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【日本人の全米オープン】松山英樹をはじめ6人が挑戦!果たして結果は……?

今年の「全米オープン」には日本人選手6人が挑戦!
果たして結果は……?

「2014年に出た時よりは、うまくなってるかな」
松山英樹 -2・6位

終わってみれば、8人しかアンダーパーを記録しなかった今年の「全米オープン」で、2アンダーの6位で終えた松山。©Eiko Oizumi
練習日には、石川遼(左)、清水大成(中央)とラウンド。©Eiko Oizumi
18番ホールは、クラブハウスに向かって真っすぐに打っていく448ヤード・パー4。©Eiko Oizumi

2014年にプレーして以来、自身2回目のパインハーストでの「全米オープン」を迎えた松山は、「体の調子(痛み)が、今も日替わり」と言いながらも、オーバーパーを打たずに持ち堪え、2アンダーの6位でプレーを終えた。
日本人唯一の予選通過者でもあった。

「体の状態は、やっぱり今でも日替わりですけど、それでも状態が悪いなりに持ち堪えられたというのはいい状態だと思うし、これを最低限のレベルにしていきたい」と4日間のプレーを終えて語った。

また、この週までの男子ゴルフのオリンピックランキングにより出場選手が決まったが、松山はパリ五輪に出場することを表明。
すでに当確だったが、出場すると断言していなかったのは、JGAのサポート体制に懸念があったからであることを明かした。

「若手が頑張って、世界ランキング50位以内に入っていれば、別に僕でなくてもいいかな、と思いながらも、実際はそういう感じじゃなかったので、出なきゃいけないと思った。今日まで出場の表明を延ばしていたのは、現地の情報やサポート体制について、JGAからの連絡が不十分だったから。DPワールドツアーの方で、練習環境などはサポートしてくれるという話を聞いた。今日まで時間がかかったが、出るからには頑張りたい」

今号が出る頃には、男子オリンピックゴルフが開幕。
松山英樹と中島啓太の2人が金メダルをかけてパリで戦う。

今回の「全米オープン」で、薄々感じていたことが、濃くなった
石川遼 予選落ち

兄のキャディを務めた石川航(右)。「すごく勉強になりました。自分のプレーには役立てられないレベルですけど、いい経験でした」©Eiko Oizumi
予選ラウンドは、ショットメーカーで、現在はLIVゴルファーのセルヒオ・ガルシア(左)とプレー。©Eiko Oizumi
ギャラリーの少年から「帽子ちょうだい」「サングラスが欲しい」とせがまれ、思わず苦笑い。©Eiko Oizumi

昨年に続き、2年連続で日本予選を勝ち抜いて出場を果たした石川遼。
昨年は予選通過を果たしたが、今年は予選落ちに終わった。
だが、ショットメーカーのセルヒオ・ガルシアと予選ラウンドをプレーして、自分に必要なものは何かをはっきり認識したのだという。

「自分では状態は悪くないと思って臨みましたが、200ヤード前後の距離のタテ・ヨコの幅の感覚を、もっとくっきり持たないといけないことがわかりました。今までは薄々、3U(3番ユーティリティ)や4Uの精度をもっと上げなきゃ、と思ってたんですけど、今回それが濃くなったというか。薄々じゃなくなった。どこを目指してやればいいのかが、はっきり見えましたね。俺はこの距離で、このクラブで打ったら、ここからここに行く、というものがはっきり見えるようになり、確信を持てるように練習を頑張れば、次にどんなものが見えるか楽しみです」

今年の開催コースのパインハーストは、お椀を伏せたような砲台グリーンになっており、ラフがなく、短く刈り込まれているだけに、ピンポイントに狙っていかないと、グリーンに乗っても転がり落ちてしまう。
「グリーンは、実際の面積の半分しかない中でやっていた」と石川が語っているが、そうなるとますます同組でプレーしていたセルヒオ・ガルシアや松山英樹のようなショットメーカーに有利なセッティングだったといえる。

「ガルシアのショット、特にアイアンの攻めってすげぇ!と思いましたね。ヒデキの試合中のプレーはテレビでしか観てないけど、多分ガルシアと似たような、あるいはそれよりも上のレベルのショットを打ってるんだろうな、と容易に想像できますね」と語っていた。

帰国直後の「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ」では、早速優勝を遂げた石川。
今回の「全米オープン」での学びが、早くも活かされたのかもしれない。

「全米オープン」で復帰できたことが、一番の喜び
星野陸也 予選落ち

春先に「気胸」を患い、約1ヶ月間、休養した星野が、「全米オープン」で復帰した。©Eiko Oizumi

4月半ばに肺の痛みを感じ、呼吸がしにくいと検査した結果、「気胸」と診断された星野陸也。
その後1週間ほど入院し、1ヶ月ほど完治に時間を要したが、ようやく「全米オープン」2~3週間前から練習ができるようになったという。

「(日本で)練習していてもスイングの振り感やイメージが合わない部分もあったが、出発する直前に何かピンとくるものがあって、渡米後に練習したら、結構体が思い通りに動き、違和感がなくなっていたのでホッとした。この調子なら試合が楽しみ」と練習日に語っていた。

しかし、実際試合が始まってみると、練習とはやはり違っていたようで、「自分の中でも期待していた部分はあったけど、試合となるとスイングが固くなってしまった。ぎこちなかったですね。18ホール以上回ったのも1ヶ月ぶりだったが、想像以上に疲れていない。まだ明日があるので、いいスコアが出るよう頑張る」と初日のラウンドを終えて語っていた。

そして2日目。予選通過するには大幅な巻き返しを図りたかったが、パー5のホールで9を叩いたほか、5連続ボギーを記録するなど、かなり厳しい展開に。
結局、81を叩き、予選通過はならなかった。

「回っていてつらかったが、プレーできた嬉しさもあった。この厳しい状況の『全米オープン』でスタートできたからこそ、ショットの誤差が大きく出て、ショットの調整が必要だと痛感した。これから欧州ツアーに戻って、徐々に成績を上げていきたい」と星野。
アメリカから次週の「KLMオープン」へと向かい、早速、首位と4打差の10位タイに入り、好成績を残した。

今秋、米下部ツアーに挑戦!「予選落ちの悔しさを忘れずに練習する」
清水大成 予選落ち

惜しくも1打差で予選落ちを喫した清水。©Eiko Oizumi

同期の親友、桂川有人が昨年の「全米オープン」で予選通過を果たしたが、清水は初めてのメジャー挑戦を「全米オープン」で経験した。

「有人からは『予選は普通にやれば大丈夫だよ』と言われましたが、普通にするのが難しいですよね(苦笑)」

初日を、1オーバーの34位タイで終えた清水は、スコアを伸ばして決勝ラウンドに上位で進みたいところだったが、2日目は2バーディ、3ボギー、2ダブルボギーの75を叩き、1打足りずに予選落ちを喫した。

「この悔しさを忘れず、練習します」

今秋には、コーンフェリーツアー(PGAツアーの下部ツアー)のQTを受けようと考えている清水。
手厳しいメジャーの洗礼を受けたことで、練習へのモチベーションが高まった。
桂川は欧州ツアー「ISPS HANDA欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」で優勝し、欧州ツアーのシード権を獲得。
現在、久常涼のように米ツアーを目指すルートを模索中だ。
PGAツアーで共に戦う日が来るよう、それぞれ切磋琢磨している。

「いい経験だった」と帰るのがすごく嫌だった
河本力 予選落ち

世界のトップレベルとの、ショット力の差を痛感した河本。©Eiko Oizumi

「全米女子オープン」に出場し、予選通過を果たした姉、河本結から「自分のできることをやろう。今の自分の実力を出し切ろう」とアドバイスを受けて初メジャーに臨んだ河本力。
結果は19オーバーと、ブービーで予選落ちを喫した。

練習日には、世界ランク1位のスコッティ・シェフラーと、ジャスティン・トーマスがラウンド中に加わり、3人で回るという貴重な体験もしたが、初メジャーを「全米オープン」で迎え、世界のトップクラスの選手たちとのグリーンを狙うショット力の差を痛感した。

「フェアウェイから打ってもグリーンに乗せられず、思ったところに飛ばせなかった」

また、国内では無敵のドライバーの飛距離に関しても、全選手の平均よりは上(平均312.1ヤードに対し、河本は329.3ヤード)だが、順位は18位タイと、さほどではない。
世界で戦うには、飛ぶだけではダメで、ショットの精度をもっと高めなければいけない、と改めて認識した。
将来的には海外でプレーしたい河本の、今後の伸びしろに期待したいところだ。

「諦めずに上を向いて頑張り続けたい」
金谷拓実 予選落ち

2019年「マスターズ」58位タイの後、メジャーで10回連続、予選落ちをしている金谷。©Eiko Oizumi
練習日には、松山英樹ともラウンドした。©Eiko Oizumi

米国内での予選会を通過し、「全米オープン」の出場権をつかんだ金谷。
パインハーストは、2019年「全米アマ」でプレーしたこともあり、彼にとって思い出深い地。
また今年5月の「全米プロ」で予選落ちをしていたため、「リベンジしたいという気持ちが強く、なんとしてでも出たい、と思っていた」と語っていたが、通算10オーバーで予選通過とはならなかった。

「2日間とも悔しい。なかなかうまくいかないこともあるが、負けずに次に向けて頑張りたい。諦めずに上を向いて頑張り続けたいので、次もチャレンジして結果が出せるように頑張りたい」

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