Text & Photo/Eiko Oizumi
前回の2022年は米国のクエイルホロークラブで開催され、米国選抜17.5ポイント、世界選抜12.5と5ポイント差で12勝目を挙げた米国選抜。今年は、世界選抜にとってホームのカナダ開催とあり、「26年ぶりの2勝目を!」と選手も地元のゴルフファンも大いに期待していたが、今年はさらにポイント差を広げ、7ポイント差で米国選抜が優勝。通算13勝目(10大会連続優勝)を飾った。
1日目に行なわれたフォーボールでは、米国選抜が5戦全勝を挙げ、「今年もまた米国が優勝なのか」というムードが初日から漂ったが、2日目の「フォーサム」では、なんと世界選抜が5戦全勝。過去、2人で1つのボールを使って戦う「フォーサム」が苦手だった世界選抜にとっては快挙であり、5ポイントを獲得して米国選抜との戦いは振り出しに戻った。だが、3日目、4日目を米国選抜は優位に運び、3日目を終えた時点では、米国選抜11ポイント、世界選抜7ポイントと、4ポイント差に。今大会は15.5ポイントを獲得すれば優勝するが、最終日のシングルス戦(全12ポイント)を前に、米国はあと4.5ポイント獲得すれば優勝、という状況まで持ち込んだ。
シングルス戦のトップバッターはザンダー・シャウフェレ(米国)とジェイソン・デイ(世界)の2人が務めたが、最終ホールまでもつれ込む熱戦で、シャウフェレが1 UP で勝利。優勝に向けて、あと3.5ポイントとした。3組目でスタートした、米国選抜NO.1のスコッティ・シェフラー、世界選抜NO.1の松山英樹との注目の一戦は、最終ホールまでもつれ、松山が「死ぬほど手が震えた」という1メートルのパーパットを沈めて1UPで勝利。ポイント獲得に貢献したものの、6組目のキーガン・ブラッドリー(米国)VSキム・シウー(世界)の組で、米国が1UPで勝利し、米国選抜の優勝が決まった。10年ぶりの出場で、米国選抜の勝利を決めたブラッドリーは、「本当に信じられない。もう2度と出ることがないと思っていたこの大会に出場して、さらにポイントを勝ち取ることができたなんて、なんてことだ!まだ自分には、できることがあるとわかったよ。本当におとぎ話のようで、映画みたいだ。今朝、ロッカールームを歩いている時、吐きそうになるほど緊張していた。でも今日の自分のプレーには誇りを持っている。今回のチームルームは本当に最高だった」と語った。
次回の「プレジデンツカップ」は、ニューヨークのベスページ・ブラックで2026年に開催される。ニューヨークは特に、米国びいきの応援が激しい場所であり、ホームでの戦いとなる米国選抜にとっては非常に有利となるだろう。一方、世界選抜にとってはナイスショットをしても、ホールマッチで勝利しても、ブーイングの嵐となり、失敗すると拍手が起きる過酷な1週間となる。技術面というよりも、メンタル面でのコントロールが大事な1週間となるだろう。
PGAツアーとLIVゴルフが統合するという発表が昨年の6月にあったにもかかわらず、こうしたPGAツアー主催の大会ではなんの変化も起こらず、今回の「プレジデンツカップ」でもLIVゴルファーたちは参加できずに終わった。次回の「プレジデンツカップ」までに具体的な統合策がまとまり、彼らの出場は可能になるだろうか? 今のところ予測もできない状況だが、もし可能になった時に、世界選抜にはキャメロン・スミス(豪州)やホアキン・ニーマン(チリ)、エイブラハム・アンサー(メキシコ)など、かつて世界選抜メンバーだった選手達が戻ってくる可能性もあり、米国にもブルックス・ケプカ、ブライソン・デシャンボー、パトリック・リード、ダスティン・ジョンソンらが出場する可能性もある。
2年後の今大会が、どのように変化を遂げているか、世界選抜が今回の結果をもとにどのような戦略で次回に臨み、連敗の記録を止めるのかにも注目が集まる。