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【世界のゴルフ通信】From Middle East 欧州・LIVのイベントで大忙しのUAE

「LIVゴルフ・予選会」をアブダビで開催
世界ランク獲得に向けての第一歩となるか?

12月初旬にアブダビで行なわれた「LIVゴルフ・プロモーションズ」。2024年シーズン出場権3枠をかけて戦い、見事勝ち抜いた香妻陣一朗(左)、カレ・サモーヤ(中央)、キーラン・ビンセント。©LIV GOLF

アブダビでLIVゴルフ出場権をかけて、激突!

アブダビでのプロモーションイベントで、3日間4ラウンドの激しい戦いと、スリリングなクライマックスを経て、フィンランドのカレ・サモーヤ、日本の香妻陣一朗、ジンバブエのキーラン・ビンセントの3人の新しいプレーヤーが、2024年の「人生を変える」LIVゴルフ出場権を獲得した。

サモーヤは36歳で、2022年DPワールドツアー「ポルシェ・ヨーロピアンオープン」の優勝者だが、予選会ではメダリスト(第1位)の栄誉を獲得し、LIVゴルフに出場する最初のフィンランド人選手となった。
日曜日に行なわれた36ホールで8アンダーパーをマークし、2位に1打差をつけて首位通過。
香妻、ビンセント、そしてイングランドのローリー・キャンターは7アンダーで並び、残りの2枠をかけて3人のプレーオフで争った。
LIVの2023年シーズンに11試合に出場したキャンターは、プレーオフ1ホール目で4フィートのバーディパットを外し、その後2ホール目でダブルボギーを叩いて脱落。
これにより、2022年のLIVゴルフ・ロンドンでプレーした日本人3人のうちの1人である香妻陣一朗(他の2名は谷原秀人と木下稜介)と、キーラン・ビンセントが出場権を獲得した。

この予選会では、いくつか特筆すべき点があった。
まず、最も重要なのは、3日間とも盛り上がりを見せたフォーマットである。
金曜日の第1ラウンドでは、約60人の選手が競い合い、上位20位タイまでの選手が第2ラウンドに進出。
そこへ、LIVゴルフのステータスや過去の実績により初戦を免除された13人の選手が加わった。
第2ラウンドで絞り込まれた20人の選手は、日曜日に開催された36ホールの最終日決戦に出場した。

LIVゴルフ入りすれば最低約3億円が保証

PGAツアーがコーンフェリー・ファイナルシリーズ(最終予選会)への参加費を約5500ドル(約80万円)、DPワールドツアーが予選Qスクールへの参加料を約3000ドル(約43万円)としている中、LIVゴルフ・プロモーションズの参加料はわずか25ドル(約3600円)で、選手たちに総額150万ドル(約2億1700万円)の賞金を提供。
さらに、第1ラウンドで敗れた選手たちにも5000ドル(約72万円)の小切手が保証されていた。

同様に重要なのは、LIVゴルフに所属する選手は、フルシーズンで少なくとも約2億8000万円の収入が保証されていることだ。
これは、小規模なツアーでプレーするプロたちが、いいゴルフを続けている場合に獲得するのに2~3年かかる金額である。

キーラン・ビンセントは昨年、アジアンツアーで素晴らしいシーズンを過ごし、「インターナショナルシリーズ・ベトナム」で優勝して、36万ドル(約5200万円)の賞金を獲得。
一方、香妻は日本ゴルフツアー(JGTO)とアジアンツアーでプレーし、約25万5000ドル(約3700万円)を獲得していた。
予選会に出場したほとんどの選手たちが、LIVゴルフの3枠を「人生を変えるもの」と表現したのは納得だ。

サモーヤは、「この予選会は、多くの意味を持っている。それが、私たち全員がここにいる理由だ。私の唯一のミッションは日曜日の決勝に進出し、それから全力を尽くすことだった」と述べた。

「それはおそらく故郷で非常に大きな話題となることだろう。フィンランドではゴルフがブームで、PGAツアーに1人、欧州ツアーに数人、そして今、私がLIVゴルフにいる」

2022年のLIVゴルフ3試合で活躍した香妻は、個人戦ポイントリストで29位に入賞したが、「2022年にLIVゴルフでプレーしたとき、私は絶対にまた戻ってきたいと言いましたが、今、それを実現できることは、本当に夢のようです」と語った。

さらに重要なのは、LIVゴルフが世界に、特に公式世界ゴルフランキング(OWGR)に対して、リーグへの道があることを示したことだ。
プロモーションイベント(予選会)により、OWGRポイントの申請が再度検討されるときに、彼らの立場がより強固なものとなるだろう。

2024年のLIVゴルフシーズン初戦は、2月2日からメキシコのマヤコバで開幕する。

新年早々、ドバイで3連戦!
バーレーン大会も復活し、中東が熱い

1月には「ヒーロー・ドバイ・デザートクラシック(昨年の優勝者はローリー・マキロイ)」を始め、計3試合をアラブ首長国連邦(UAE)で開催。©GettyImages
DPワールドツアーの新規イベント「ドバイ・インビテーショナル」は、ドバイ国際空港から至近のドバイクリーク・ゴルフ&ヨットクラブで開催された。©GettyImages

1月にはUAEで欧州ツアー3試合開催

11月から4月にかけて、気温が20度前半のUAEの素晴らしい気候は、まさにゴルフの季節だ。
DPワールドツアーはこれらの条件を最大限に活用し、「アブダビ選手権」を今年の後半(「DPワールドツアー選手権」の前週)に変更したにもかかわらず、1月には3つの試合が開催された。

新年は、60人の選手が出場する「ドバイ・インビテーショナル」からスタートし、「ヒーロー・ドバイ・デザートクラシック」の前年優勝者であり、世界ランク2位のローリー・マキロイも出場。
この4日間の新規大会は、1月11日~13日まで、プロアマのチーム戦方式で行なわれ、最終日の1月14日にはプロのみが戦った。

その後、ロレックスシリーズイベント初戦「ヒーロー・ドバイ・デザートクラシック」がエミレーツGCで行なわれ、マキロイ以外にも昨年の「全英オープン」チャンピオンのブライアン・ハーマンや、キャメロン・ヤングが出場した。

さらに、「ライダーカップ」の欧州チームのスター、トミー・フリートウッドやティレル・ハットン、そして世界アマチュアランク4位のマイケル・トービヨンセンも出場。
彼はPGAツアーユニバーシティのトッププレーヤーとして秋の大学ゴルフシーズンを終えた後に出場権を獲得した。
スタンフォード大学のスターは、昨年大会に早くも出場し、元世界アマランク1位で、昨年プロ入りし、すでに欧米両ツアーで優勝しているルドビグ・オーバーグを抑えて20位タイで終了している。

その後、ツアーはアル・ハムラGCでの「ラス・アルカイマ選手権(1月25日~28日)」開催のため、UAE北部のラス・アルカイマに移り、バーレーンのロイヤルGCで開催される「バーレーン選手権(2月1日~4日)」をもって「デザートスイング」が終了する。
この大会は、13年のブランクを経てバーレーンに戻ってくることになっている。

Text/Joy Chakravarty

ジョイ・チャクラバルティ
(アラブ首長国連邦)

ドバイを拠点に25年以上に渡り世界中でゴルフ取材を続けている。

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