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荒天の最終日、奮闘及ばず
優勝争いから脱落したアダム・スコット

Text & Photo/Eiko Oizumi

バック9でノーバーディの41を叩き、優勝争いから脱落。12位タイで終えたアダム・スコット。

  2013年に「マスターズ」でメジャー初優勝を遂げたアダム・スコットが、メジャー2勝目をかけて「全米オープン」の最終日、最終組で戦った。会場はメジャー開催コースの中でも最難関の一つ、オークモントCC 。ただでさえコースセッティングが難しい上に、スコットによれば「今週で一番の強風」と、中断を余儀なくされるほどの豪雨という悪条件が重なり、さらに過酷なコンディションに。フェアウェイに打ってもブレーキがかかり、ランは出ず、フェアウェイから打っても水飛沫が上がる始末。深くて絡みつくような粘りの強いラフからは、より一層難易度が増し、ショットメーカーのスコットをしても、1バーディ、8ボギー、1ダブルボギーの79(パー70)と苦戦を強いられた。

「今週はずっとフェアウェイキープできていたのに、今日は外してしまい、その度に大きな痛手を被った。リカバリーもできなかったよ。とにかく厳しいコンディションだったね。最初から風が強くて、今週で1番の強風だった。フロント9はかなり難しかった」

 ちょうど「全米オープン」史上最長のパー3の8番ホール(301ヤード)のティーグラウンドに立った時だった。豪雨のため、96分の中断を挟み、選手たちはいったんクラブハウスに戻って再開を待ったが、この中断がスコットに悪影響を及ぼしたようだ。

「雨の中断前の方が、いい感触だった。再開後もそれなりにはよかったけど、ティーショットが全て右に出てしまって、それはほとんどリカバリー不能だった」

「序盤はコンディションが厳しかったけど、自分としてはいい感触だったし、コントロールできている感じがあった。ただ6番ですごく弱いパットを打ってしまい、“ああ、これは1つ逃したな。もっと気持ちを引き締めないと、と思ったんだ。でもそのあとは、とにかくプレーが雑になってしまった。サム(バーンズ)と2人、かなりひどいプレーに見えたと思うけど、こういう試合では少しでも調子を崩すと、大きな代償を払わされるものなんだ」

 再開直後の8番ホールではボギーを叩き、バック9に入ってもスコアを落とす一方だった。14〜16番では2ボギー、1ダブルボギーと3ホール連続でスコアを落とし、最終ホールでもボギー。スタート時点は3アンダーだったスコアが、終わってみれば6オーバーの12位タイと大幅にスコアと順位を下げたのだった。

 現在、44歳のスコットがもし優勝していれば、1990年にヘイル・アーウィンが45歳0ヶ月15日で達成した最年長優勝記録に次ぐ記録を、達成していたはずだった。そして、豪州勢ではデビッド・グラハム(1981年)、ジェフ・オギルビー(2006年)に次いで3人目のチャンピオンになっていた。

「こういうポジションで戦えているのは、5〜6年ぶり。今は調子がいいから、前向きでいられる。無理せずに堅実なプレーができているよ」

 3日目を終えてそう語っていたスコットだが、メジャーの優勝争いの重圧や、過酷な条件下でのプレーで、昨日までのようなプレーができなかったようだ。メジャー通算96試合連続出場という、ジャック・ニクラスの記録(146試合連続出場)に続く、歴代2位の記録を持っているが、メジャー優勝回数はニクラスの記録(18勝)には遠く及ばない。44歳の彼にとって、このようなメジャーでの優勝争いのチャンスが今後どのくらい訪れるかは不明だが、いまだに健在の長打力とショット力を武器に、メジャー2勝目に挑み続けてほしい。

思い通りのショットが出ず、思わず顔を覆う。
ティーショットを打っても、この通り。15番ホールのティーグラウンドにて。

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