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【PGAツアーレポート】松山英椡、開幕戦Vで通算11勝目!ツアー史上最少スコア35アンダーを樹立!

2025年ザ・セントリー
2025年1月2日~5日/カパルア・プランテーションコース(米国ハワイ州マウイ島)

優勝 松山英樹(LEXUS)

松山英樹(LEXUS)
1992年2月25日生まれ。181cm、90kg。東北福祉大出身。国内8勝(メジャー1勝)、米ツアー11勝(メジャー1勝)。2021年「マスターズ」でアジア人初優勝。2024年「パリ五輪」では銅メダルを獲得。
©Eiko Oizumi

PGAツアーの2025年シーズンは、ハワイ・マウイ島のカパルア・プランテーションコースで開催される「ザ・セントリー」で開幕。
今年は、松山英樹が通算35アンダーという大記録を樹立し、開幕戦優勝を飾った。

「ザ・セントリー」「ソニーオープン」でハワイスラム達成は7人目の快挙

優勝後は、お決まりのセルフィー。早藤将太キャディ、黒宮幹仁コーチ、須崎雄矢トレーナー、通訳のアラン・ターナーさんと。©Eiko Oizumi
年末に入手したスコッティ・キャメロン009M・センターシャフト(プロトタイプ)でパッティングも絶好調!©Eiko Oizumi
最終日のホールアウト後は、優勝争いで一騎打ちを演じたコリン・モリカワとガッチリ握手。©Eiko Oizumi

松山、念願のハワイスラム達成

PGAツアー開幕戦「ザ・セントリー」が、マウイ島のカパルア・プランテーションコースで行なわれ、4日間で通算35アンダーのPGAツアー史上最少スコアをマークした松山英樹が、ツアー11勝目を飾った。
9勝目を挙げた際に、それまでアジア勢で最多優勝記録を保持していたKJチョイの8勝をすでに上回っているが、アジア人選手の優勝記録を自ら更新した。
また、今回の優勝で360万ドル(約5億7000万円)という高額賞金を獲得し、世界ランキング5位に浮上。
フェデックスカップランキングでは1位に躍り出た(現在は3位)。

「すごく嬉しい。いつかここで勝ちたいと思っていたし、ハワイで2つとも勝ちたいと思っていたので、勝ててよかった」

松山は2022年大会で、ラッセル・ヘンリーとのプレーオフを制して「ソニー・オープン・イン・ハワイ」で優勝している。
「ザ・セントリー」と合わせてハワイ2試合で優勝しているのは、ジム・フューリック、アーニー・エルス、ビジェイ・シン、ザック・ジョンソン、ジャスティン・トーマス、キャメロン・スミスに次ぎ、松山で7人目だ(全7人が、メジャーチャンピオンでもある)。
そして、35アンダーという歴史的スコアをマークしたことについて、松山は次のように語った。

「(PGAツアー最少スコア記録が)34か35かわからなかったが、35だったら確か、記録だろうな、と思ったんで、そういうことを考えながらやったら入らないんだろうな、と思いながら打ったら入った。記録が出せて嬉しい」

なお過去、このコースではビッグスコアが出ているが、2022年にはキャメロン・スミスが34アンダーで優勝。
ジョン・ラームが33アンダーで2位に入っている。

本大会と好相性のモリカワ
今年も優勝ならず

同組で決勝ラウンド2日間を共に回り、互角に優勝争いを展開したコリン・モリカワ。
彼は本大会とは非常に相性がよく、「このコースでは全てのホールでバーディが取れるような気がする」と語るほど、好スコアをマークすることに自信を持っている。
実際、2020年と2021年は7位タイ、2022年5位タイ、2023年2位、2024年5位タイ、と過去5年間で全てトップ10入りを果たし、優勝争いに絡んでいる。
昨年は未勝利に終わっただけに、今年こそは優勝したい、という思いは強かったはずだが、松山の絶好調プレーを上回るプレーは出来なかった。

「35アンダーはすごい。昨日(第3ラウンド)は彼と互角の戦いをし、僕も最高のプレーをしたと思います。いくつかのショットはミスしたかもしれないけど、どのコースでも11アンダーを出せば満足でしょう。今日は彼は決して手綱を緩めなかったし、3番ホールではイーグルを決めましたね。僕は全てにおいて彼よりも優位に立たないと勝てない状況でしたが、僕自身が前半9ホールで少しミスをしてしまって……残念です」と自身のプレーを振り返りつつ、モリカワは松山のプレーを称えた。

祖父母がマウイ島出身のモリカワにとって、カパルア(マウイ)は故郷のような特別な地。
この地でいち早く優勝したいのは、言うまでもない。

ショットの調子も体調も万全ではなかった松山が大記録達成!

最終日は、サンデーイエローの装いで戦う松山。右はコリン・モリカワ。
©Eiko Oizumi
3日目のラウンドでは、松山とモリカワが互いにバーディを取ったら、取り返すという具合に互角の戦いを展開。最終日、松山は1イーグル、7バーディ、1ボギーの65でホールアウトし、モリカワに3打差で優勝した。
©Eiko Oizumi
決勝2日間連続で、松山英樹と最終組でラウンドしたコリン・モリカワは、「35アンダーはすごい!ヒデキは決して、手綱を緩めることはなかった」と語った。
©Eiko Oizumi
優勝が決まった直後に早藤キャディに「お年玉をありがとうございます」と言われ、松山も思わずニッコリ。
©Eiko Oizumi

年末に入手したジョーダン・スピースと同じモデルのパターが新兵器

今回松山が、クリスマスの後に入手したという、スコッティ・キャメロンのセンターシャフトの「009Mツアープロトタイプ」を初めて投入したことも、大きな話題となった。
アイアンの精度の高さと比較して、「パットが……」とグリーン上のパフォーマンスが課題と言われがちだが(黒宮コーチ曰く、『アイアンがうまい選手だから、パットにフォーカスされがちだけど、そもそもパットは下手ではない』)、この4日間はパッティングが冴え、バーディを量産。
「他の人が使っているのを見て、自分も同じものをオーダーした」と松山は語っている。
誰のパターを見てオーダーしたのかは明かしてないが、参考までに言うと、パターの名手と言われるジョーダン・スピースも、同モデルを使用している。

大会が始まる前には「ピンを狙うための、ボールをコントロールする力とかライン出しがまだできていないので、時間がかかるかもしれないが、これをうまく結果につなげることができればおもしろい」とコメントしていた松山。
優勝記者会見でも「決して体調は万全ではなく、アイアンショットもあまり調子がいいわけではなかった」と語っていた。
年末から体調を崩し、治りきらないままハワイ入り。体調もショットの調子も万全ではなかったようだが、それでも35アンダーという驚異的なスコアを記録したのは見事。
コリン・モリカワとの一騎打ちを制した松山の「ハマった時の強さ」を、ゴルフファンだけでなく、ツアーのプロ仲間も改めて実感したに違いない。

自分の目標は公言しない松山だが、開幕戦優勝を果たし、フェデックスカップポイントレースで好位置につけている現状を考えれば、今年こそフェデックスカップで総合優勝したいと思っていることだろう。
メジャー2勝目、世界ランキング1位……と、追い求めるもののレベルは高いが、弛まぬ努力と精神面での強さで、今年もコツコツとその道を極めていく。

最終成績

優勝松山英樹−35
2位コリン·モリカワ−32
3位イム·ソンジェ−29
4位ジョナサン·ベガス−25
5位ルドビグ·オーバーグ
コーリー·コナーズ
トーマス·デトリー
−24
8位サム·バーンズ
マーベリック·マクニーリー
キャメロン·ヤング
トム·ホーギー
−23
15位アダム·スコット−21
26位ジャスティン·トーマス−19
30位ザンダー·シャウフェレ−17
36位ビクトル·ホブラン−15

Text/Eiko Oizumi

大泉英子
「ゴルフ・グローバル」編集長。海外メジャー取材は男・女・シニア合わせて130試合以上。現在もLIVゴルフも含め、海外ツアーをメインに取材。全米・欧州ゴルフ記者協会会員。

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