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松山英樹、凱旋Vで
アジア人最多優勝までM1
PGA TOUR Report

©渡辺義孝

「マスターズが10なら、調子は2か3。
観客の応援を力に変えることができたのが勝因」

約5000人の観客の前で、勝利のガッツポーズをする松山。©渡辺義孝

2021年、PGAツアー唯一のアジア開催大会となった「ZOZOチャンピオンシップ」。観客の後押しのお陰で優勝できた

「マスターズ」チャンピオンの松山英樹が、約5000人の観客を前に2位のキャメロン・トリンガーリ、ブレンダン・スティールに5打差をつけ優勝。米ツアー7勝目(アジアではWGC・HSBCチャンピオンズに次ぎ2勝目)を挙げ、KJチョイの持つアジア人最多記録の8勝まであと1勝と迫った。日本国内での優勝は2016年「三井住友VISA太平洋マスターズ」以来、5年ぶりとなる。
「ここで優勝することは一つの目標でもあった。マスターズに勝った後に、ここで優勝している2年前のタイガー(ウッズ)のようになれて嬉しい」

 2年前、日本で初開催の「ZOZOチャンピオンシップ」で初代チャンピオンに輝いたタイガー・ウッズは、春先に「マスターズ」で優勝を遂げ、同年に本大会でも優勝した。そして今、松山が、憧れのタイガーと同じ道を辿ることができて嬉しい、と開口一番に語ったのだ。また、今回の試合を迎えるにあたり、ラスベガスでの直近2週間の試合でも「安定しているとは言い難いプレー」が続いていたそうで、「マスターズが10としたら、1もない状態。苦しい戦いが強いられると思うが、日本での開催だし、少しでもいいところで回れるように頑張りたい」と大会前のインタビューで語っていた。

予選ラウンドでは、東京オリンピック金メダリストのザンダー・シャウフェレ(中央)、銅メダリストのCTパン(左)と松山英樹という豪華な組み合わせ。大勢のギャラリーを引き連れた。©渡辺義孝

 だが、試合が始まってみれば本人の不安げなコメントとは裏腹に、初日からリーダーボードの上位に、連日名を連ねた。初日は首位の岩田寛に次ぎ1打差の2位タイ、2日目以降は単独首位をキープ。最終日のプレーは「10のうち、2~3くらい。結果としては8くらいまでいきましたが……」と語っている。「状態が本当に良くない」と言いながらも、ここまでのパフォーマンスを披露できたのは、コロナ禍の無観客試合ではありえない、「観客たちの後押しがあったから」だという。

「上位にいる日本人が僕しかいなかったのでプレッシャーはあったが、それがいい方向に変わってくれた。練習場でのボールは散らかっているし、勝っている人の練習場の球ではないと思うが、コースに出たらたくさんの人が応援してくれて、いい意味でプレッシャーをギャラリーの方から受けた。ここに打っていけという雰囲気を感じる中で、いいショットが打てたり、いいパットが入ってくれたりしたのかな、と思う」

アジア人最多優勝まであと1勝!

表彰式では、JGTO会長の青木功(右)とグータッチ。©渡辺義孝

最終日のバック9は一時、C・トリンガーリに逆転されるなどハラハラする展開となった。決して自信を持ってプレーしていたわけではないが、観客の後押しがあったからこそ、スイングのことを意識せずに集中してプレーができたという。最終ホール(パー5)では大会期間中、パーオン率1位(81・9%)だった松山が果敢にピンを攻め2オンに成功。17~18番で2連続ボギーを叩いて失速したトリンガーリに対し、イーグル締めで突き放し、5打差で優勝を飾った。

チーム松山の面々と記念写真撮影。右から通訳のロバート・ターナー氏、飯田光輝トレーナー、松山英樹、キャディの早藤将太氏、目澤秀憲氏、岩井幹雄トレーナー。©渡辺義孝

 丸山茂樹に「アジア人の最多優勝がKJチョイの8勝なので、そこを抜いてくれ」という願いを託されていた松山。今大会の優勝であと1勝に迫った。「マスターズ」で初のアジア人優勝者となった彼が、2022年、アジア人ツアー最多優勝記録に並び、抜き去る日が来るのも時間の問題だろう。

Text/Eiko Oizumi

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