Text/Eiko Oizumi
Photo/Getty Images/DP World Tour

ドイツ・ミュンヘン郊外のミュンヘン・アイヒェンリートで行なわれた「BMWインターナショナルオープン」は、イングランドのダニエル・ブラウンが最終日、6バーディ、ノーボギーの66で回り、2位のジョーダン・スミスに2打差で優勝。2023年「ISPSハンダ・ワールド招待」に続き、DPワールドツアー2勝目を飾った。
「1勝目はあまり実感がわかなかったけど、今回はすぐに心に響いた。今日は1日中、何が起きていたのか自分でもよくわからない。まるで自分の体じゃないうような感覚で……。緊張していたし、トーナメントで勝つことの重みを考えていたんだ」
今大会でわずか3つしかボギーを叩かなかったブラウンは、最終日も序盤から連続バーディを奪い、勢いに乗った。さらに5〜6番でも連続バーディを奪い、ジョーダン・スミスがフロント9を5アンダーで猛追する中でも、首位を明け渡すことはなかった。
パー5の最終ホールでティーグラウンドに立った時点で、スミスに2打差のリードをつけていたが、2打目をレイアップすることはなく、3Wで2オンを狙った。そのショットは、ピンから約6メートルのところにナイスオン。2パットで沈め、バーディフィニッシュ。勝利が決まった瞬間、ブラウンは涙を流した。
試合後、彼は、先週末に親しい友人を亡くした話を明かし、その友人のためにプレーしていたと語った。
「先週末、地元の友達を亡くしたんだ。本当になんと言えばいいかわからないけど、これは彼のための勝利です。ここ2日間、ずっと彼のことを考えていた。気を紛らわせようとしていた部分もあるし、あまり感情的にならないようにしていた。彼のことを思うと、勝つことの意味も少し和らいだように感じたんだ。彼がそばにいてくれた気がして、それが大きな支えになったと思う」
ブラウンはここ数ヶ月、ヒザの怪我により4月には戦線離脱を経験していた。今大会の前に出場したのは、1ヵ月前の「KLMオープン」。そんな状況下で飛び込んできた友人の訃報は、彼に取って大きな痛手だった。
「月曜日が一番つらかった。空港まで2時間、一人で運転し、一人で飛行機に乗ってドイツへ入った。彼はいつもラウンド後に1番に連絡をくれる存在で、いい日も悪い日も励ましてくれた。今はただ、彼がどれだけ大切な存在だったかを痛感している」
それでも彼は前を向き、今大会に臨んだ。そして、非常に安定したゴルフを展開し、優勝を亡き友人に捧げることができたのだった。
なお、今大会の優勝により、レース・トゥ・ドバイランキングで15位に浮上し、「全英オープン」の出場権も獲得。世界ランキングも104位に浮上した。この好調を維持できれば、「全英オープン」でも活躍が期待できる。
「リンクスコースには自信がある。全英オープンも楽しみにしている。まずはこの勝利をしっかり受け止めて、また前に進んでいきたい」と語った。
また、今大会の成績を通じて、前述のダニエル・ブラウン、クリストファー・レイタン、ジョン・パリー、ハオトン・リー、ダニエル・ヒリアー、ショーン・ノリスの6人が「全英オープン」出場権を獲得した。



