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【PGAツアーレポート】ケビン・ナがPGAツアー2戦目のソニーオープン逆転優勝でツアー5勝目!

PGAツアー2戦目ソニーオープンはケビン・ナが逆転優勝!

ソニーオープン・イン・ハワイ
2021年1月14日~17日
米・ハワイ州オアフ島ワイアラエCC

 

©︎PGA TOUR

優勝
Kevin Na
ケビン・ナ(米国)

ジュリアンヌ夫人とソフィアちゃんとともに記念撮影をするケビン・ナ(左)。

 

あわや欠場の危機から一転
ツアー5勝目を挙げたケビン・ナ

今年のPGAツアー第2戦目「ソニーオープン」は、ケビン・ナが逆転優勝を果たし、ツアー5勝目を達成。37歳の中堅は早くも来年の「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」への出場権を確保した。

「ワイアラエCCは僕にとって優勝のチャンスのあるコース。
こういうコースはツアーでもそんなに多くはないが、優勝できると思えるコースでこうして優勝できて最高の気分だ。
(来年)マウイでスタートを切れるのは最高。早くも来年が待ち遠しいよ」

最終組のナが最終18番ホールのティーに立った時、クリス・カークとは20アンダーで首位タイ。
バーディを取らないとプレーオフにもつれ込むという状況にあったが、セカンドショットを5番ウッドでピンを目掛けて真っすぐ攻めると、グリーン奥にオーバー。だが、3打目を約30センチにつけ、優勝を確信。ガッツポーズを繰り出した。

ナは本大会を過去2回、首や指のケガのため欠場しているが、実は今年もあわや欠場という事態に。
大会前の水曜日に肋骨に痛みを感じたのだ。だが、最近ナのチーム入りをしたトレーナーのコーネル・ドリッセン氏の施術によりことなきを得た。

「水曜日の朝、プロアマ前にウォーミングアップしていた時に1度思い切り打ったら、肋骨に違和感を感じたんだ。
何が起きたかわからなかったよ。また欠場しなきゃいけないかな、と思った。
でもトレーナーのおかげで、翌日起きても何も痛みを感じなかった。彼がいなかったら、状況は全然違っていたよ」

彼は2018年の「ミリタリー・トリビュート・アット・ザ・グリーンブライヤー」で優勝して以来、これで4シーズン連続優勝を果たしている。
若手からベテランまで強豪揃いのPGAツアーで毎年優勝するのは至難の技だが、ナが毎年優勝できているのは、「優勝」にこだわるプレースタイルと集中力によるものかもしれない。

「僕はもともと安定感のあるプレーヤーだった。
トップ10入りも予選通過も何度も果たしてきたけど、優勝できなかった頃は、その感覚も忘れてしまった。
でも(2勝目の)グリーンブライヤーでの優勝以来、プレースタイルももっと積極的になった。
2位でも3位でも構わない。ただもっと優勝することに集中するようになったんだ。毎年優勝できればいいね」

今年の目標のうち、「優勝」はすでに達成できた。
その他、世界ランク20位以内に入ること、メジャーで優勝争いをすること、フェデックスカップ最終戦で、トップ30しか出られない「ツアー選手権」に出場すること、そして「ライダーカップ」に出場することなど、やるべきことはたくさんある。
韓国生まれのアメリカ人として今年の「ライダーカップ」に出場することが最大の目標だと語った。

最終成績

優勝 −21 ケビン・ナ
2位 −20
クリス・カーク
ホアキン・ニーマン
4位 −19
ウェブ・シンプソン
マーク・リーシュマン
ブレンダン・スティール
7位 −18
パットン・キザイヤ
コリン・モリカワ
ビリー・ホーシェル
ダニエル・バーガー
19位 −15 松山英樹
−11
アダム・スコット
−10
セルヒオ・ガルシア
−9 小平 智
−6 木下稜介

 

6人の日本人プロが出場
松山英樹19位タイが最高位

今年は主催者のソニー株式会社からJGTOにスポンサー推薦3枠が提供され、合計6名の日本人選手が正月明けのハワイで戦った。

米ツアーメンバーの2人は予選通過
プロ入り後ソニーオープン初参戦の金谷は涙の予選落ち

今年の「ソニーオープン」は、主催者のソニー株式会社からJGTOにスポンサー招待選手3枠が提供され、松山英樹、小平智の米ツアーメンバー以外に、石川遼、金谷拓実、木下稜介、香妻陣一朗の4人が出場。合計6名の日本人選手が、ワイアラエCCで戦った。

 

松山英樹(15アンダー・19位タイ)

©Eiko Oizumi

このショットがあって、パターが普通に入るようになれば、優勝は見えてくるんじゃないかと思える。
ショットは良くなってきているけど、パッティングが入らないと優勝争いには絡めない。
あまり得意じゃないコースでもティーショットでフェアウェイキープが今までで一番出来たと思うし、グリーンヒットも一番出来たと思う。ショットがここまで安定してくれたのは嬉しかった。

 

小平 智(9アンダー・56位タイ)

©Eiko Oizumi

このコースでパターが入ったことがなかったが、その中でもこのスコアで回れて成長したかなと思う。
コースに対する苦手意識がなくなってきたかな、と感じる。パターでスコアメイクするのが大事。
自分の調子自体も上がっているし、そんなに大きく崩れることもなくなってきた。まずはトップ10を目指し、優勝争いができたらいい。

 

木下稜介(6アンダー・67位タイ)

©Eiko Oizumi

PGAツアーのレベルの高さはすごい。
足りない部分もいろいろ見えたが、アイアンショットはこっちでもやれると手応えもあった。
壁は非常に高いが、越えられないことはないと思う。課題はアプローチとパター。芝も違うので、その辺の対応力もまだまだ。
打ち方のバリエーションも必要だし、今年は「全英オープン」に向けてやっていきたいので、主にウェッジの調整をしないといけないと思う。
ワイアラエは想像以上に地面が硬かったが、「全英オープン」はさらに硬いと思うので、たくさんウェッジを持って行って、対応しないと通用しないと思う。
まずは「全英オープン」までに国内で優勝して、アメリカに来れるチャンスをつかみたい。

 

「結果だけを見ると 皆さん、心配だと思いますが、僕は元気です!(笑)」石川 遼

石川 遼(予選落ち)

©Eiko Oizumi

ソニーオープンから使い始めたEPICの「MAX LS」はすごくいいですよ!

予選落ちしたのは残念だが、やらなきゃいけないことがはっきりした。
今後はドローボールの精度を上げていければいい。10か月取り組んでいる中で、今までの9か月では打てなかったところにドローが打てるようになってきたので、今週1球だけでもそういう球が打てるようになったのは収穫。
また、今まで一番練習してきたショートパットを外す確率も、下がってきている感じがする。
いよいよ今年で30歳。
30~40歳が男子ゴルファーにとって一番大事な10年だと思うが、ケガしない体と情熱があれば、40代になっても大丈夫。
35歳とか38歳で行ったことのない境地に行きたい。

 

金谷拓実(予選落ち)

©Eiko Oizumi

「ソニーオープン」も2回目だったが、こうやってまたミスして予選落ちしてしまったのは残念。
自分では精一杯やっているつもりでも出遅れたし、いいプレーしているつもりでもそんなに上位に上がらない。
レベルの差と言われればそれまでだけど、悔しい。ゲームなどと一緒でずっと最初のステージでやってても仕方がない。
メジャーもPGAツアーも経験ばかりしてるんで、次はちゃんと結果を出せるように頑張りたい。

香妻陣一朗(予選落ち)

トップの選手はすごく大差があると思うが、そうでない選手たちとはそんなに大差がないのかなという感じがした。
ショットの精度を上げないといけない。
日本ツアーに最初出ていた時の気持ちと一緒で、スポット参戦してダメだった、また次はいつ出られるかわからない、というのと似ている。
スポット参戦ではなく、連戦で出たいと思った。メジャーも行きたい。

 

アダム・スコット20年ぶりの変化

©Eiko Oizumi

今年からユニクロのキャップをかぶっているアダム・スコット。

2000年にプロ転向して以来、ずっと「タイトリスト」のキャップをかぶり続けてきた代表的なタイトリスト契約プレーヤーのアダム・スコット。
年始の「セントリー・トーナメント」からユニクロのロゴ入り帽子をかぶり始めた。

スコットは「そのうちロジャー・フェデラー(同じくユニクロ契約のテニスプレーヤー)の帽子でもかぶって、彼から契約金をもらおうかな?」などと冗談を飛ばしていたが、一方でタイトリストとの契約が今年いっぱいで切れるのではないか、という憶測も飛んでいる。

40代になり白髪も目立ち始めたアダム。最近3人目の子供も生まれ、家庭にゴルフに忙しいが、若手に負けずに頑張って欲しいところだ。

 

約2億円の特効薬購入資金を3ヶ月ほどで集めることに成功したホアキン・ニーマン

©Stan Badz

小さな従兄弟の命を救うため、自ら試合で稼いだ賞金を寄付した。

昨年の10月下旬、従兄弟のラフィタ・カルデロンちゃんが誕生したが、生後まもなく脊髄性筋萎縮症と診断された。
この病気は10万人に8.5~10.3人が発症し、自力では栄養摂取や呼吸が困難な難病である。この病気の唯一の治療法は「投薬」なのだが、1回の接種になんと約2億円以上かかるものだった。

そこでニーマンはクラウドファンディングを立ち上げ寄付を募集。自分自身も、試合で稼いだ賞金や1イーグルにつき105万円、1バーディにつき53万円を寄付し、ツアーの仲間たちやスポンサーにも協力を仰いだ。
その結果、たった3ヶ月ほどで2億円超を集めることに成功。現在ラフィタちゃんは回復中だ。

 

口は災いの元
ジャスティン・トーマス

©Stan Badz

ラルフローレンと契約解除となったジャスティン・トーマス。

「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」最終日、ジャスティン・トーマスは不適切な言葉を口にしたかどで、デビュー以来長年着用してきたラルフローレンとの契約が解除となった。

「僕は大人なのに、あのような言葉を口にしてしまい、本当にひどい。当惑している。僕は普段はそんな人間じゃないのに。本当に申し訳ない」

トーマスは翌週、「HSBCアブダビ選手権」に出場したが、それ以来ノーブランドのポロシャツを着用して試合に臨んでいる。
「口は禍の元」というが、普段は優等生的な彼もつい魔が差してしまったようだ。

 

無観客ならではの攻め方にNG出し!

©Eiko Oizumi

急遽設置されたOB杭。

「ソニーオープン」は無観客で行なわれたが、観客がいないぶん、選手にとってはコースを広々と使えるというメリットも発生していた。

10番ホールと18番ホールは隣り合わせにあり、カート道でセパレートされているが、観客不在であることを利用し、10番と18番の間のスペース、あるいは大胆にも10番ホールのフェアウェイに運んで18番グリーンを狙う選手も出始めたのだ。
それに対してツアー側は10番ホールに急遽OB杭を立て、18番から10番を狙わせないように警戒。
300ヤード以上飛ばす世界の強豪ならではの攻め方だが、10番ホールをプレー中の選手にとっては危険極まりない話だ。

 

Text & Photo/Eiko Oizumi
Photo/PGA TOUR、Stan Badz

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