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【世界のゴルフ通信】From Australia ISPSがゴルフ復活の救世主!海外遠征しにくい地元プロに朗報

コロナ制限が厳しいオーストラリア
海外遠征しにくい地元プロに朗報!

昨年はコロナパンデミックのため、無開催となった「VICオープン」。男女が同じコース、同額の賞金を争う大会で、2019年まではISPSがスポンサーを務めていた。

優勝/女子の部
左: ハナ・グリーン(豪州)

優勝/男子の部
右:ディミトリオス・パパダトス(豪州)

「全米オープン」チャンピオンのジェフ・オギルビーがホストを務める「TPSビクトリア」(2022年2月3~6日・ローズバッドCC)で優勝したトッド・シノット。

豪州ゴルフの発展に大いに貢献するISPS

豪州のゴルフが、復活! 壊滅的なトーナメント中止が続いた2年間を経て、国際スポーツ振興協会(ISPS)がPGAツアー・オブ・オーストラレイジア(以下PGATA)のネーミングライツパートナーとして契約更新を発表した。

ISPSとPGATAのパートナーシップは2016年にさかのぼり、2023年まで続く予定。
試合数を増やし、賞金額を増額させるだけでなく、ゴルフの普及という、もう一つの主な目的を達成するためである。

ISPSは、身体障害、感覚障害、知的障害のあるゴルファーを支援するために追加的なトレーニングとリソースを提供する活動も行なっている。

またISPSは、女性がプロになるための門戸を拡大するため、「PGA ウィメンズ・スカラーシップファンド」を支援する予定だ。
このパートナーシップにより、女性や少女のコーチングプログラムを支援し、プレーや教育の機会を向上させることで、女性ゴルファー数が増加するものとなる。
豪州プロゴルフ協会(PGA オブ・オーストラリア)のギャビン・カークマンCEOは「半田氏は30年超にわたってオーストラリアのゴルフを支え、この国のゴルフの健全性に多大な変化をもたらしてくれた」と述べた。

これまでISPSハンダPGATAの賞金王には欧州ツアーの出場権が付与されていたが、今年からは上位3位までにDPワールドツアー(欧州ツアー)の出場権が付与されることになった。
また、「フォーティネット・全豪PGA」との2026年までの共催が決定している。
今回の提携により、1月に開催された100万豪ドルの本大会で、地元の若者ジェド・モーガンが躍進的な勝利を収めたことから、今年後半にブリスベンのロイヤルクイーンズランドGCで開催されることとなった「全豪PGA」の賞金額が2倍の200万豪ドルとなったとのことだ。
このイベントは、2021年中はパンデミックの影響で延期されたが、2022年には2回開催される予定だ。

プロ入り直後にメジャー優勝
豪州の巨星誕生!

2020年「全豪アマ」で優勝し、昨年10月にプロ転向したばかりのジェド・モーガンが、1月のメジャー「全豪PGA」で優勝。

1月に開催された「全豪WPGA選手権」で優勝したスヒョン・オー。「カリー・ウェブカップ」と呼ばれる優勝トロフィーを手にした。

モーガンはプロ入り後、わずか4試合目で11打差の優勝を果たし、これまでグレッグ・ノーマン(1984年、1985年)とヘール・アーウィン(1978年)が記録していた2位との最多スコア差(8打差)をはじめ、数々の記録を塗り替えた。
通算22アンダーというスコア(4ラウンドで262)は、大会史上最少であり、モーガンは22歳1か月18日で「全豪PGA」の史上最年少優勝者となった。

しかし、これらのすべての記録の中で最も重要な数字は、優勝賞金18万豪ドルであった。
これによって新人の彼にとって、当面の経済的プレッシャーが取り除かれただけでなく、彼は今年の賞金ランキングの上位3位に入り、2023年のDPワールドツアーへの出場権獲得をほぼ確実なものとしたことになる。

また、この大会は初めて「全豪女子PGA選手権」と併催され、ビクトリア州出身のスヒョン・オーが7年ぶりに優勝したことも注目された。
彼女は、豪州で最も成功したメジャー優勝者にちなんで名付けられた「カリー・ウェブカップ」に自分の名前が刻まれた最初のゴルファーになったことを喜んだ。

男女共催が流行の豪州ツアー

今年の豪州ツアーで唯一残念なのは、国境規制のため「ニュージーランドオープン」が中止になったことだった。
だが、R&Aが、今年の「全英オープン」への3人の出場枠獲得を「ニュージーランドオープン」ではなく、「VICオープン」の上位者としたことで「VICオープン」に参戦した男子プロには素晴らしい機会が与えられた。

2022年に向けて「プレーヤーシリーズ」が、男女平等の「ウェベックス・プレーヤーズシリーズ」として成長したことも明るいニュースだ。
異なるティーから同額賞金をかけて戦う「プレーヤーズシリーズ」の導入は、昨年のオーストラレイジア・シーズンの低迷を救うもので、1試合15万豪ドルの試合が3試合開催された。
今年は「TPSビクトリア」「TPSシドニー」「TPSマレーリバー」の3大会に、新たに「TPSハンターバレー」が加わり、賞金総額は1試合あたり20万豪ドルに。
このシリーズは、パンデミックの間、海外の試合に出場できなかった豪州の男女プロに戦う場を与えるものである。

2月に開催された「TPSビクトリア」では29歳のトッド・シノットが優勝したが、彼は背中の大ケガに加え、2020年の日本ツアー出場権を確保した矢先にこのパンデミックに見舞われるという災難続きだったのだ。

その1週間後、1年ぶりに男女共催の「VICオープン」が開催された。パンデミック前には、欧州ツアー、米LPGA、LET(欧州女子ツアー)との共催にまで発展していたが、今年は豪州の単独開催となった。再び3ツアーの共催に戻るのはそう遠いことではないだろう。

なお今年のチャンピオンは、女子はメジャーチャンピオンのハナ・グリーン。
自国で大きな勝利を収め、女子トーナメントを盛り上げた。
男子はディミトリオス・パパダトスが優勝した。
2~3位に入ったベン・キャンベルとマシュー・グリフィンも、優勝者と同様、今年の「全英オープン」への出場権を獲得している。

Text/Karen Harding

カレン・ハーディング
(オーストラリア)
メルボルン出身のゴルフジャーナリストで、数々の賞を受賞。女子ゴルフやゴルフ場の環境問題、大衆ゴルフなどに関する執筆に注力。

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