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【世界のゴルフ通信】From Asia 変化と適応を続けるアジアンツアー インドとフィリピンにアジアンツアーが戻ってきた!

左から、インドのLIVゴルファー、アニルバン・ラヒリ、DLFのマネージングディレクター兼最高ビジネス責任者のアーカシュ・オーリ氏、インターナショナルシリーズの責任者、ラフル・シン氏。©Asian Tour
インターナショナルシリーズの初戦は、1月30日~2月2日に開催される。アニルバン・ラヒリも注目選手として出場予定。©Asian Tour

フィリピンとインドでアジアンツアーが復活

アジアンツアーの将来が危うくなると予想していた人たちは、考え直す必要があるかもしれない。
ヘビ年を迎えてアジアンツアーは、歓迎すべき上昇傾向にあるようだ。

中国の干支では、知恵、優雅さ、そして神秘を象徴するヘビは、変化と適応の象徴とも見なされている。
これらの特性は、アジアンツアーが独自の変革と適応を続け、常に変化し続ける男子プロゴルフ界で重要な存在であり続けるために、今後数か月間、指針となるかもしれない。

12月中旬にアジアンツアーのスケジュールが発表されたが、アジアンツアーとインターナショナルシリーズの両方のシーズン開幕戦が、歴史的な会場へ復帰し、ある種の重要な再出発を示すことになるだろう。

アジアンツアーの2025年シーズンは、1月23日~26日にかけて、マニラ・サウスウッズゴルフ&カントリークラブ(ジャック・ニクラス設計)のマスターズコースで開催される「フィリピンオープン」で幕を開ける。
そしてその1週間後の1月30日~2月2日には、インターナショナルシリーズの10大会の初戦が、デリー郊外のグルガオンにあるDLFゴルフ&カントリークラブで開催されることになっている。

新しくエキサイティングな時代の幕開けの予感を促すのは、1月 29日(2025年の旧正月)に正式にヘビ年が始まるということだけではない。
アジアンツアーの波乱に満ちた歴史の中で、新たな展開ではないが、フィリピンとインドの大会が、スケジュールに復活することは、一つの転機を迎えたことを象徴しているのは確かだ。

「インターナショナルシリーズ・インド」開催コースのDLFゴルフ&CCは、1999年にオープンしたメンバーシップコース。ゲーリー・プレーヤー設計。©Asian Tour

アジアンツアーのカレンダーから消えた空白の10年間

2015年にフィリピンのマニラ・サウスウッズゴルフ&CCで開催された「フィリピンオープン」で優勝したミゲル・タブエナ(右)。©Asian Tour
アジアンツアーコミッショナーの、チョ・ミンタン氏。©Asian Tour

1960年代まで遡るアジアンツアー(当時は極東サーキットとして知られていた)の伝統的な拠点の一つである、フィリピンでの大会は、長い間このツアーのカレンダーから姿を消していた。
アジアンツアーのコミッショナー兼最高経営責任者であるチョ・ミンタン氏が、前向きな気持ちになるのも無理はない。

「アジアンツアーは、この大会やフィリピン全体のゴルフコミュニティと長年にわたる関係を築いており、大会を再び開催できる日を待ち望んでいた。この大会は、歴史、興奮、そしてこの地域のゴルフの拠点の一つとしての旗艦イベントとして、非常に重要な役割を伴うものだ。フィリピンのナショナルオープン以上に、シーズンをスタートするのにふさわしい大会は考えられない」

この大会が開催されるのは、実に6年ぶり(2019年にフィリピンツアーとして開催)。
アジアンツアーの一環として最後に開催されたのは2015年で、その時はフィリピンのナンバー1ゴルファーであるミゲル・タブエナが優勝した。
そして偶然にもタブエナは、2023年に「DGCオープン」で優勝し、インドで開催されたアジアンツアーの大会の最後の優勝者でもある。

そのインドで開催されるDLF主催の「インターナショナルシリーズ・インド」も注目される。
インドのナショナルオープンといえば「インドオープン」だが、2019年までアジアンツアーとヨーロピアンツアー(現在のDPワールドツアー)の共催だったこの大会は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック後の2023年からは、ヨーロピアンツアーとインド・プロフェッショナルツアーの共催に。
話題性のある「インターナショナルシリーズ・インド」の開催は、「インドオープン」がアジアンツアーに復帰する道を開く可能性を秘めている。

賞金総額200万米ドルを誇るこの大会は、インターナショナルシリーズがインド亜大陸を訪れる初めての大会であり、シーズン終了後の総合優勝者に、LIVゴルフリーグへの道を提供する2025年初の大会でもある。

これはアジアンツアーにとっても、インドのゴルフファンにとっても朗報だ。
トップレベルの大会が、この国で再び開催されることを多くの人々が切望しているからだ。

チョ氏は次のように語っている。

「インターナショナルシリーズの大会は、アジアンツアーにおいて重要な存在だ。これらの一流のイベントをスケジュールに組み込むことで、この地域の主要なゴルフ場を再び訪れることができ、世界中の選手にアジアンツアーへの参加を検討するよう促すことは、我々にとって、双方にとってメリットがある」

「インターナショナルシリーズ」を開催し、知名度アップを期待

「フィリピンオープン」開催コースの、マニラ・サウスウッズゴルフ&CCのマスターズコース18番ホール。©Asian Tour

チョ氏の想いは、インターナショナルシリーズ責任者のラフル・シン氏にも共通している。

「インドが世界のゴルフ市場において重要な位置を占めていることは周知の事実。DLFと提携して、この大会をインド亜大陸に持ち込めたことは、インターナショナルシリーズにとって画期的な出来事だ。4年目を迎える同シリーズの強さを、さらに証明するものとなるだろう」

一方DLFにとって、同社の使命は「最高水準の不動産開発、管理、投資サービスを提供すること」と掲げられており、「インターナショナルシリーズ・インド」を開催することは、世界中から注目を集める絶好の機会となる。
DLFの共同マネージングディレクター兼最高ビジネス責任者のアーカシュ・オーリ氏は「DLFはインドにおける不動産開発と不動産事業の分野で、一貫して最高水準を誇っている。LIVゴルフおよびインターナショナルシリーズとの画期的な提携は、インドに最高クラスのスポーツイベントをもたらし、DLFゴルフ&CC内外での当社のサービスを披露するという、当社の展望に合致している」と話す。

チョ氏とアジアンツアーにとって最大の願いは、「フィリピンオープン」と「インターナショナルシリーズ・インド」が成功裏に開催され、シーズン序盤に勢いを与えることで、変化と適応に満ちたエキサイティングな1年のきっかけとなることだ。

Text/Spencer Robinson

スペンサー・ ロビンソン
(シンガポール)

ゴルフライター、ブロードキャスターとしてシンガポールを拠点に活動。

アジアゴルフインダストリーフェデレーションの最高コミュニケーション責任者。

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