことも。

Photo/Eiko Oizumi, PGA of America

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