S・ガルシア、L・ウエストウッド、P・ケーシー、L・ドナルド、H・ステンソンなど、自分とほぼ同じ世代で、取材に協力的なO嬢ファミリーの選手が多いこともあり、どちらかというと欧州びいきな私。米国にもお友達の選手はいるし、ミケルソンのエイミー夫人やシャウフェレ夫人のマヤちゃんなど、顔なじみのセレブ妻もいるのだが、普段「プレジデンツカップ」で世界選抜がやられっぱなしなのを見ているからか、こうした対抗戦で米国が負けるのを見ると、正直、胸がスカッとすることも確かだ。
欧州押しのO嬢としては複雑な心境……
だが、今年の「ライダーカップ」はちょっと複雑な心境だった。昨今のツアーと同様、米国の若手選手たちが強すぎて、昔なじみの欧州のベテラン勢がまるで引導を渡されているかのようだった。ガルちゃんは「自分はベテランではない」と言い張っていたが、欧米24名の中では41歳といえば長老の部類に入る。欧州キャプテンのP・ハリントンは彼らの経験値に期待し、今回も気持ちで乗り切ろうとチームの士気を高めたかったのだろうが、彼らももはや以前のような勢いはないし、スタミナにも配慮しながら出し方を考えなければならなかった。
一方の米国の最強若手軍団は、スタミナを気にする必要もないし、経験不足を案ずることもない。彼らはジュニア時代からこの手のマッチプレー形式の団体戦に慣れている。
だから、ケーシーの全敗やポールター、ウエストウッドの意地の1勝(2人とも1勝2敗)を見ていて、もう彼らをキャプテン推薦で出場させることはないんだろうなぁ、と思った。ガルちゃんも3勝しているとはいえ、J・ラームの勢いに乗っかっているところが大きいから、他の選手と組んでいたらどうなっていたことか……。欧州の「ライダーカップ・ミラクル黄金時代」は、前回のフランス大会までだった、ということが今回の結果ではっきりしたと思う。
さらに今年は、アウェーの欧州は本当に気の毒だった。通常は、米国開催でも欧州から駆けつける熱狂的なゴルフファンも多いのだが、今年はコロナ禍で、海外から健康のリスクを冒し、大枚をはたいてわざわざ駆けつけた人はあまりいなかった。米国内に住む欧州系の人たちも何人かいたが、常にUSAコールが場内にこだまし、欧州勢の応援はあっという間にかき消されてしまう状態だった。そしてどこを見渡しても星条旗をあしらったコスチュームを身に纏う人ばかり。おそらく9割以上は米国の応援だったと思う。これは欧米どっちにも属していない私のような中立な立場から見ても、かなり欧州がかわいそうだった。
次回はイタリア開催。もともと欧州は、世界ランクで米国を下回っていたものの、家族のようなチームワークの良さと根性で勝利を手にしてきた過去がある。今回はフランチェスコ・モリナリが無資格で、フランスで負けなしの「モリウッドコンビ(モリナリ&フリートウッド)」結成とはならなかったが、次回のイタリアでは再びタッグを組んで戦って欲しい。そして、ビクトル・ホブランやロバート・マッキンタイヤなど、欧州の新星たちの台頭と活躍を期待するばかりである。
Text/Eiko Oizumi