• 国境や人種を超えたスポーツの力とゴルフの愉しさをすべての人に。
  1. ホーム >
  2. トーナメントレポート >
  3. タイガー・ウッズ超え!
    ローリー・マキロイ、史上最多3...

タイガー・ウッズ超え!
ローリー・マキロイ、史上最多3回目の
フェデックスカップ総合優勝達成!

Text/Eiko Oizumi
Photo/Getty Images

最終日、首位のスコッティ・シェフラーに6打差の2位タイからスタートしたローリー・マキロイが大逆転Vを果たし、自身3度目のフェデックスカップ総合優勝を飾った。

PGAツアーの2021〜2022年が8月下旬に開催された最終戦の「ツアー選手権」で終了し、ローリー・マキロイが優勝。今季3勝目を挙げて、自身3度目のフェデックスカップ総合優勝を飾った。

3ラウンド目を終えて、首位のスコッティ・シェフラーと6打差の2位につけていたマキロイだが、シェフラーが1バーディ、4ボギーとスコアを落とす中、マキロイは6バーディ、2ボギーの66をマーク(パー70)。タイガー・ウッズと並んで最多フェデックスカップ総合優勝記録(2勝)を持っていた彼が、タイガーを抜き、最多記録を更新。2016年、2019年に続く、3勝目を飾った。今大会の優勝で、ツアー22勝目。今大会の優勝で世界ランク3位に浮上している。

「自分の大好きなゴルフというゲームにおいて、初めてのことを成し遂げたことを、ものすごく誇りに思う」

「今シーズンは、2019年に総合優勝した時と非常に似ていると思う。今年はすごくいいゴルフができていたし、何回か優勝したけど、メジャーには優勝できなかった。でもハリー(キャディ)が、『今年は本当にいいゴルフができていたよ。お前は優勝する価値がある』と言ってくれたんだ」

一方、最終日のスタート時点で首位に立っていたシェフラーは「目の調子が悪いのか、ラインが正しく読めないこともあったし、自分のプレーが信じられなかった。精神的なものだと思う」と語っていた。「マスターズ」でメジャー初優勝し、今季4勝を飾った世界ランク1位の彼が、6打の大差を守って総合優勝を飾るのは自然な成り行きであり、マキロイ自身も「スコッティ・シェフラーが、今年のプレーヤー・オブ・ザ・イヤーに輝くことは間違いない」と語っているが、最後はツアー15年目を迎えるベテランのマキロイの「貫禄勝ち」に終わった。彼はホールアウト後、シェフラーに対し、「僕たちはジョージア州で1勝1敗だね(「マスターズ」ではシェフラー、「ツアー選手権」ではマキロイの優勝。ともにジョージア州内の試合)。僕たちの戦いは、これで終わりじゃない。また今後、一緒に優勝争いをしよう」と声をかけたという。

 今年のマキロイは、自身のゴルフだけに集中できない、厳しい1年だった。サウジの新興リーグ「LIVゴルフ」の台頭により、ダスティン・ジョンソン、ブライソン・デシャンボー、ブルックス・ケプカ、フィル・ミケルソンらツアーの有名人気選手が流出。ツアーの今後の在り方や存亡に、大きな影響を与え兼ねないLIV ゴルフ、そしてLIV に移籍してしまった仲間たちについて、選手会長として苦言を呈してきた。立場上、記者会見でもLIV 関連の質問が飛ぶことが多かったが、ツアーのスポークスマンとして、その一つ一つの質問に対し、自分の意見をはっきり伝え、ツアーの伝統、威信をかけてコース外でも戦い続けた。

また、タイガー・ウッズと共同で、PGAツアーと提携の新リーグ「TGL」も結成。世界最高峰のPGAツアーをもっと魅力的なものにするため、シーズン中にも関わらず、スポンサーや協力者たちと会議をするなど、ゴルフ以外の雑事も多かったのだ。

「男子ゴルフ界にとって、今は厳しい時であり、僕はそのど真ん中にいる。世界の最高のゴルファーがプレーする、最高の場所を守るために……。自分が声を上げて信じるものがあるなら、非常に強くそれを主張する必要がある。だが、ここ数週間はゴルフ場が逃げ場だった。ロープの中に入ってしまえば、誰も僕をつかまえることはできない。いろんな雑事から逃れる唯一の場所だったんだ。自分でもスイッチのオン・オフの切り替えは、とてもうまくできたと思う」

「ツアー選手権」で逆転優勝を飾り、フェデックスカップ総合優勝でボーナス金、約25億円を獲得したマキロイ。「お金はお金で素晴らしいもの。我々はプロゴルファーであり、ゴルフで生計を立てている。だが、僕の今のゴルフ人生において、優勝や、優勝までの道のり、優勝した時の気持ち、それを人と分かち合うことの方が、お金よりももっと大事だ」と語った。

 そんな彼も、セントアンドリュースでの150回記念大会「全英オープン」で優勝できなかったことは、後々まで尾を引いている。大会後はエリカ夫人とポピーちゃんの家族3人で2週間、ロンドンに滞在し、家族の時間を楽しんでいたようだが、今もなお、全英オープンで優勝できなかったことは、「克服するにはタフな出来事」と語っている。

そんな彼が、フェデックスカップ総合優勝を遂げたことは、大きな意味を持つ。伝統と歴史の詰まったPGAツアーで戦うこと、成績を残すことの意味と価値を改めて自身の優勝によって示したマキロイは、 コース内外の活動を通してMVPにふさわしい。

「我々は今、ゴルフにおいて激動の時代にいる。ツアーの誰もがストレスを感じ、LIVに行った人たちですら、問題に対処しなければいけない時代だ。ここ(PGAツアー)がゴルフという競技で戦うには世界で最高の場所なのに、なぜ他の場所でプレーしたいという人がいるのか、理解できない」

今季最終戦の「ツアー選手権」後にLIVゴルフに移籍した世界ランク2位のキャメロン・スミス(右)。左は世界ランク1位で、今季のフェデックスカップで総合2位に輝いたスコッティ・シェフラー。

 最終戦の「ツアー選手権」が閉幕した直後に、キャメロン・スミス、ホアキン・ニーマン、マーク・リーシュマン、ハロルド・バーナーⅢ、キャメロン・トリンガーレ、アニルバン・ラヒリの6名も、LIVゴルフ行きを表明した。特に「全英オープン」に優勝したばかりの、世界ランク2位のスミスが移籍したことは、世界中のゴルフファン、関係者の間に衝撃が走った。まだまだPGAツアー対LIVゴルフの戦いは続く。選手会長のマキロイも、コース内外で忙しい日々が当分続きそうである。

関連する記事