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DPワールドツアーからPGAツアーへ
最終戦の最終日には、DPワールドツアー王者とラウンド
                         久常 涼

Text & Photo/Eiko Oizumi

「DPワールドツアー選手権」最終日、DPワールドツアーの年間王者ローリー・マキロイとともにラウンドした久常(右)。

 昨年末にDPワールドツアー(以下DPWT)の予選会を勝ち抜き、シード権をゲットした、DPWTルーキーの久常涼。9月に「カズー・フランスオープン」でツアー初優勝を挙げ、DPWTトップ50しか出場出来ない「DPワールドツアー選手権」に出場したが、有資格者を除く同ツアーランキング・トップ10に与えられるPGAツアーのシード権を10位で獲得した。

「こうして(PGAツアー行きが)決まって本当に嬉しいです。僕はずっと松山(英樹)さんを見てて、PGAツアーで戦いたいと思ってましたが、それが現実になるって考えると嬉しいですし、来年頑張りたいですね」

 「ZOZOチャンピオンシップ」で6位タイに入り、次週、メキシコ開催のPGAツアー「ワールドワイドテクノロジー選手権」への出場権を獲得していた久常だが、来季のPGAツアーのシード権を確保するため、メキシコには行かずに「コマーシャルバンク・カタール・マスターズ(カタール)」「ネッドバンクチャレンジ(南アフリカ)」「DPワールドツアー選手権(UAE)」の3連戦に集中した。DPWTランキングでトップ10に入れば、PGAツアーに行ける(有資格者を除く)という特典があるが、フランスで1勝を挙げた久常は、ギリギリのところでトップ10圏内に数週間入っていたのだ。

最終日のラウンドを終えた直後の晴れやかな表情の久常。DPワールドツアーの動画用のインタビューにも答え、「来年はフロリダを拠点に転戦したいですね」と語った。

「今週(最終戦の間)もずっとしんどかったですね。ずっとボーダーラインにいましたし。でも今日は、ローリーと回ると言うギフトもあった。ローリーとは、2019年のジュニアインビテーショナルという試合で会って以来。ジュニアクリニックをやってくれて、その時に間近に見たんですけど、まさかそんなスーパースターだった人と、この最終戦、最終日に回れるとは思ってもみませんでした」

 憧れのマキロイとのラウンドが、PGAツアー行きのかかる大事な日に重なってしまったのも運命かもしれない。来年からPGAツアーでプレーする前に、世界のトップランカーとプレーできたことは、彼にとって大きな意味のある1日だったという。

「マキロイは、『来年、PGAツアーに来れそうだね』という話をしてくれて、ちょっとは話しましたが、今日は自分も余裕なくて、なかなか話すことができなかった。でも文字通り、彼の背中を見て、あのプレーをしっかり目に焼き付けることができた。また同じ舞台で戦えるように頑張りたいです。大きかったですね。先週(ネッドバンクチャレンジ)は、優勝したマックス・ホーマとも回りましたし、2週連続でいい選手とプレーすることができた。自分に足りないものだらけで、それを再認識できたのでよかったです。頑張ります」

 マキロイとのラウンドで、「自分と比較して足りないと思ったところはどこか?」を尋ねると、「ショートゲームですね。飛距離も足りないし。あとは体力的なところです。最近本当に試合が連続で続いたので、しんどかった。その辺が体つきを含めて、まだまだだな、と思いました」

 来年のPGAツアー参戦は「ソニーオープン・イン・ハワイ」からになりそうだと語るが、「来年、またいいスタートを切りたいですし、これで終わりではないので、ずっと続くと思うとしんどいですけど、自分なりにまた頑張りたい。今年は優勝もできたし、PGAツアーのシード権も獲得できたし、100点です」

 「周囲の人々の支えもあり、こうやっていい結果が出ている」と久常。来年はPGAツアーでの優勝や、翌シーズンのシード権の確保、メジャーに出場など、また新たな挑戦が待っているが、これまで順を追って、確実にステップアップしてきた彼なら、階段を踏み外すことなく、のぼり詰めていけることだろう。

最終日、ホールアウト後にマキロイと握手する久常(左)。

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