• 国境や人種を超えたスポーツの力とゴルフの愉しさをすべての人に。
  1. ホーム >
  2. バックナンバー >
  3. 【世界のゴルフ通信】From Middle East 欧州ツ...

【世界のゴルフ通信】From Middle East 欧州ツアーの要・UAE ドバイに始まり、ドバイに終わる欧州ツアーのドラマチックな演出

始まりも終わりもアラブ首長国連邦

昨年に引き続き、今年も開催された「ラス・アルカイマ選手権」。アラブ首長国連邦のラス・アルカイマは、ドバイから車で約1時間15分の場所にある。写真はラスムス・ホイガード。 ©Getty Images
2024年から11月開催に変更される「アブダビ選手権」は、アラブ首長国連邦の首都アブダビにあるヤスリンクスで開催される。F1のレース会場が至近。
年始1試合目は、ドバイクリークリゾートで行なわれる「ドバイ・インビテーショナル」。ダウ船を模した美しいクラブハウスが特徴の、ドバイではおなじみのコースだ。
今年の「ヒーロー・ドバイデザートクラシック」で優勝したローリー・マキロイ。2024年も1月18日からエミレーツGCで開催される。 ©Getty Images
ドバイの摩天楼ビューが圧巻のエミレーツGC。中東で初めて造られた芝のコースだ。

DPワールドツアーの来シーズンの新スケジュールに伴い、いくつかのトーナメント日程が変更され、新しい試合も増えているが、変わらないことがあるとすれば、それは中東、特にアラブ首長国連邦(以下UAE)が新しいスケジュールをつなぎとめる接着剤的な役割を果たしているということだ。

UAEは2024年にDPワールドツアー5試合を開催するが、その中にはジュメイラゴルフエステーツ・アースコースで行なわれる、賞金1000万ドルの最終戦「DPワールドツアー選手権」も含まれる。
高額賞金のロレックスシリーズは3試合。
エミレーツGCで開催される賞金900万ドルの「ヒーロー・ドバイデザートクラシック」、ヤスリンクスで行なわれる賞金900万ドルの「アブダビ選手権」、そして前に述べた「DPワールドツアー選手権」だ。
またドバイでは、新規で開催される賞金250万ドルの「ドバイ・インビテーショナル」(ドバイクリーク&ヨットクラブ開催)のほか、賞金250万ドルの「ラス・アルカイマ選手権」(アル・ハムラGC)もある。

アブダビの試合の日程変更でさらに盛り上がる?!

UAEは今年も5試合を開催したが、大幅に変更されるのは「アブダビHSBC選手権」の日程で、これまでは1月の第3週に行なわれ、DPワールドツアーのデザートスイングをスタートさせる試合だった。
これに続いて「ヒーロー・ドバイデザートクラシック」が開催されていた。
両方とも優れた出場選手を集めていた試合で、ローリー・マキロイは常にアブダビとドバイへの旅で年をスタート。
また、かつての世界ランキング1位であるタイガー・ウッズもUAEで8回、年始スタートさせた。

だが今年は、出場選手層において大きな打撃を受けた。
アブダビの試合で有名な選手はシェーン・ローリーとトミー・フリートウッドだけ。
ドバイにはマキロイが出場し、盛り上がりはしたが、ディフェンディングチャンピオンのビクトル・ホブランは試合を欠場(ちなみに同週の米ツアーにも出場していない)。
彼はPGAツアーの「指定試合」 12試合への強制出場について、公然と批判的な意見を述べており、欧米ツアーのスケジュールのやりくりの難しさを口にしている。

「ヒーロー・ドバイデザートクラシック」は2024年の1月18日~21日に従来通りの日程で開催され、「アブダビ選手権」は11月の「DPワールドツアー選手権」の1週間前に開催されるが、この変更には2つのポイントがある。
まず、シーズン終了時期のスケジュールを非常に強化しているという点だ。
特にアブダビの試合にとっては追い風だ。
ジョン・ラームやローリー・マキロイ、ビクトル・ホブランら欧州のスーパースターのほとんどがPGAツアーシーズンを終え、賞金総額が合計で1900万ドルが用意される2週間(アブダビ、ドバイ)にやってくるからだ。
ますます最終戦の「DPワールドツアー選手権」も盛り上がることだろう。
シーズン中、不調だった選手でも、アブダビでの活躍によって最終戦の出場資格を獲得するチャンスもある(レース・トゥ・ドバイランキングのトップ50のみが対象)。

1月開催の「ヒーロー・ドバイデザートクラシック」は現在、PGAツアー「ファーマーズ・インシュランスオープン」と同週に開催されるため、米ツアーメンバーの欧州選手たちは、この試合をスキップするようになってしまったが、来年はこの試合を挟んで、「ドバイ・インビテーショナル」(1月11日~14日)と「ラス・アルカイマ選手権」(1月25日~28日)という2つのドバイの試合が存在する(つまりドバイで3連戦)。
そして2月1日~4日には、新規大会「バーレーン選手権」が続く。
このように、年頭の試合と劇的な終焉をドバイで迎えることになるのだ。

DPワールドツアーの中東地域オペレーションの責任者、トム・フィリップス氏は、「変更によって、各試合が強化されている。アブダビをシーズン終盤に移すことで、ここUAEでの『DPワールドツアー選手権』と並んで、見応えのある大ヒットエンディングが生まれ、ゴルフ界全体の注目がこの国に集まることになるだろう」と語る。
なお、UAE内で開催される試合での賞金総額は、3300万ドルである(レース・トゥ・ドバイのボーナスは含まず)。

アブダビで「世界アマチュア・チーム選手権」開催

アブダビGCで開催された「世界アマチュア・チーム選手権(以下WATC)」は、トップアマにとって最も重要な試合の一つで、36か国の男女ナショナルチームが参加する大会だが、アメリカの世界アマゴルフランキング1位のゴードン・サージェントも出場した。
第33回「男子選手権・アイゼンハワートロフィー(WATCの男子の部)」は、10月18日~21日まで開催され、アメリカが優勝。第30回「女子選手権・エスピリトサントトロフィー(WATCの女子の部)」はその翌週に行なわれて韓国が優勝した。
この大会は、過去2年間でUAEで開催された中でも3番目に規模の大きなアマチュアトーナメントである。
2021年、新型コロナウイルスのパンデミックの最中に、UAEでは「アジア太平洋・アマチュア選手権」と「女子アマチュア・アジア太平洋選手権」を2週連続で開催。
UAEはトーナメントを開催する用意があることを示した。

Text/Joy Chakravarty

ジョイ・チャクラバルティ
(アラブ首長国連邦)

ドバイを拠点に25年以上に渡り世界中でゴルフ取材を続けている。

関連する記事