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「プレジデンツカップ」米国選抜チーム
5点差をつけて、通算12勝目を達成!

Text & Photo/Eiko Oizumi
Photo/Getty Images

プレジデンツカップ_選手集合写真
2022年「プレジデンツカップ」は米国選抜チームが優勝。通算12回目の優勝だ。

 

 2021年に開催予定だった、2年に1度の米国選抜VS世界選抜の対抗戦「プレジデンツカップ」。新型コロナウイルスの世界的な感染の影響を受け、2020年の「ライダーカップ(欧米の対抗戦)」が順延されたことを受けて、今大会も1年延期。2019年にメルボルンで行なわれて以来、3年ぶりに米国ノースカロライナ州の名門、クエイルホロークラブで開催された。

 過去の通算戦績を見ると、11勝1敗1分、と圧倒的な強さを誇る米国選抜。しかし2019年大会では、世界選抜が3日目を終えて2ポイントリードするなど、以前に比べて米国と世界との実力差は縮まっているという印象を受けた。

 だから今年こそは24年ぶりの世界選抜優勝を、と期待する声も多かったのだが、結果は米国選抜17.5 ポイントに対し、世界選抜は12.5ポイント。米国が5ポイント差で通算12勝目(9大会連続優勝)を挙げた。 

 LIVゴルフが今年からゴルフ界に参入し、その影響をモロに受けた世界選抜が戦力ダウンするなど、過去にはなかったような理由で米国選抜がさらに有利となった経緯はあるが、いずれにせよ、米国選抜は世界ランク1位のスコッティ・シェフラーを筆頭に、世界のトップランカーがひしめきあうドリームチーム。最下位でもケビン・キスナーの25位止まりである。一方、世界選抜は松山英樹の17位が最高で、出場選手中最下位はテーラー・ペンドリスの109位。この手の類の対抗戦やマッチプレーなどでは、世界ランキングだけでは結果を推測できない要素もあるが、実力的に世界ランク平均値で両チームには37位分の差異があったことは事実だ。

 昨年の「ライダーカップ」で5戦5勝を飾ったダスティン・ジョンソンや、キャプテンアメリカのパトリック・リード、圧倒的な飛距離で相手を凌駕するブライソン・デシャンボーらがLIVゴルフ移籍で「プレジデンツカップ」米国メンバーに加われなかったといって、米国の成績にはほとんど無関係だったと言っていいだろう。それほど米国には、勝つための要素がすでに揃っており、彼らの存在の有無が成績を決める要素ではなかったのだ。

 1〜3日目まで行なわれるフォーボールやフォーサムなど、2人1組で戦うマッチプレーでは、ジョーダン・スピース&ジャスティン・トーマス、ザンダー・シャウフェレ&パトリック・キャントレーという2組の無敵な仲良しグループが実力を発揮。スピース&トーマス組は4戦4勝を記録し、シャウフェレ&キャントレー組も、トム・キム&キム・シウー組に1敗を喫したものの、3戦1敗と好成績。個人の記録を見ると、世界ランク1位のスコッティ・シェフラーは、0勝3敗1分とキャプテンの期待に応えることはできなかったが、一方でマックス・ホーマの4戦全勝や、3勝を挙げたトニー・フィナウの活躍などもあり、米国の勝利に関して、彼の不調は大勢に影響はなかった。

「何人かの選手たちは、その成績には表れていないが、みんな素晴らしいプレーをしていた。素晴らしいチームの努力だ。みんなここに来るまでに十分な準備をしていたから、彼らにはスタート時間を伝えることくらいしかやることはなかったよ。本当にとても彼らのことを誇りに思っている」

 今大会では特に5戦5勝のジョーダン・スピースの活躍が光った。彼は過去「プレジデンツカップ」と「ライダーカップ」に合計8大会、出場しているが、最終日のシングルス戦で勝ったことは1度もなかった。だが、今年はキャメロン・デービスと対戦し、4&3(3ホールを残して4UP)でシングルス戦、初勝利した。

「僕とジャスティンはチームで信じられないほど素晴らしい時間を過ごすことができたが、シングルスでやっと初めて勝つことができで嬉しい」(ジョーダン・スピース)

 次回の「プレジデンツカップ」はカナダ・モントリオールで2024年に開催予定。世界選抜チームにとってはホームになるだけに、期待がかかる。自分の賞金やフェデックスカップポイントのためではなく、国やチームの威信をかけて戦う団体戦「プレジデンツカップ」の今後の行方に注目だ。

世界選抜チームは敗れたものの、トム・キム(キム・ジュヒョン・写真左)のような新しいスターも生まれた。

【2022 プレジデンツカップ全成績】
米国選抜17.5   : 世界選抜12.5

1日目 フォーサム 👑=勝者
(1チーム2人で、1つのボールを交互にプレー)
米国4勝:世界1勝

P・キャントレー&X・シャウフェレ👑 6&5 松山英樹& A・スコット
J・スピース&J・トーマス👑 2&1 I・ソンジェ&C・コナーズ
C・ヤング&C・モリカワ👑 2&1 T・キム& I・キョンフン
S・シェフラー&S・バーンズ 2UP K・シウー&C・デービス👑
T・フィナウ&M・ホーマ👑 1UP T・ペンドリス&M・ペレイラ

●2日目 フォーボール
(1チーム2人で、それぞれ自分のボールでプレー。いい方のスコアを採用)
米国3勝:世界0勝 2引き分け

J・スピース&J・トーマス👑 2&1 A・スコット&C・デービス
S・シェフラー&S・バーンズ 引き分け I・ソンジェ&S・ムニョス
K・キスナー&C・ヤング 引き分け M・ペレイラ&C・ベフーズンハイト
P・キャントレー&X・シャウフェレ👑 3&2  松山英樹&T・キム
B・ホーシェル&M・ホーマ👑 1UP C・コナーズ&T・ペンドリス

●3日目 フォーサム
米国2勝:世界2勝

J・スピース&J・トーマス👑 4&3 I・ソンジェ&C・コナーズ
C・ヤング&C・モリカワ 3&2  松山英樹&A・スコット👑
S・シェフラー&S・バーンズ 2&1 I・キョンフン&T・キム👑
T・フィナウ&M・ホーマ 👑 4&3 K・シウー&C・デービス  

●3日目 フォーボール
米国1勝:世界3勝

P・キャントレー&X・シャウフェレ 1UP K・シウー&T・キム 👑
J・スピース&J・トーマス👑 4&3 松山英樹&T・ペンドリス
T・フィナウ&K・キスナー 3&2 I・ソンジェ&S・ムニョス👑
B・ホーシェル&S・バーンズ 1UP A・スコット&C・デービス👑

●4日目 シングルス
米国6勝:世界5勝 1引き分け

J・トーマス    1UP    K・シウー👑
J・スピース👑   4&3   C・デービス
S・バーンズ    引き分け 松山英樹
P・キャントレー👑 3&2  A・スコット
S・シェフラー   2&1  S・ムニョス👑
T・フィナウ👑 3&1  T・ペンドリス
X・シャウフェレ👑 1UP C・コナーズ
C・ヤング     1UP I・ソンジェ👑
B・ホーシェル   3&1 I・キョンフン👑
M・ホーマ👑 1UP T・キム
C・モリカワ👑 3&2 M・ペレイラ
K・キスナー    2&1 C・ベフーズンハイト👑

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