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2020年全米女子オープンでキム・アリムがいきなりメジャー初優勝!

メジャー初出場のキム・アリム
いきなりメジャー初優勝

例年は6月に開催される「全米女子オープン」。
プロ・アマがともに最強女子ゴルファーの称号をかけて戦う世界最高峰のメジャーの一つであるが、コロナウイルスの影響で6ヶ月遅れの12月に開催された。
日本からは史上最多の19人が出場したが、メジャーチャンピオンの渋野の健闘が光り韓国の新たなスターが誕生した。

 

2020年全米女子オープン優勝
キム・アリム

©USGA

A Lim Kim
1995年10月4日生まれ。
2013年にKLPGAに入会。韓国女子2部ツアーに2年間参戦したのち、2016年にKLPGAツアーの資格を取得。2018年「パク・セリ・インビテーショナル」、2019年「MYムンヨン・クイーンズパーク選手権」で2勝。

 

©USGA

画面越しに友人と優勝を喜ぶキム。プレー中も、ウイルスを他人に感染させないように気遣い、マスクを着用してプレーしていた。

 

渋野日向子、惜敗!
ショートゲームに自信が持てた渋野日向子

©USGA

2020年の「全米女子オープン」は、例年行なわれている各地の予選会も新型コロナウイルスの影響で中止。
そのため有資格者のみの出場が可能となったが、出場カテゴリーが拡充され、前年のCMEグローブポイントランキングの75位までの選手が出場できるようになった。
そのおかげで日本からは史上最多の19選手が出場。畑岡奈紗、渋野日向子、古江彩佳、原英莉花、柏原明日架、小祝さくら、上田桃子らがテキサスのチャンピオンズGCを舞台に戦った。

中でも「全英女子オープン」チャンピオンの渋野日向子は、3日目を終えて単独首位に。
優勝争いを演じたが、最終日にスコアを3つ落とし、韓国の新星キム・アリムと2打差の4位に終わり、メジャー2勝目はお預けとなった。

「めっちゃ悔しいけど、これが今の実力。でもアプローチに対しては自信が持てた。アプローチ、パーパットを打つ心境がすごく変わってきている。4日間でダボを打たないゴルフができたのは、成長したのかな」と語った。

出場選手中、アンダーパーはたった4人。
その一人に入ることができた渋野は、今回の惜敗をバネにますます米ツアー本格参戦への想いを強くしたようだ。

 

©USGA

場内にはソーシャルディスタンスを促すコロナ対策の看板が立てられていた。

 

©USGA

芝は枯れ、ところどころ紅葉も見られる12月のテキサスのゴルフ場風景。夏場に行なわれるラフの長い「全米女子オープン」とは様相が異なる。

 

©USGA

冬のメジャー開催に向けて、早朝からメンテナンスを行なうグリーンキーパー。

 

「作り始めた新しいゴルフを完成に近づけるよう頑張る」渋野日向子

©USGA
©USGA

国内外の試合で予選落ちが続いた渋野だが、今大会直前の国内ツアー「大王製紙エリエールレディス」5位、「ツアー選手権リコーカップ」3位タイに入賞。上り調子で今大会に臨んだ。

 

韓国にはない芝を攻略し、メジャー初優勝

優勝したキム・アリムはどんな選手なのか? 彼女は今大会でメジャーデビューを果たし、初出場・初優勝を遂げたシンデレラガールである。
大会直前は世界ランク94位だったが、大会史上最も低いランクでの優勝者となった。

世界ランク1位のコ・ジンヨンと同い年の彼女は2013年に韓国女子プロゴルフ協会に入会してプロデビューを飾っているが、優勝は過去2回のみで目立った戦歴は残していない。
今回、コロナウイルスの影響でカテゴリーが拡充した恩恵を受け、米メジャーに初出場を遂げたが、今大会の優勝により、約1億円の賞金を獲得。
向こう10年間の「全米女子オープン」出場権とLPGAツアーのシード権も手にし、夢のような人生が始まった。

「コロナウイルス感染で厳しい状況に直面しているが、こうしてヒューストンで全米女子オープンを開催してくれ、優勝できて嬉しい。まだ勝ったという実感はないけど、家族と韓国料理を食べながらお祝いするわ」

3日目を終えて首位の渋野とは5打差が付いていたが、5打差をひっくり返した逆転優勝は、彼女が敬愛するアニカ・ソレンスタムの1995年「全米女子オープン」以来の記録。

「私はアニカ・ソレンスタムのプレーに感化されて育った。朴セリも憧れの選手の一人」とキムは語る。

韓国にはバミューダグラスがないというが、今大会の開催コースは同芝が使われており、慣れるまでに多少時間がかかったらしい。
しかし、早めにアメリカに到着し、用意周到に準備できたことが大きかったようだ。

今回の「全米女子オープン」は、韓国女子ゴルファーの層の厚さが、改めて証明された大会でもあった。

史上最多の日本人選手出場

ベテランから黄金世代、プラチナ世代と幅広い層の選手が出場した今大会。
国内3勝の古江彩佳やメジャー2勝の原英莉花にも注目が集まったが、残念ながら予選落ちを喫した。
現在フィリピン国籍だが、オリンピック後に日本国籍を取得する予定の笹生優花も出場し、4日間平均飛距離で15位(249.8ヤード)。
世界で戦えるパワーを披露した。

 

©USGA

コロナ禍の限られた試合数の中、国内3勝を挙げた古江だが、海外メジャー初挑戦は予選落ちに終わった。

 

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ベテラン上田桃子は、辻村明志コーチをキャディに従え出場した。

最終成績

1 キム・アリム −3
2 コ・ジンヨン
エイミー・オルソン
−2
4 渋野日向子 −1
5 メーガン・カン +1
6 朴仁妃
イ・ジョンウン6
モリヤ・ジュタヌガン
+2
9 アリヤ・ジュタヌガン +3
11 高橋彩華 +4
13 岡山絵里
笹生優花
+5
23 畑岡奈紗 +7
54 稲見萌寧 +13
60 河本結 +15
61 比嘉真美子 +16
65 三ヶ島かな +19

予選落ち:上田桃子、勝みなみ、西村優菜、渡邉彩香、浅井咲希、古江彩佳、穴井詩、小祝さくら、柏原明日架、原英莉花

 

初冬の寒~い「全米女子オープン」

最終日の気温は5度とも言われていた今大会。
まるでスキー場のような出で立ちの選手もいたが、ここでは彼女たちのファッションチェック!
まだまだ寒い冬ゴルフの参考になるかも……。

 

©USGA

パーカーのフードを頭からかぶるだけでも防寒になる。
写真はリディア・コー。

 

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白い耳あてがふわふわであったかそうなイ・ジョンウン6。

 

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モリヤ・ジュタヌガンも防寒グローブを着用。

 

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モコモコのフード付き「カッター&バック」ジャケットを着用。

 

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笹生優花は首回りを温めながらプレー。

 

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大会スタッフもニット帽&マフラーで完全防備。全米女子オープンの
ロゴ入りマスクがかっこいい!

 

©USGA

スキーウェアのように寒さから身を守るエイミー・オルソン。

 

©USGA

大ベテランのクリスティ・カーは黒のウエアに合わせて黒の耳あてを着用。

 

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現場の様子を写真でチラ見せ!

©USGA

タイのモリヤ・ジュタヌガン(左・姉)&アリヤ・ジュタヌガン(右・妹)姉妹が同組でラウンド。二人ともトップ10入り。

 

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全米ゴルフ協会CEOのマイク・デービス氏。「全米女子オープン」も今回で75回目を数えた。今大会は12月に開催のため、短い日照時間を考慮し、予選ラウンドは2コースを使って行なわれた。

 

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もう1組の長身姉妹コンビである、ジェシカ・コルダ(左・姉)とネリー・コルダ(右・妹)。父はテニスの全豪オープンチャンピオン。

 

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「WITHコロナ」の時代に生まれたゴルフファンとのバーチャルサイン会。毎日、エントリーしたゴルフファンたちとモニターを通して会話したり、サインプレゼントなどが行なわれた。

 

Text/ Eiko Oizumi
Photo/USGA

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