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日系4世のコリン・モリカワが
抜いたタイガー・ウッズの記録とは?

昨年の「全米プロ」に続き、「全英オープン」でメジャー2勝目を挙げ、優勝トロフィ(クラレットジャグ)を手にするコリン・モリカワ。
昨年の「全米プロ」に続き、「全英オープン」でメジャー2勝目を挙げ、優勝トロフィ(クラレットジャグ)を手にするコリン・モリカワ。

Text/Eiko Oizum
Photo/ Matthew Lewis/R&A/R&A via Getty Images

 

2019年6月にプロ転向した24歳のコリン・モリカワが、タイガー・ウッズもなし得なかった偉業を達成した。

 

ドーバー海峡付近のロイヤル・セントジョージズGCで、2年越しに開催された今年最後の海外男子メジャー「全英オープン」。優勝したのは、昨年「全米プロ」で初出場・初優勝を飾った24歳のコリン・モリカワだ。3日目を終えて首位のルイ・ウーストハイゼンに1打差の2位につけていた彼は、最終日、ウーストハイゼンと共に最終組でラウンドし、4バーディ、ノーボギーという見事なプレーで逆転優勝。例年、「全英オープン」では「1日のうちに四季がある」と言われるほど悪天候や寒さに見舞われることも多いが、今年はそれらと無縁だったことも「全英」ビギナーの彼には幸いしたようで、4日間60台のスコアを連日マーク。実は「全英オープン」で4日間60台でプレーして優勝した選手は過去、グレッグ・ノーマン(1993年)、ニック・プライス(1994年)、タイガー・ウッズ(2000年)、ヘンリク・ステンソン(2016年)、ジョーダン・スピース(2017年)しかいなかったため、モリカワで6人目となった。

 

「こうしてクラレットジャグを手にし、1年間自分のそばにキープできるなんて、本当にワクワクするね」

 

さて、今回の優勝で何よりもすごいのは、昨年の「全米プロ」と同様、初出場・初優勝を挙げたことだ。2つのメジャーで初出場、初優勝を遂げた選手は、モリカワ以外に過去、誰もいない。タイガーですら、プロ転向2年目の「マスターズ」で優勝してから、メジャー2勝目を挙げたのは2年後の「全米プロ」である。この記録は当分破られることはないだろう。そして、モリカワ自身も残りの2メジャー「全米オープン」「マスターズ」については、既にデビューを果たしているので、これ以上記録を塗り替えることもない。

 

また、今大会の優勝で他にもレジェンドたちに肩を並べる記録を樹立しているので、いくつかご紹介しておこう。

 

彼は過去100年のゴルフ史の中で25歳前にメジャーで複数回優勝を果たしている選手の仲間入りを果たしている。ジーン・サラゼン、ボビー・ジョーンズ、ジャック・ニクラス、セベ・バレステロス、タイガー・ウッズ、ローリー・マキロイ、ジョーダン、スピースに続き、8人目だ。

また1900年以来、「全英オープン」で初出場、初優勝を遂げた7人目の選手となっている。過去にはジョック・ハチンソン(1921年)、デニー・シュート(1933年)、ベン・ホーガン(1953年)、トニー・レマ(1964年)、トム・ワトソン(1975年)、ベン・カーティス(2003年)がいる。

そして、25歳前の選手でメジャーの最終日に優勝争いをし、複数回の逆転優勝を果たしているのは、球聖ボビー・ジョーンズと帝王ジャック・ニクラス、そしてコリン・モリカワの3人だけだ。この調子で今後の長いゴルフ人生を歩んでいけるとしたら、タイガー・ウッズのメジャー15勝、いやジャック・ニクラスのメジャー18勝記録も塗り替えることができるかもしれない。過去のレジェンドたちと並ぶ記録をすでに樹立している日系4世のコリン・モリカワだが、今後の活躍ぶりに大いに期待がかかる。

 

なお、今大会の優勝でフェデックスカップ1位、世界ランク3位に浮上。パッティングが苦手だという彼だが、「全英」ではそんなことを感じさせないすばらしいパフォーマンスを披露し、勝負のパットを数々決めた。来週は自身のルーツもある日本でのオリンピックに米国代表として出場する。英国のリンクスは初体験だったにも関わらず勝利を飾った彼が、霞ヶ関カンツリー倶楽部をどう攻略するのかも、非常に興味深い。

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