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【世界のゴルフ通信】From Latin ラテンゴルフ界のバトン!将来を嘱望される若手の台頭

今年「NSW女子オープン」で優勝したマリアホ・ウリベ(コロンビア)。今年、引退することになっている。
2019年の第1回「オーガスタ女子アマ」で2位に入ったマリア・ファッシ(メキシコ)。この年5月の「全米女子オープン」でプロ入りした。
2016年にプロ入りし、LPGA3勝を挙げているギャビー・ロペス(メキシコ)。「リオ五輪」、「東京五輪」と2回、オリンピックに出場し、今年も「パリ五輪」に出場予定。

ラテン女子ゴルフの世代交代と新たな才能の探求

マリアホ・ウリベ(コロンビア)が、プロ入り後2勝目を飾った。
これは、彼女がブラジル開催の「HSBCカップ」で21歳の時に勝利して以来、13年ぶりのことだ。

プロとして活動し始めた15年後、34歳のウリベは引退することを発表していた。
彼女は今年、欧州女子ツアーの試合「NSW女子オープン」で、優勝したが、これは彼女の出身地から遠く離れた豪州でのことだった。
彼女は2015年「パンアメリカン競技大会」で金メダルを獲得し、2014年「南アメリカ競技大会」で銀メダルを獲得している。

メキシコのロレーナ・オチョアは2010年に28歳で引退するまで約30勝をマークした。
彼女は歴代最高のメキシコ人女性ゴルファーとして称賛されてきたが、ラテンアメリカの女子ゴルフは、ヒロインや模範となる人物に恵まれない状況が続いている。

ウリベは、34歳にしてメキシコ人のオチョアに続く存在として注目されつつあった。
努力と忍耐のおかげで、彼女は今年、通算2勝目を飾ったが、少なくとも母国・コロンビアでは、彼女の後を埋める選手がいない状態で引退することになるのが寂しい。
それは、偉大なレジェンドであるロレーナ・オチョアの母国・メキシコには、ギャビー・ロペスとマリア・ファッシというLPGAで傑出したラテンアメリカの女子ゴルファーがいるからだ。
ロペスは2022年に「ダナオープン」でLPGAツアー3勝目を挙げている。
メキシコ女子ゴルフ協会(AMFG)は、トーナメントの開催や若手選手の育成プログラムを提供することで重要な役割を果たしている。
このようにして、メキシコの女子ゴルフの発展を促進しているのだ。

マリア・ファッシは、プロとしての成功に加えて、アマチュア時代からその才能を発揮し、2019年に「NCAA女子選手権」で優勝。彼女がプロ転向した際は、周囲からも大きな期待が寄せられたものだが、現在、LPGAツアーでその存在は突出しており、彼女の技術とポテンシャルの高さを物語っている。

ロペスとファッシの成功は、他の若いメキシコ人ゴルファー、例えばマリアナ・ロモやマリア・フェルナンダ・ビジェイガスなどにも影響を与えている。
彼女たちは2人の足跡を追い、ゴルフの世界で夢を追求している。
これらのアスリートは、未来のゴルファーへ道を切り拓くのに貢献しており、才能と献身的な努力がスポーツでの偉大な成果につながることを示している。

R&Aは、ラテンアメリカでゴルフを大衆化させ、新しい才能を絶え間なく探し続けているが、「ラテンアメリカ・女子アマ選手権(WALA)」を通じて、より多くの女性がゴルフに参加できるよう活動に取り組んでいる。

「マスターズ」に出場したくてもできなかったアンヘル・カブレラ

2023年「マスターズ」チャンピオンのジョン・ラーム(スペイン)。現在はLIVゴルフでプレー。
2015年以来、9年ぶりに「マスターズ」に出場したカミロ・ビジェイガス(コロンビア)。
「ラテンアメリカアマ」で優勝し、「マスターズ」でメジャーデビューを果たしたサンチアゴ・デ・ラ・フエンテ(メキシコ)。予選落ちに終わった。
現在LIVゴルフでプレー中のホアキン・ニーマン(チリ)は、2024年DPワールドツアー「ISPS HANDA オーストラリアンオープン」で優勝。特別招待を受け「マスターズ」「全米プロ」に出場。

2009年「マスターズ」チャンピオンのアンヘル・カブレラ(アルゼンチン)は今年、「マスターズ」に出場できなかった。
米国への入国ビザが下りなかったからである。彼は、パートナーの1人に対する性的虐待の罪ですでに刑期を終え、今年釈放。いくつかの地元のトーナメントに出場している。
「マスターズ」に戻ることを希望していたが、叶わなかったのだ。
マスターズは2009年以来、南米の優勝者はいない状況が続いている。
だが、スペイン人チャンピオンは2人いる。
セルヒオ・ガルシア(2017年)とジョン・ラーム(2023年)だ。今年はスペイン勢ではラーム、ガルシア、ホセ・マリア・オラサバルが出場し、オラサバルとラームが予選通過を果たしている。
なおオラサバルは、セベ・バレステロス以上の出場回数34回を誇り、彼にとって初優勝から30年、1999年に挙げた2勝目から25年が経過という、2つの感動的で記念すべき年だった。
ラームとセルヒオは現在、LIVゴルフでともにプレーし、ラームのチーム「リージョン13」は2勝。
ガルシアは2回のプレーオフで敗れたものの、好成績を残している。

ラテンアメリカからは、メキシコのサンチアゴ・デ・ラ・フエンテ(「LAAC」チャンピオン)、アルゼンチンのエミリアーノ・グリジョ(「マスターズ」4回目。最高位は2016年の17位タイ)、コロンビアのカミロ・ビジェイガス(「マスターズ」7回目。最高位は2009年の13位タイ)。
そしてもちろん、今最もホットなチリのホアキン・ニーマンは、データゴルフで9位(全ゴルフツアーをカウントする、従来の世界ランキングに代わる世界ランキング)。
カブレラのバトンを受け取る可能性が最も高い人物だ。

Text/Isabel Trillo Amores

イサベル・トリロ・アモーレス(スペイン)

PGA・オブ・スペインのコミュニケーションディレクター。80年代後半からゴルフ取材を始め、その数は世界250試合以上。ゴルフのラジオ番組も手がける。

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