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ゴルフの科学者ブライソン・デシャンボーが全米オープンで優勝した秘策は?

ブライソン・デシャンボーが「ラフに入ってもいいからとにかく飛ばして寄せる」スタイルで全米オープン優勝!

コロナウイルスの影響で3ヶ月遅れの開催となった「全米オープン」。開催場所は、世界で最もコロナ感染者を多く出したニューヨークだ。

ゴルフの科学者、ブライソン・デシャンボーがメジャー初優勝を遂げた“秘策”は、スイングスピードと飛距離にあった。

©︎USGA/John Mummert

優勝
ブライソン・デシャンボー
(アメリカ)

1993年9月16日生まれ。185cm、111kg。PGAツアー7勝、欧州ツアー1勝。今年は全米オープンのほか、ロケットモーゲージクラシックで優勝。アイアンを全て同じ長さに揃え、スイングを科学する「ゴルフの科学者」として知られている。

©︎USGA/John Mummert

メジャー初優勝を遂げ、笑顔で記者からの質問に答えた。

©︎USGA/John Mummert

優勝が決まった瞬間、両手を突き上げた。

©︎USGA/John Mummert

3日目のラウンド後、暗闇の中、投光器に照らされながら練習場でスイングチェックを行なっていたデシャンボー。

©︎USGA

クラブハウスを背に10番ホール・パー3のティーショットを放つデシャンボー。

©︎USGA

ローアマを獲得したジョン・パク(右)とグータッチし、互いの健闘を称えあった。

ただ一人、アンダーパーをマークして優勝できた理由

今年の「全米オープン」開催コース「ウィングドフットGC」は難易度が高く、当コースのディレクターが大会前に「優勝スコアは8オーバーだろう」と予測したほどだった。

しかし、そんな予測を大きく裏切り、ただ一人アンダーパーを記録したのは「ゴルフの科学者」ブライソン・デシャンボー。

2位のマシュー・ウルフとは6打差の6アンダーでメジャー初優勝を果たした。

「優勝したなんて、現実のものとは思えないよ。これもチームのみんなのおかげだ。毎日みんなで一生懸命に取り組んでくれ、ボクを助けてくれた。そして、両親にも本当に感謝している。ランチ代すら払えない状態で学校に通っていたこともあり、とても辛い時期を過ごしていたこともあったが、彼らは本当にボクのためにベストを尽くし、ゴルフをさせてくれた。この優勝は両親やボクのチームのみんなのもの。血と汗と涙の結晶だ」

チームデシャンボーにはキャディのティム、コーチのクリス・コモ(タイガー・ウッズの元コーチ)の他に、練習日には弾道測定器を持ち歩き、ショット毎に計測してスイングを分析する担当者もいる。

他の選手と異なるのは、このスイング分析屋が常に一緒に行動していることだ。

スイングを数値で把握し、その数値を基にどのようなクラブで、どのようにスイングすればいいかを考えるのがデシャンボー流。

スイング理論やゴルフクラブのチョイスについて風変わりな部分もあるが、これまでのところ独自の理論が奏功し、2017年以降、毎年優勝を遂げている。

コロナでツアーが中断中は、肉体改造とトレーニングを行ない、筋肉増強。

約111キロに体重が増え、飛距離も25ヤードアップした。

パワーアップしたことにより、深いラフからでも以前よりラクに脱出が可能に。

昨年の「全米プロ」で優勝したブルックス・ケプカのプレーを見ていて、ラフに入ろうがパワーでコースをねじ伏せた彼を羨ましく思い、「自分もああいう風になりたい」と思ったという。

「今ではスイングスピードが速くなり、ラフが深くても振り抜けるようになった。これはブルックス(ケプカ)が昨年のベスページでやっていたことなんだ」

ラフが深い全米オープンの攻略のカギといえば、たいていは「フェアウェイキープ」であると選手たちは語るが、デシャンボーの戦略は「ラフに入ってもいいからとにかくドライバーで飛ばして、できるだけグリーンに近づける」というもの。

これができるのもケプカ並みのパワーと飛距離を備えたデシャンボーだからこそ。人とは違う作戦で、ただ一人アンダーパー優勝を遂げた。

速く振ってもブレないスイング作りを研究しているデシャンボー

チームデシャンボーとメジャー優勝を祝福。左からマネージャーのブレット・ファルコフ、コーチのクリス・コモ、デシャンボー、キャディのティム・タッカー。

さらに遠くへ、真っすぐ飛ばすために

デシャンボーは全米オープン以降、48インチのドライバーをテストしており、マスターズでお披露目できれば、と語っていたが、結局使用しなかった。

この長尺シャフトを使いこなせばおそらく360~370ヤードは飛ぶだろうと予測。

彼はただ飛ばすだけではなく、真っすぐ飛ばすことにこだわって熱心に研究を重ねている。

時にはドラコンチャンピオンのもとを訪れ、「速くスイングすることのメリット&デメリット」や「いかに速くスイングしてもブレることなく真っすぐ飛ばせるか?」などを聞き込んでいるのだという。

ゴルフの科学者はさらに上を目指すため、研究と努力を怠らない。

遠くへ真っすぐ、という誰もが欲しがる研究課題の答えを見つけることができるか……。

最終成績

2020年9月17日~20日
米国ニューヨーク州ママロネック
ウィングドフットGCウエストコース

優勝 −6 ブライソン・デシャンボー
2位 E マシュー・ウルフ
3位 2 ルイ・ウーストハイゼン
4位 3 ハリス・イングリッシュ
5位 4 ザンダー・シャウフェレ
6位 5 ダスティン・ジョンソン
ウィル・ザラトリス
8位 6 トニー・フィナウ
ジャスティン・トーマス
ウェブ・シンプソン
ザック・ジョンソン
ローリー・マキロイ
17位 8 松山英樹
23位 10 ジョン・ラーム
38位 14 アダム・スコット
ジェイソン・デイ
49位 17 リッキー・ファウラー
51位 18 @ジョン・パク
石川 遼
61位 25 今平周吾

予選落ち:タイガー・ウッズ、フィル・ミケルソン、コリン・モリカワ、@金谷拓実、トミー・フリートウッド、ジョーダン・スピース、セルヒオ・ガルシア

Text/Eiko Oizumi

大泉英子

ゴルフ誌の編集長を経て、現在はフリーライター、ゴルフイベントのプロモーターなども手がける。『ゴルフ・グローバル』編集長。海外取材は20年以上。全米ゴルフ記者協会、日本ゴルフジャーナリスト協会会員。

Photo/USGA(John Mummert, Darren Carroll, Chris Keane, Jeff Haynes), Getty Images

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