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石とホウキでゴルフを学んだジョナサン・ベガス
睡眠3時間でバタバタの中、メジャーで単独首位をキープ

Text/Eiko Oizumi
Photo/PGA of America

初日に続き、2日間連続で単独首位をキープしているジョナサン・ベガス。

 初日のラウンドを9バーディ、2ボギーの64(通算7アンダー)で終えたベネズエラのジョナサン・ベガスが、2日目の4バーディ、1ボギー、2ダブルボギーの70で回り、一つスコアを伸ばして通算8アンダーの単独首位をキープした。2位タイには、フランスのマチュー・パボン、イングランドのマシュー・フィッツパトリック、韓国のキム・シウーが2打差につけ、国際色豊かな上位陣となっている。なお、メジャーで36ホールを終えた時点で、4位タイまでに米国勢が入っていない試合は、2007年「全英オープン」(1位セルヒオ・ガルシア、2位KJチョイ、3位ミゲル・アンヘル・ヒメネス、マイク・ウィア)と18年前まで遡る。

 メジャー17試合目のジョナサン・ベガスにとって、2日間連続でアンダーパーのスコアは初めてのこと。そしてベネズエラ人で首位に立つのは、初めてのことである。

「昨日(第1ラウンド)は遅い時間に終わって、あまり眠れず、今朝は早く戻ってこなければならなかったので、しんどかったですね。3時間くらいしか眠れていない感じでした。昨日はコースを出たのが夜の9時くらいで、食事して、寝る準備をしたのが10時か10時半くらい。全てがバタバタしていましたね」

 質の良い睡眠もとれず、体力的にしんどかったというベガスだが、波はあったものの第2ラウンドもアンダーパーをマーク。ここまでの好調ぶりを振り返り、次のように語った。

「すごく意味のあること。こういうチャンスのために、毎日努力を積み重ねてきた。今までのキャリアではこういう位置になかなか来れなかった。だから今は、本当に頑張り続けてよかったと思う。何がきっかけで流れが変わるかわからない。だから、前を向いてやるべきことをやり、努力を続けるしかない」

 今回、「全米プロ」で初めて首位に立ってみたことで気づいたことがあった。それは、「自分には大舞台で戦えるゴルフがある」ということだったという。ツアー4勝の彼にしては、メジャーでの経験は少ない方。2011年の「マスターズ」からメジャーには出始め、2012〜2015年の間はメジャー出場なし。今年までで16回しか出場していない。「全米プロ」は今年で7回目の出場だ。

「怪我の影響もあって出場できなかった時期もあったが、すごく悔しかったですね。自分にはこういう大舞台で戦える力があると思っていたので、見ているだけというのはかなりつらかった。自分のゴルフは総合力があると思っていますが、メジャーではなかなかそれが形になってなかった。でも落ち込みすぎずに我慢強くやってきたつもり。今こうしてこの位置にいられるのは、すごく嬉しいし、自分を信じてやってきてよかった」

 今日から決勝ラウンドを迎えるが、もし彼が優勝すれば、ベネズエラ人としては初のチャンピオンとなる。そして、「全米プロ」で米国人以外の優勝者は、2015年のジェイソン・デイ(豪州)以来、10年ぶりの快挙だ。石とホウキでゴルフを学び、石油会社が所有する9ホールのコースの近くで生まれ育った彼が、4大メジャーの一つである「全米プロ」で優勝すれば、ベネズエラのゴルフの発展に大きく貢献するに違いない。

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