


「ライダーカップ」へのLIVゴルファーの出戻りの条件
「我々は互いのために戦い、文化によって団結している。そして、我々の前に道を切り開き、活躍した世代の選手たちによって団結している」
これは、2023年にローマで勝利を収めた「ライダーカップ」欧州チームメンバーが、新しいドキュメンタリー番組の中で語った感動的な言葉だ。
しかし、かつての黄金世代の一人が物議を醸す状況でチームに復帰した場合、その有名なチームスピリットにどのような影響を与えるのかは、非常に興味深いところだ。
セルヒオ・ガルシアと「ライダーカップ」の良好な関係は、疑う余地がない。
10回の出場で28.5ポイントを獲得し、大会史上最多得点記録を保持しているが、その記録は、彼がチームルームの中心で「パーティの盛り上げ役」として披露した数々のジョークの数に匹敵するほどだ。
しかし、2021年に彼が米国で最後の出場を果たして以来、状況は大きく変化した。
ゴルフ界が内紛に揺れる中、LIVゴルフの出現とその魅力的な巨額報酬により友情が壊れた一方で、ガルシアほどその激しい対立の中で注目を集めた人物はいない。
ガルシアのLIVゴルフへの移籍の噂が広まる中、PGAツアーの仲間たちとの最後の日々は、不名誉と対立に満ちたものだった。
2022年5月の「ウェルズ・ファーゴ選手権」で競技委員と口論。
彼は「早くPGAツアーを離れたい」とわめき、LIVゴルフへの移籍をほのめかした。
あるいは、ロッカールームで「お前ら全員クソだ」と周囲に大声で叫んだとされる暴言事件で、その場に居合わせたロバート・マッキンタイヤーはSNSで「尊敬していた人なのに、ガッカリ。昔は憧れていたのに」と投稿した。
さらに、長年の友人であり、同じ「ライダーカップ」の仲間であるローリー・マキロイとの友情が崩れたことも有名な話だ。
二人は記者会見で互いの意見をぶつけ合い、LIV移籍をめぐる論争を公然と展開したが、今、ライバルツアー間の関係改善によって規則が緩和されたため、LIVへ移籍した選手たちが「放蕩息子」のように復帰できる道が開かれたのだ。
最新の規約によれば、リー・ウエストウッド、イアン・ポールター、マーティン・カイマー、そしてもちろんガルシアのようなLIVゴルファーたちが、一定の出場停止処分を受け、DPワールドツアーに許可なくLIVゴルフの試合に出場したことで課せられた罰金全額(総額100万ユーロ以上)を支払うことに同意すれば、同ツアーに復帰することができる。
これは「ライダーカップ」の欧州チーム入りをするためには交渉不可能な規則だ。
かつて罰金の支払いを断固として拒否していたガルシアも、現在ではそれを支払い、今年の9月に行なわれる「ライダーカップ」開催にあたり、ルーク・ドナルドのチームに加わりたい意向を示している。
もしガルシアが11回目の出場を果たせば、リー・ウエストウッドやサー・ニック・ファルドが保持する記録に並ぶことになる。
しかし、長らく名声を博してきた「団結力と調和」で知られるチームにおいて、彼の存在がどのような影響を与えるのだろう。
高額賞金よりもはるかに大きな価値があるもの

ポイントゲッターのガルシアを復活させたいルーク・ドナルド
ドキュメンタリー番組『ウナ・ファミリア』(イタリア語で「家族」の意)の制作中、元欧州チームキャプテンのポール・マギンリーは、ローマのマルコ・シモーネでの勝利が欧州の「チームとして最高のパフォーマンス」だったとルーク・ドナルドを称賛した。
再びキャプテンを務めるドナルドは、1985年、1987年に優勝したトニー・ジャクリン以来、大西洋の両側(米国と欧州)で連覇を果たす初の欧州チームキャプテンを目指し、ガルシアをチームに復帰させるための並外れた外交的手腕を求められている。
おそらく彼の復帰には、ワイルドカードでの指名が必要となるだろうが、ドナルドは親友ガルシアの「追放期間」中も、何度も電話で連絡を取り合い、ドナルドがその対話の窓口を開いておいたことから、指名を検討する可能性は高いだろう。
結局のところ、ガルシアは試合前に調子が悪くても、「ライダーカップ」で本領発揮し、ほぼ常に調子を上げて欧州にポイントをもたらすことができるのだ。
現時点ではその点に関しても問題はなく、2024年のLIVゴルフシーズンで優勝1回、準優勝3回を記録し、総合3位に入っている。
さらに「全米オープン」では12位タイとなり、7年以上ぶりとなるメジャーでの最高成績を収めた。
もしガルシアがそのレベルのプレーを維持できれば、同じスペイン人でLIVゴルフに移籍したジョン・ラームと共に、恐ろしいコンビを形成するに違いない。
欧州の選手たちが一体感を発揮する特有の雰囲気を考えると、最近の確執は忘れられ、古い友人同士が再び団結する可能性は十分にある。
一方、米国チームは、選手それぞれが40万ドルの高額な出場料を要求していると報じられている。
タイガー・ウッズは、あくまでもそれは「チャリティに使うお金」と語っているが、男のプライドをかけて戦う「ライダーカップ」で、金銭が絡むイメージは、あまりいいものではない。
マキロイとシェーン・ローリーは、そうすべきではないと発言しており、マキロイは「ライダーカップ」への出場が許されるならお金を払ってもいいとも述べている。
2年間の対立や金銭追求による名誉の失墜を経た今、2年に一度の1週間だけでも、受け取るものが少なくても、はるかに大きな価値を持つ何かの一部になれるというのは、いかに素晴らしいことかが再認識されるだろう。
Text/Euan McLean

ユアン・マクリーン(スコットランド)
スコットランド・グラスゴー在住のスポーツライター。『サンデーメール』などに寄稿。欧州ツアーなど過去20年にわたり取材。