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「全英オープン」出場権を獲得し、
今季の欧州ツアーのシードを決めた星野陸也

Text & Photo/Eiko Oizumi

「ISPS HANDAオーストラリアンオープン」の有資格者を除く上位3名に与えられる2024年の「全英オープン」出場権を獲得したホアキン・ニーマン(左)と星野陸也。もう1名は、アダム・スコット。

 前週のDPワールドツアー開幕戦「フォーティネット・オーストラリアPGA選手権」に続き、2週連続で優勝争いを演じた星野陸也。シドニー郊外で行なわれた「ISPS HANDAオーストラリアンオープン」3日目を終えて、ミンウー・リーと首位タイで迎えた最終日、3バーディ、2ボギーの70をマークし、通算14アンダーでホールアウト。LIVゴルフのホアキン・ニーマンと並び、2ホールにわたるプレーオフを行ない、2ホール目で星野がバーディに対し、ニーマンがイーグルを奪取。星野は2週連続2位で終えた。

ホアキン・ニーマン(左)はイーグル、星野はバーディで、2ホールにわたるプレーオフも決着が着き、ニーマンの優勝が決まった。

「悔しいですね。プレーオフは行くしかないと、ドライバーで攻めたんですけど、ホアキンのティショットの精度と安定した飛距離で、さすがPGAツアーで優勝している選手だけあるな、と思いました。プレーオフに入ってからのティショットは左のバンカーに2回とも入りましたが、力が入ってしまったかな。今日はドライバーを抑えめに振っていたのもあって、うまくいってない部分が出てしまいましたね」

 プレーオフに入る前の18ホールでは、アダム・スコットの猛烈な追い上げもあり、一時、星野、ミンウー・リー、アダム・スコット、ルーカス・ハーバートの4人が首位タイに並ぶ大混戦。終盤、スコットがトリプルボギーを叩き、優勝争いからは脱落。リーもスコアを伸ばせず、星野が単独首位に立つこともあった。だが、最終組の3組前でスタートしたホアキン・ニーマンが6バーディ、1ボギーの66で回り、通算14アンダーの単独首位に躍り出た。星野は16番終了まで13アンダーの2位だったが、17番でこの日3つ目のバーディを獲り、ニーマンと並ぶ14アンダーで最終ホールへ。パー5でイーグルチャンスもある最終ホールで、星野は2日間、バーディを奪取してきたが、2打目を左バンカーに入れ、そこから脱出し、2パットのパー。バーディ締めで優勝とはならなかった。

プレーオフに入り、ティショットが2回とも左のバンカーにつかまった星野。そして、この2打目も2回ともガードバンカーにつかまった。

「アダム・スコットがきているのもわかっていて、この爆風の中ですごいなと思ってました。でも自分も15アンダーにしないといけない感覚があったんですけど、風でなんとか耐えるゴルフしかできなくて……」

 2週連続で優勝を逃し、悔しさが募るが、一方、2週連続で強豪を相手に優勝争いできたことは大きな自信になった。

「PGAツアーの選手も出てましたし、この中で優勝争いでき、優勝まであと一歩だったので、自信にもなりました。来年(1月)のドバイの試合に向けて、ワクワクしますね。そして目指すのはPGAツアーなので、この負けた経験を活かし、バネにして頑張っていきたいです」

 今大会では上位3名(有資格者は除く)に2024年の「全英オープン」出場権が与えられることになっていたが、ホアキン・ニーマン、星野陸也、アダム・スコットの3名が獲得。来年のメジャー出場の見込みが立っていなかった星野にとっては、大きな収穫だ。また、DPワールドツアー2試合を終えた時点で、レース・トゥ・ドバイランキングにおいて、ミンウー・リーに20ポイント差の2位に。既に668ポイントを獲得しているが、これは2023年シーズン終了時の80位相当。今シーズン(2024年)もほぼ同じようなランキングとポイントの状況になるとすれば、既に2026年シーズンのシード権を確保できたことになる(110位以内がシード選手)。そして、自身の昨シーズンの654.6ポイント(81位)をたった2試合で上回ったことになる。

さらに世界ランキングは112位から92位に浮上。来年はメジャーだけでなく、「パリ・オリンピック」もあり、これらのビッグイベントに出場するためには世界ランキングを上げることが特に重要になってくる。現在、松山英樹42位、久常涼79位、星野陸也92位、中島啓太94位となっているが、久常は来シーズンからPGAツアーに戦いの舞台を移すため、そこで上位に食い込めれば世界ランクポイントも獲得しやすくなる。星野の次の出場予定は、1月に行なわれるDPワールドツアーのUAEでの3連戦(「ドバイインビテーショナル」「ヒーロー・ドバイデザートクラシック」「ラス・アルカイマ選手権」の予定だが、ここでも上位に食い込めば、「全英オープン」以外のメジャーやオリンピックの出場の可能性も見えてくるだろう。

ホールアウト後、プレーオフの時の2打目のショットについて、ニーマンに質問する星野。

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