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「全英オープン」初制覇の裏に
光ったモリカワの感性

「全英オープン」前週に出場した「スコティッシュオープン」で、クラブの調整が必要だと感じたモリカワは、早速初日から3本のアイアンを入れ替え、パターのウエイトを重めに調整して対応。
「全英オープン」前週に出場した「スコティッシュオープン」で、クラブの調整が必要だと感じたモリカワは、早速初日から3本のアイアンを入れ替え、パターのウエイトを重めに調整して対応。

 

Text/Eiko Oizumi
Photo/David Cannon/R&A/R&A via Getty Images

 

プロ入り3年目を迎えるコリン・モリカワは「全英オープン」で優勝したが、その偉業達成の裏では彼のゴルファーとしての感性と、機敏な対応力が光った。

 

「全英オープン」の前週に開催された「スコティッシュオープン」に出場したモリカワ。予選通過は果たしたものの、77選手中71位の結果に終わっていたが、実は彼が英国の本格リンクスコースをプレーするのは今回が初めてだったという。

 

「もし先週、スコティッシュオープンに出ていなかったら、(全英オープンで)このような2ラウンド(67、64)はできなかったと思う。フェスキューのフェアウェイにあるボールの状態は、いつも(米国のコース)と少し違うが、それを先週見ることができたのは大きいね」

 

彼は「スコティッシュオープン」で体感した経験を元に「全英オープン」の初日に間に合わせるべく、急遽7〜9番をテーラーメイドのブレードアイアン「P730」からキャビティアイアンの「P7MC」に変えたのだ。

 

「通常使っているブレードの7〜9番をMCに変えたんだ。フェースのセンターで打ててなかったからね。スイングはいい感じなのに先週はうまく打ててなかった。でもそれに気づけて本当によかったよ。先週は勝ちたかったのに、もっといろいろと勉強すべきことが多くて……今週に活かせてよかった」

 

通常、7番アイアンからPWまではブレードの「P730」を使用している彼だが、7〜9番までをクラブ交換。通常5〜6番に使っているキャビティの「P7MC」に変えたところ、フェースのセンターで打てるようになったのだという。

 

今大会中は他の誰よりもパットが決まっていたモリカワ。パターのヘッド重量と握り方を変えることで、英国リンクスのグリーンを攻略した。
今大会中は他の誰よりもパットが決まっていたモリカワ。パターのヘッド重量と握り方を変えることで、英国リンクスのグリーンを攻略した。

 

また、チェンジしたのはアイアンだけではない。彼の苦手としているパターの重量を変え、握り方も変えたのだ。

 

「これは感覚的なことだけど、“ソーグリップ”だとうまくテンポが合わない。ソーグリップは僕にとって素晴らしい握り方だし、今後もこの握り方を続けていくけど、25~30フィートよりも長いパットになるとうまく打てなかったんだ。ブラント・スネデカーのパッティング のようなテンポが出ないんだ。通常やっているグリーンよりもスピードが遅いから、何かを変えないといけなかったんだ。普通の握り方に変えただけで、何も精神的に変える必要はなかったんだよ」

 

*ソーグリップ/クロウグリップとも言われる。右利きのゴルファーの場合、左手は通常通りに握り、右手は下からではなく、手の甲を上にして横から蟹のハサミのように挟む握り方をいう。モリカワは通常、ソーグリップで握っている。

 

また、グリーンのスピードが遅い分、ヘッドを走らせてロングパットでもカップに届くように、重量を重めのものにチェンジしたという。

 

これらの劇的なチェンジのおかげで、大会を通して全選手中1位の平均パット数(1.54)を記録。通常、PGAツアーで彼は、ストロークゲインド・パッティング で170位と低迷しているが、全英オープンの週に限っては、これらのチェンジが奏功して誰よりもパットに助けられたのだった(一方、今回もメジャー優勝を逃したルイ・ウーストハイゼンはPGAツアーのストロークゲインドパッティング で堂々の1位である)。

 

「10フィート以内のパットに関しては、今までの中でもベストと言えるね。最もソリッドなパッティングだった。メジャーの日曜日に優勝争いをしている中で、僕はパットを決めることしか考えていなかったよ。僕のスタッツを見る限り、数値的にいえば僕はパターが得意な選手ではない。もっと上手くなれるとは思うけど。でも、今回のような状況ではそんなことはどうでもよかった。数字のことや、こういう状況で誰がいいパッティングをしてくるかなどは全て忘れたんだ」

 

苦手とするパッティングを克服し、人生初のイギリスのグリーンを制覇したモリカワ。「全英オープン」の優勝者は「チャンピオンゴルファー・オブ・ザ・イヤー」と呼ばれるが、フェデックスカップでもトップに浮上し、名実共に今年のチャンピオンゴルファーとなる可能性は非常に高い。

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