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川村昌弘&中島啓太にDPワールドツアー会場で直撃インタビュー!「あまりシリアスになりすぎず、楽しみながらツアーを転戦」

From Bahrain
13年ぶりに欧州ツアーの試合として復活した、「バーレーン選手権」で取材

DPワールドツアーで世界中を転戦する2人に直撃インタビュー!

今年で欧州ツアー6シーズン目のベテラン、川村昌弘(右)と、本格参戦1年目の中島啓太。星野陸也も交えて、練習ラウンドを一緒に行なうことも多い。©Eiko Oizumi

今季でDPワールドツアー(以下、欧州ツアー)6シーズン目のベテラン、川村昌弘と、昨年、日本ツアーで賞金王に輝き、DPWTとJGTOとの提携により、今年から欧州ツアーに本格参戦している中島啓太。
13年ぶりにバーレーンの地で開催された大会会場で、ベテランと新人の2人に、直撃インタビュー!

石油のパイプラインが張り巡らされている、ロイヤルGCのコースと川村。©Eiko Oizumi

川村から見た久常涼の才能

ゴルフ・グローバル(以下GG):今年で欧州ツアー6シーズン目の川村選手、今や、欧州ツアーの主(ぬし)ですね。

川村:日本人で長年、欧州でやっている人がいなかったんで、自分が結果的に1番長い選手になってしまいました。

GG:久常選手も、川村選手を慕ってて、憧れの選手だ、と。

川村:ツネはどこにでも自分の名前を出してくれてますね。嬉しいですけど、もっと高いところを目指せと言いたい(苦笑)。
ツネは彼がプロ入りする前から、一緒にプレーしたことがあって、その時「僕、高校3年生なんですけど、(国内ツアーの)QTに失敗しちゃって、来年、何も資格がないんです」って言ってたんです。
でも一緒にプレーしたら、球は飛ぶし、うまいし、すごい子だと思った。
「普通にやっていれば、日本では大丈夫だと思うよ」と言った記憶があります。
「日本で何年やっても、日本の中でしかうまくならないから、海外でやりたいなら、早く海外に出た方がいい」と言ったんですけど、それを覚えててくれて、慕ってくれてますね。
去年も、春先くらいまでは、アジアも欧州もシードが取れたらいいですね、くらいのことを言ってたのに、飛び級していきましたから。

GG:久常選手と、他の若手では何が違います?

川村:楽しんでやってます。リッキー(星野陸也)もですけどね。
欧州ツアーでは、国から国へ移動するし、ゴルフ以外の大変なことがどうしてもあるんですけど、あまりそれを大変と思わなかったりとか。
環境に早く慣れたのと、性格ですかね。
去年のケニアの試合でも「朝イチでサファリツアー行ってきました~」というような感じなんで、「この子は大丈夫だ」と思いました。
一緒にツアーを回れて、楽しかったです。

GG:久常選手がフランスで優勝した時も一緒に?

川村:いました!僕はコースから10分くらいのところに泊まってたんですけど、ツネや一貴(比嘉一貴)が前半終わったところで、2人ともトップ10を外れていたし、僕は予選落ちしてたんで、最終日はホテルで昼寝してたんですよ。
で、起きたら、ツネが18番ホールプレー中でトップだったんで、急いでコースに向かいました。
本当はシャンパンを買ってたんですけど、かけるタイミングを逸して、結局表彰式が終わった後で、2人で普通に飲みました。

GG:そういう日本人の若手が出てくると思ってました?

川村:まぁ、自分もまだ若いつもりでいますが、今の若い子たちは松山さんのようなすごい人を見て「あれが全て!」と思う子も多いのかな、って思います。
アマチュアの時から、凄すぎる人を見てると「ああならないとダメだ!」と追い詰められてしまう。
でもツネはツアーの生活を楽しみながら、あまりシリアスになりすぎずにやってる。
僕の「楽しくやろうよ」という気持ちで、ツネもやってるのかな、と伝わってきますね。
彼はもともとゴルフがうまいから、焦って結果を出さないと、というマインドではなく、楽しみながらやれたのもよかったことの一つかもしれません。

GG:今は米ツアーでやってますけど、根底には「ストイックになりすぎない」という川村マインドがあるんでしょうね。

川村:アイツ、フランスでもぶっつけ本番で優勝してましたからね。
飛行機のトラブルで、ギリギリに着いたんです。
でもキャディがコースを知ってたから、それはよかった。
自分自身、よく知ってるコースとか、体があまりにも疲れてる4連戦の4戦目とかは、コースチェックだけしたり、ぶっつけ本番で行く試合もあるんですけど、そういう時があってもいいんじゃない? って言ってたんです。
「それを見習って、僕もぶっつけ本番でいきます」って言うから、「いや、見習わなくていい」って言ったら優勝したんで、それくらいがいい時もあるんです。
選手なんで、ほっといても頑張る時は頑張る!いいバランスになってたんだと思います。

「あまりシリアスになりすぎず、楽しみながらツアーを転戦」

「バーレーン選手権」では予選落ちを喫した川村。現在、レース・トゥ・ドバイランキングで47位につけている。©Eiko Oizumi
長年、キャディを務める坂井恵さんとの息もピッタリ。ラウンド中も楽しそうに会話しながら、手際よくクラブを渡す。©Eiko Oizumi

久常涼の成功も後押しした川村メソッド

「オメガ・ヨーロピアンマスターズ」開催地のスイス・クランスモンタナにて、記念撮影する川村(左)と久常涼。©Masahiro Kawamura

米ツアー挑戦が最終目標
技術を単純に試したい

GG:去年、米ツアーのQスクール(予選会)に行きましたね。心境の変化ですか?

川村:もうここで長年やってきたんで、そろそろアメリカに行きたいなと思って。
でも2年前は、目の前の試合に出ることで一生懸命だったし、ケガしたりで悩んでました。
DPWTの開幕戦はアブダビで始まってたんですけど、大きな大会なのにあまりワクワクしなくて。慣れてきちゃったんですね。
米ツアーとの共催の、「バーバソル選手権」に出た時、単純にゴルフの技術だけを試されている感じがして、楽しかったんです。
欧州だとあまりにも悪天候とか、めちゃくちゃ寒いとか、果たしてゴルフがうまいのか、体が強いのかを競わされているのか、わからないことがあるんですけど、アメリカではゴルフの技術を単純に試されてるなというのが、楽しくて。
そこで、去年は予選会の1次から行くって決めたんです。
でも2次で落ちてしまいました。

GG:今年はまた、予選会に?

川村:去年はツネのようにPGAツアー行きのトップ10を狙える位置でもなかったんで、1次から受けに行きました。
2位で通過して、2次に行ったら、あまりの正統派モンスターコースにも出会えて、またリベンジしたいって思ったんです。
それに10年ぶりくらいにフロリダのミニツアーにも出た。
でも、今年はツネのように、欧州から米ツアーへのルートで行く道を目指して一生懸命やるだけです。
今まではトップ50だけが出られる最終戦に出たい、というのが目標でしたけど、今はその上を行く目標ができて、楽しみですね。
2013年以来、優勝してないので、これだけ焦らされたからには、大きな試合で勝てればいい、と思ってます。

GG:これから欧州ツアーに来たい若手にアドバイスを!

川村:本気で来たいなら、QTを受けて来い!って思っています。
中島くんのようにJGTOからのルートで来るのも素晴らしいと思うんですけど、正直、こっちのツアーの人間は、日本のツアーのトップ3が来れちゃうって、そんなに簡単に出られるの? って思う部分もあると思う。
トップ3になることもめちゃくちゃ大変だけど、そう思ってしまう部分もあるので、自分やツネのように、6日間のQTを受けにきて、と思います。

「優勝」と、「PGAツアーへのトップ10入り」と「旅を楽しむこと」が目標

デビュー戦の「ラス・アル・カイマ選手権」で4位タイに入った中島啓太。©Eiko Oizumi

GG:今年から欧州ツアーに参戦していますが、先輩の川村選手の存在は?

中島:気さくでなんでも話してくれますし、こっちに長くいるので、いろんな旅のやり方というのを教えてもらって、すごく大きな存在です。

GG:何かメンタル面で影響を受けていることはありますか?

中島:欧州本土に行ってからの方が大変だと思うから、あまりゴルフゴルフしすぎずに、旅を楽しんだら? と言われています。
僕も各国の文化や世界遺産とかは楽しみたいので、欧州本土に行くのが楽しみですね。

GG:DPワールドツアーの雰囲気には、慣れました?

中島:基本的に明るい選手が多くて、豪州の選手とか、ナショナルチームでやっていた時からの知り合いもたくさんいるので、友達もたくさんいて楽しいですね。

GG:ずばり今年の目標は?

中島:優勝と、久常選手のようにポイントランキングのトップ10に入って、PGAツアーに行くこと。
それと旅を楽しむことです。
このツアーは、毎週コースも全然違うし、芝質も違う。
1年間戦ったら、精神的にも強くなれると思いますし、ドライバーで狭いホールを打っていかないといけない試合もたくさんあるので、鍛えられるかな、と。
去年、久常選手と一緒に「日本オープン」の予選ラウンドでプレーしましたが、ティーショットがかなり上手くなっていた印象があります。
僕も、予選ギリギリの時でも、冷静にプレーして通過し、週末に向けてしっかりスコアを伸ばしていくというところは、昨シーズンから出来てましたし、得意不得意がコースによってない方なので、そこは自分の強みとして頑張りたいと思います。

Text & Photo/Eiko Oizumi

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