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【US Open】2023年全米オープンに挑戦した4人の日本人、永野竜太郎、桂川有人、石川遼、松山英樹の活躍をコメントで振り返る!

今年の「全米オープン」には4人の日本人が挑戦した。
その模様を彼らのコメントで振り返る。

©Eiko Oizumi

LAカントリークラブのクラブハウスを背に、1番ホールの2打目を放つ永野竜太郎。

©Eiko Oizumi

全米オープンの選手章を見せてくれた桂川有人。

©Eiko Oizumi

グリーン周りのフェスキューに埋もれたボールのライを確認する石川遼。

©Eiko Oizumi

ティーショットが左右に曲がり、安定感を欠いたという松山。

©Eiko Oizumi

「スプリンクラーの数が、通常の倍以上ある!」とヤーデージメモを見せてくれた「ゴルフネットワーク」TVレポーターの今田竜二。

「課題はあるが、自分の今の力をかなり出せた1週間だった」
永野竜太郎

+1 20位タイ

©Eiko Oizumi

全ラウンドを通じて、平均飛距離で21位(312.5ヤード)につけた永野。全体の3分の1には入っていた。

©Eiko Oizumi

パットを外して悔しがる永野。だが全ラウンドを通して平均パット数は5位タイとかなり決まっていた。

©Eiko Oizumi

練習日には「全英オープン」チャンピオンのフランチェスコ・モリナリとラウンド。

2021年の「全英オープン」で初めて、メジャーに出場して以来、2度目のメジャー挑戦となった永野。
憧れの「全米オープン」の舞台に立つことができ、楽しい1週間だったと語るが、彼には「自分の持っているゴルフで、その日その日に全力を出し切ること」と「自分のゴルフでどこまでトライできるかを試すこと」をこのメジャーにぶつけてみたい、という想いがあった。
そして、ティーショットでフェアウェイキープできなければ嫌だ、スコアにならない、などのネガティブな考えに振り回されずに、「フェアウェイの真ん中を見て、思い切り振るゴルフ」を目指してプレーした結果、日本人最上位の20位タイ(通算1オーバー)で終了することができた。

「今週はとても充実した、いい1週間だった。最終日は5つスコアを落としたが、4日間トータルで考えると、どちらかといえば自分の力を出せた方だと思う。それがここにきてやりたかった課題でもあったので、よかった」と語った。

永野はもともと「日本人特有かもしれないが、ネガティブな情報が入ると思い切り打てなくなり、考えも小さくまとまってしまうので、思い切りやって、曲がったら仕方ないし、練習すればいい、というふうにプレーしたい」と語っていた。

そして実際、試合が始まると彼の持ち味の飛距離のアドバンテージを活かしながら、バーディも量産し、パットもよく決めた。
もちろんミスすることもあるが、ザンダー・シャウフェレなどの世界のトッププロと回ることで「世界の強豪との差はすごくあるが、彼らもミスはするし、それは現地で見てみないとわからなかったこと。試合で一緒に戦ってみるまでは、彼らは本当にパーフェクトなんだろうと思っていたが、実際はミスもするし、曲げる。ただ、そこからミスを引きずることもないし、ショートゲームやパッティングでうまくリカバリーしている。だからそういう彼らを見たら自信になった。この世界で戦っている人たちも、そうやって苦しむんだから、俺たちが苦しいのは当たり前」と実感したのだ。

なお、今大会で獲得した賞金は、20万152ドル(約2800万円)。
日本ツアーで言えば、優勝賞金以上の額である。一気に賞金ランク6位に浮上し、賞金王も狙える位置に入ってきた。

いつかはPGAツアーでプレーしたいという永野。

「また(アメリカに)帰ってこれるように頑張りますよ」と笑顔で誓った。

「自分がやらなければいけない課題が全米オープンでプレーすることにより明確になった」
石川 遼

+14 63位

©Eiko Oizumi

予選ラウンドで一緒に回ったケビン・ストリールマン(右)のゴルフを見て、「長い距離でも高い精度のショットを打てるから、長年PGAツアーでもやっていけている」と勉強になったという石川。

©Eiko Oizumi

練習日に久しぶりにラウンドをともにした、松山英樹(左)と石川遼の同級生コンビ。

日本での「全米オープン」予選会を経て、2021年「全米オープン」以来、2年ぶりのメジャー挑戦となった石川遼。
練習日は腰痛のため、大事をとって9ホールの練習ラウンドをこなすのみで試合に臨んだが、予選通過を果たし、4日間を戦い切った。
通算14オーバーの63位で終了と、本人もかなり悔しい結果となったが、一方で自分が再びアメリカで戦うには何が必要か、その課題がはっきりとわかった1週間でもあった。

「予選ラウンドで強く感じたことだが、自分の基準よりも上のショットを求められているような気がする。ショートアイアンはいつでもいいパフォーマンスが出せるように磨かないといけないが、その感覚と同じ感覚は5番、6番アイアンでは出せない。ショートアイアンが2~3ヤードの誤差の精度で打てるなら、その倍の距離は3~4倍くらいのブレでもOKみたいな感覚があった。でも実際こっちの選手たちは2倍のブレの中でやっている。例えば200ヤードになった時は、前後5ヤードずつのズレは許されるが、それ以上は許されない。でも自分はそこまで細かくは狙っていなかった。そこはちょっと甘かったな、と」

「英樹も練習ラウンドの時から3WやUT で打ってもスジっていた。普段の練習から、ブレの範囲はこの幅だとか、タテのブレもこうだとか、クリアに見えているんだろうな、と思った。だから、自分のデータをインプットしていきつつ、精度を上げていくことは必要なんだな、と。そんなところ、自分には打てるはずがないと思っていたら、すごくもったいないので、上達すると同時に、ブレのイメージも細かく、上げていかないといけない」

以前、米ツアーに参戦していた頃は、もっと飛距離に目がいっていたという石川。
「昔はもっと飛ばさなきゃダメだ、と思っていたが、今はそれよりもショットの精度の方が気になる」という。

将来再びメジャーにも出たいし、PGAツアーに戻りたいという彼は、自分自身を強くし、海外でも長く戦っていけるようにするため、狙う幅を狭め、精度の高いショットでピンポイントに狙える技術を身につけるべく、練習を重ねていく。

「スコアも出したいが、試合中に試してみたいことがあった」
桂川有人

+9 58位

©Eiko Oizumi

練習場で「全米プロ」チャンピオンのブルックス・ケプカ(右)のショットに見入る桂川。「体つきもすごいし、インパクトがすごく安定している。落ち着いた球、というか、あんな球、見たことがなくてビックリしました」

©Eiko Oizumi

松山英樹、石川遼とともに和やかに練習ラウンド。松山には、ラフからのアプローチでのフェースの開き方などを質問したという。

「試合が始まる前は、自信がない」と語っていたが、昨年の「全英オープン」に続き、2回目の予選通過を果たした。

「全英と全米、違うところで2回とも通れたというのは自信になる。今年に入ってアメリカ(コーンフェリーツアー)でやっているのが生きてるんじゃないかな、と思う。フィニッシュで手を離したり、パターで気持ちよく打ててなかったりしながらも、予選通過できたというのは自信になりますね」

コーンフェリーツアーでは11戦中、4回しか予選を通過していないが、メジャーのような「難しいコースで耐えるゴルフをする方が得意かもしれない」と語った桂川。
今回の「全米オープン」では、予選を通過できたところで、「小細工したり、泥臭いゴルフで予選は通過しましたが、本当は今後のためにはあまりしたくないな、と思っていたので、決勝ラウンドはフィニッシュまで振り切るスイングや、きれいなパッティングストロークをしたいと思いながらやりました。なんとなくそっちの方が、今後に繋がるのかな、という気がしたので」

目の前のスコアや順位も大事だが、先々のことも考え「きれいなゴルフ」もやってみて、どうなるのかを試したかったのだという。
「試合でも怖がらずにやってみる」という桂川にとっては、今は挑戦の時。
PGAツアーメンバーになるために、さまざまな試行錯誤を繰り返しながら、憧れの舞台に近づいていく。

「すべての精度が悪い。特にパッティングをもう少し改善できたら……」
松山英樹

+3 32位タイ

©Eiko Oizumi

予選ラウンドは、ブルックス・ケプカ、ローリー・マキロイという注目組で回った松山(右)。 

©Eiko Oizumi

ラウンド中、詰まるホールも多く、7番ホールのティーショット待ちで座って休憩する3人。左からケプカ、マキロイ、松山。

「長いホールはフェアウェイが広く、短いホールはフェアウェイが狭い、というすごくメリハリのあるコース。飛んでショートゲームが上手い人が勝つ。自分の状態が上がれば、しっかり対処していけると思う」と大会直前に語っていた松山。
だが、試合に入るとショットが思うように打てず、「とんでもないミスが続けて出る」と苦戦していた。
また、「全ての精度がすごく悪い」と言い、「特にパッティングが改善されれば……」と語っていたが、最終日は2バーディ、2ボギー、1ダブルボギー、1トリプルボギーとスコアを5つ落とし、通算3オーバーの32位タイで試合を終えた。

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